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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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カテゴリ:どじょうちゃん( 35 )

どじょうちゃん、実行に移す。携帯電話のeuへ。

b0083728_22573459.jpgどじょうちゃんは、
モバイルめだか
計画とやらの
実態を
調査すべく、
「eu」という
携帯電話を、
牛耳っている、
「KGB愛」という会社に、
当たってみることにした。


どじょうちゃんは、
そうと決めたら、
さっそうと行動を起こした。

その雄姿を、きっと、みんなが忘れることはあるまい。

まずは、手近な所からと、
最寄のeuショップに立ち寄ったところ、
またまた、お姉さんの登場である。
しかも、すらりと背が高く、
色白で金髪のお姉さんである。
どじょうちゃんは、嫌な予感を感じた。
「いらっしゃいませえ。
お客様あ、こちらで、伺い致しますがあ。」
少々、訛りがあるようだ。

どじょうちゃんは、
ヒゲをいくぶん上向きにして、
厳かに尋ねた。

どじょうちゃんは、
この種のお姉さんが
実は苦手である。
たいがい、お姉さんというものは、
こちらが偉そうにしていると、
偉い人として扱ってくれるが、
偉くないふりをして、
能ある鷹が爪を隠すと、
調子に乗って、
バカ扱いも、度を越して、
たちまち下郎扱いを始めるものだからだ。

「通信と放送の融合について伺いたいのだが。」
どじょうちゃんは、
NTT麩菓子日本の刹那的な生き様の福助を、
この技で撃退したので、
ここでも、同じ手を使って試して見ることにした。

意外や意外。
お姉さんは、こともなげに答えるではないか。
どじょうちゃんは、この時、身の危険を察するべきだったのだ。

「それでしたらあ、安心してっ、頂けますう。
KGB愛ではあ、資本主義諸国におけるう、諜報業務やあ、
破壊活動お、 民族分子のお、敵対活動対策のノウハウでえ、
通信もお、放送もお、最終的にはあ、党の管轄下に置かれる予定ですう。」

どじょうちゃんは、2011年とか、
どじょうだ、穴蔵だと、わけの分からない話が出るかと思いきや、
そべてを総括して解決してくれる会社、
しかも、明快な思想、雄大なビジョンを、
ユートピアの如き世界観のもと、
一言で表現できる会社があると知って驚嘆した。
このような見目麗しいエキゾチックなお姉さんが、
それを、すらすらとそらんじるのである。

「では、どじょう波デジタルはどうですかな。」
「どじょう波もお、うなぎ派もお、グランドスラムの世界ではあ、
関係なくなりますう。」
「グランドスラム?」
「はい、私たちはあ、単にケーブルでのお、
トリプルプレーだけでなくう、電波も有効にい、活用致しますのですう。」

どじょうちゃんは、かくのごとき、
崇高な構想を、いまだ聞いたことはなかった。
「今だけ」とか、「そのうち廃止になる」とか、
「Ver1.0」とか、次期ウィンドウズとか、
最新のアイポッドとか、DLNAの拡張だとか、
当面のスタンダードとか、
賽の河原の石積みのような世界、
まったく、一寸先は闇のごとき、世界に嫌気がさしていたのである。

「おおお、ここでは、その、田畑も、有効に活用してくれるのですか。」
「その、とおりでございますう。
田畑もお工場もお、すべてが、有効にい、かつ、有機的にい、
全て一元化でございますう。
つまりい、組織の方で、最適、最善の形でえ、管理致しますう。
従いましてえ、お客様の方にはあ、ただただ、安心してえ、
そのシステムに乗ってえ、頂ければあ、
よろしいのですう。」

「ふむ、トリプルプレーと言いましたね。
トリプルという以上、3つですな。
通信と放送と、もう一つは、
ほう、分かった。水産業ですな。
水産業を重視すれば、どじょうとネットの共存も、
ありえない話ではない。」

トリプルプレーのケーブル!
どじょうちゃんが目をつぶると、とおく、ふるさとの風の音、
水の流れを聴くような感覚を覚えた。
どじょうと、田んぼと、ネットが、
みごとに調和した、美しい国、日本の原点を垣間見たような気がしたのである。
その美しい水田の中を、どじょうちゃんたちが連なって、
ブロードバンドを形成し、みんなのもとに、素晴らしい放送を届けるのだ。

「いやあ、それにしても、
『ひれッツ』とか言うサービスとは、大違いだ。
あれは、『放送のこた、おら知らん』という立場ですからね。」
お姉さんは、にやりと笑って、大きく肯いた。
「それはあ、まさしくう、『卑劣っつ』という奴ですわねえ。おーほほほほほ。」

どじょうちゃんは、すっかり、
グランドスラムというサービスが、気に入ってしまった。
グランドという部分から想像するに、
おそらく、土地を大事にして、水産業、農業、
おそらくは、林業のようなものまでを、
復活させる構想ではないかと思った。

しかし、まさか、スラム街を作る計画であっては、恐ろしいので、
一応、にこにこと、人当たりというか、魚あたりのいい、
お腹をこわしそうなお姉さんに聞いてみた。

「ところで、グランドスラムとは?」
「はい、『グランド』はあ、地面のコトですねえ。
それすらあ、『無』に帰する、ということですう。」
「ううむ、『グランドすら無』ですか。何となく、物騒な感じがしますな。
グランドゼロを思い出す。」
どじょうちゃんは、背筋に冷たいものが走るのを感じて、ぶるぶるっと震えた。
by franz310 | 2006-10-18 23:00 | どじょうちゃん

どじょうちゃんに突然の電話

b0083728_22413422.jpgどじょうちゃんが、
その巨悪の核心に、
まさに触れたと思った
その時に、
いきなりじりじりと
電話が鳴ったので、
どじょうちゃんは、
部屋に戻って、
受話器を取った。

明るい声が響き渡る。

「もしもし~っ。
NTT麩菓子日本、
担当、福助ですが、
どじょうちゃん様は、
ご在宅でしょうか~っ。」

どじょうちゃんは、
麩菓子日本という言葉に、
ぴくりと反応した。
どこかで聞いたその社名。

そう、あれは、JR麩菓子日本。
あの耐震偽装の、クロメダカちゃんの魚体実験に関わった、
謎の黒幕カンパニー。
鯉の餌にもなる麩菓子の運送で、ひとやま当てた会社である。
全国津々浦々まで、麩菓子街道を開通させて、情報化社会を、
先取りしたことでも知られる。

「麩菓子日本?JRなら知ってるんですが、NTTって何ですか。」
福助氏は、あっけにとられたようでもあったが、
一呼吸置いて、てきぱきと答えだした。

「ああ、よく聞かれるご質問ですねえ。
JRさんは、その名のとおり、じゃーんと連結ですが、
NTTはですね、もうすこし、ねちっこく、当然のように、
とんでもないサービスを、させていただきますので、はい。」

「ほう、例えば?」
どじょうちゃんは、ねちっこくという語感に好感を持って、質問した。

「例えばですね、加入権請求とかあったんですね。
導入の際に、支払うその権利の代金をですね、
施設設置負担金と言ってですね、
お客様から当然のように巻き上げてはですね、
他社の参入を、ねちっこく妨げていた時代もありましたねー。
ところで、お客様、
どじょうちゃん様、ご本人様でございますでしょうかあ。」

どじょうちゃんは、ひげをぴくぴくさせて、
威厳を持って答えた。「いかにも、どじょうちゃんである。」
「ああ、ありがとうございますう。
ところで、お持ちのパソコンは、XPでしょうかあ。」
「いかにも、WindojousXPである。」

「ありがとうございますう。今ならですね、
ヒレっつ光の回線工事を無料で承っておりますがあ。
これによってですね、お客様ご利用の、ネット環境もですね、
かなり改善されるのですがあ。」

どじょうちゃんは、つい今しがた、今ならトップシークレットが、
セクレタリーという話を、Jo:COMから聞いたばかりだったので、
かなり、頭の中が混乱した。

何でも、「今なら」といえば、いいものと考えておる。
そう思えば、この世の全てははかなきもの。
今ならこうして生きてはいるが、
明日の我が身は、どうなることやら。

クロメダカちゃんは、どうだった。
ベアトリーチェも天に召された。

そこで、自分が、現代社会の病巣とも言うべき、
恐るべきIT技術を前にして、
どのような修羅場を見てきたか、
いかに困難な問題に直面して、
頭を悩ませているかを、
さりげなく、相手に伝えようとした。
それには、最先端の技術用語で応酬するのが一番だ。

「実は、私は、今、どじょう波デジタルを検討中でしてね。」

さすがに、この攻撃は効いたと見える。
福助氏は、よろよろと、倒れそうになった(ように思えた)。

「あっ、ありがとうございますう。
まことに申し訳ありませんが、今回はですね、
どじょう波のお話ではなくてですね。」

「それがいかんと言っておる。何故、今回、今回と言うて、
刹那的なことに惑わされておるかっ!
もっと、高きを見よ。全体を見よ、この社会を概観してから、
何故、それを総括、包含する世界観を持ってまい進せんのかっ!」

「あっ、ありがとうごさいますう。そうは言ってもですね、
インターネット環境のですね・・・。ええっと、
やはり、最終形態はですね、光回線になろうかと・・・。
2011年でしたか、どじょう波よりもでうね、まず、ネット環境がですね・・。」

どじょうちゃんは、
ぴくぴくぷるぷるのケーブルTVが、
田んぼという職場を奪われた、どじょうちゃんたちの、
最後の住環境だとも考えていたので、
「どじょうなどより、ネットだ」と言われてかっとした。

どじょうちゃんは、このIT社会の持つ、恐ろしい欺瞞やぺてんが、
彼の言葉のひとつひとつから、見え隠れするのを感じていた。

「あなたは、ネット、ネット、二言目には、IN・田・ネットと言っておられるが、
田んぼで、ネットですくわれて行くどじょうの苦しみを、
ほんの少しでもいい、あなたは、考えたことがありますか。
まず、どじょう。
どじょうがあってこそ、ネットですくう意味があろうというもの。
ネットだけ売りさばいても、すくうものがないと、いったい、何のための、
ああ、ネット産業と言えるでしょうか。」

ここで、どじょうちゃんは一呼吸置くと、やはり、最新の技術課題を、
例示しながら、論点を詰めて行った。
「いわば、通信と放送の融合はですね、
どじょうとネットの健全なる相互関係あってこそ、
成り立ちうるものではないかと思うのですよ。」

「ああ、あっ、ありがとうございますう。
あの、お客様の言われている、ケーブルTVよりですね。
そうは言っても、ヒレっつ光は、3倍くらい、アップロードが
速く快適になるのですが。」

「先程から伺っていると、死の間際のゲーテじゃあるまいし、
光、光とばかり言われているが、ひれに光があたるより、
暗い穴蔵の方が、どじょうちゃんには快適なのでしてね。
『アップでどーぞ』と言われても、こちとら恥ずかしがり屋の性分でしてね、
ヒレに光も、ヒゲだらけの顔のアップも、まっぴらごめんだってんだっ。」

先程、お姉さんに電話を切られたどじょうちゃんは、今度は、
こちらから受話器を下ろした。
by franz310 | 2006-10-04 00:05 | どじょうちゃん

目をらんらんと輝かせ、どじょうちゃんは、ついに核心に迫る

b0083728_09222.jpg
「失礼ですが、お客様。
通信と放送の融合の
問題でしたら、
テレビ局さんに
お電話なさったら、
いかがでしょうか。
ワンセグ機能なら、
カーステレオにも
入っていますから、
それらのメーカーさんに、
伺えばいかがですか。」

ケーブルTV、Jo:COMの
カスタマーサービスのお姉さんは、そう提案した。

しかし、どじょうちゃんは、
さっき聞いた横文字が、ますます気になった上に、
カーステの問題も出て来たので、
ここで電話を切るわけにはいかないと、ぐっと頑なになった。

確か、トップシークレットボックスと、ワンセクレタリー。
それにカーとかステレオと来た。
ここに、何か巨悪が潜んでいる。
どじょうちゃんは、そう睨んだ。
目をいっそうぎらぎらさせて、そう睨んだ。

「ご自分でもおっしゃったように、あなたは失礼です。
たらい回しにするとは、まったくもって失礼だ。
どじょうをたらいに入れることがすでに犯罪なんですよ。
さらに、それを回すとは、何事ですか。
どじょうは、穴蔵、断じて、たらいには入りませんぞ。」

どじょうちゃんのひげは、興奮でぴくぴくと震えた。
受話器にそれが当たって、ぴたぴたぴたと、
妙な音になったので、電話の向こうのお姉さんは、
相手の言っていることも、そこそこになって、
背筋が寒くなるのを感じた。

耳元や首筋に、ナイフとかかみそりとかを、
散髪屋で、ぺたぺたされているような感じ。

ひょっとすると、
これは新手の犯罪かもしれない。
ふりこめ詐欺とか、おれおれ詐欺、なりすまし、スキミング。
そうした言葉が、頭の中にちらついた。
こうしている間にも、暗証番号が盗まれているのではあるまいか。

実際は、どじょうなので、
しらさぎ、あおさぎ、みずすまし、スイミングの方が、
関係するのであるが、平静を失ったお姉さんには、そんな違いは分からない。
暗証というより、サポートはすっかり暗礁に乗り上げた。

そういえば、先程から、もぞもぞ、ぼそぼそと、
妙な音が、背景から漏れ聞こえて来てもいる。

きっと、一人ではなく、複数犯だ。
背後に組織が控えていて、
賊が群れ集まって、何か、電話の向こうで、
よからぬ相談でもしているのではないかと疑心暗鬼になった。

しかし、これは、どじょうちゃんの水槽の、
ろ過フィルタと、ぶくぶくのポンプが、妙なるハーモニーを、
奏でているだけのこと。

「ワンボックスカーの中で、携帯でセクレタリーが、
トップシークレットを聴き、お財布をプレゼントされたと、
確か、あなたは、おっしゃいましたよね。」
どじょうちゃんは、ずばっと、ポイントを衝いた質問をした。

このぶくぶく音、ぴたぴた音が気になって、
お姉さんには、
「カーステレオには、ワンセグ。音楽が聴ける携帯には、お財布機能。
今なら、セットトップボックスをプレゼントですか。」
と聴かれたように聞こえた。

あまりに唐突な質問だったし、
ワンセグは携帯の話なので、
お姉さんは、ついつい、
「あ、はい。でも、それは、携帯の会社さんに聴いてくださいっ!」
そう言って、がしゃんと電話を切ってしまった。

どじょうちゃんは、なるほど、と納得した。
あの慌てぶり、かなり、核心に近づいてきた実感があった。

携帯電話会社のセクレタリーは、ワンボックスカーの中で、
いったい、どんなトップシークレットを入手したのであろうか。
そういえば、お財布とか何か言っていたな。
車の中で、かなりの額の金銭が、その秘書とやらを介して、
受け渡されたものと見受けられる。

どじょうちゃんは、ぷるぷると、ヒゲだけが武者震いした。
by franz310 | 2006-09-30 00:16 | どじょうちゃん

どじょうちゃん、電話のお姉さんにどぎまぎする。

b0083728_23174929.jpgどじょうちゃんは、
何の話から
していいものか、
分からなく
なってしまった。

そこで、
どじょうちゃんの
ひげいっぱいの
口からは、
心配で
たまらなかった
ことが飛び出した。

「うっ、うなぎってことは、ないですよね。」
「はあっ?」
お姉さんの方も、いつも変な野郎から、
訳の分からない難癖を付けられて、
常に、臨戦態勢である。
訳の分からない質問には、
まずは、先制攻撃とばかりに、
思いっきり、小馬鹿にしたような声で答えた。

どじょうちゃんは、いきなり、
「お前は馬鹿だ!」と言われたような感じがして、
よけいに何を言っていいのか分からなくなってしまった。

「つまり、日本の水槽は、
世界レベルに比べて小さいじゃないですか。
海底ケーブルならまだしもですね。
細かい配線には、どじょうだと思うんですよ。実際。
やはり、角では、ぴしりと垂直に曲げないと、
まずいと思うんですね、これが。
やっぱ、美感上も、心配じゃないですか。
太い配線だと、ちょっとねえ。」

お姉さんは、急に能弁になった相手の言葉に、
ケーブルとか、配線とか専門用語が出てきたので、
この前のように、「お宅、ジョーコム?警備員、頼めるかな」
などと、
○コムのような警備会社と間違えて電話して来たたぐいでも、
つい先程、「NHKの受信料を踏み倒したい」とかいう相談をしてきたような、
そういった種類の客ではなさそうだと、態度を幾分、軟化させた。

「お客様、その点、当社のケーブルは、安心だと思いますが。
熟練の作業員がお伺いして、どのようなタイプのお宅にでも、
きちっと配線できていて、美感上のトラブルがあったことは、ありませんが。
土壌による違いがあっても、ウサギ小屋のようなお宅でも、
すっきりと配線が可能です。」

どじょうちゃんは、それはどじょう違いだと思ったので、
ここは、きっちり話をしておかなければならないと思った。
「土壌によっては、どじょうはちょっとうるさいと思いますよ。
どじょうは、どちらかというと、硬い石ころなんかよりも、
柔らかな田んぼの土が好きなのですがねえ。」
「ああ、それは失礼いたしました。当社では、田んぼの場合は、
一般的に、電信柱と案山子を有効利用して、配線しますが。」

どじょうちゃんは、知っている言葉が出て、得心した。
案山子でも使えるなら、どじょうでも大丈夫だろうと思った。
「殺虫剤なんか、使わないですよね。」
「はあっ?」

お姉さんは、
また、どじょうちゃんを傷つけるような声を発するので、
またどぎまぎして、
やはり、もっと、雄大な話から入ろうと考えた。

「私の気にしているのは、つまりですね、
その、どじょう波デジタルについてなのです。
もう、穴蔵は使われなくなるって、本当ですか。」
お姉さんは、ようやく、Q&Aに出ているような言葉が出てきたので、
うれしくなって、しゃべり始めた。

「そうなんでうよ。お客様。
残念ながら、アナログ放送は、2011年には、終わってしまうんですよ。
その点、当社のケーブルテレビですと、
そういったご心配は、まったくご不要なんです。
それに加えて、
今なら、最新のハードディスクを内蔵した、レコーダーがついた、
セットトップボックスがサービスになっているんですよ。」

どじょうちゃんは、どじょうの住家の穴蔵が、
もうすぐなくなってしまうと聴いて、
すっかり気が動転してしまった。

「穴蔵派どじょうは、どうなるのですか。」
「ですから、それには、心配はご無用です。
アナログも、デジタルも、ケーブルなら、
関係ありませんから。」

「ケーブル?ケーブルには関係ないかもしれませんが、
どじょうには関係あるでしょう。」
「どじょうも地上もBSも、関係ないんですね。
ケーブルの場合。」
「うなぎもですか。」
「そのとおりです。そのような安心感から、
ご契約数は、おかげさまで、
うなぎのぼりと言った状況でございます。
その感謝の気持ちも、込めまして、
今回、特別にハードディスクを内蔵した、
セットトップボックスを、
サービスさせていただいています。」

どじょうちゃんは、
穴蔵も土壌も関係ないと言われてショックを受けた。
ハードディスクを内蔵したのは、めだかちゃんではないか。
そんな疑問もあった。

「ハードディスクは、モバイルめだかでしょう。」
「そうですね。現在、音楽付きや、おサイフ携帯なども
各社から発売されていますから、
ワンセグなども、そのうち、普及して来ますでしょうね。」

どじょうちゃんは、セットトップとか、
ワンセグとか、横文字を聞きすぎて、
気分が悪くなった。
「いや、つまりですね。
私は、通信と放送との融合について、
伺いたかったのです。」

お姉さんは、長年の勘によって、これはただの暇つぶし爺さんが、
冷やかしの電話をかけてきたのであろうと推察した。
by franz310 | 2006-09-22 00:12 | どじょうちゃん

どじょうちゃん、妄想が膨らんで頭が破裂しそうになる。

b0083728_224173.jpgどじょうちゃんは、
どじょう波デジタルの問題が
恐ろしくなって、
ドジョピタ・テレコム(Jo:COM)
にさっそく電話してみた。

どじょうちゃんの脳裏には、
自分の仲間たちが、
無残にもねじられて、
テレビの信号を伝送するための
ブロードバンド回線にされている様子が、
あまりにもリアルに浮かび上がって
来るのだった。

どじょうに特有の
優雅に細長い形状を、
有効に用いれば、
確かに、より合わせたり、
繋げて長くすることが
可能になる。


b0083728_22515799.jpg細く、長いケーブルは、
電波のような
遮られる可能性のあるものに
頼ることなく、
放送局から、確実に、
テレビの信号を届けるだろう。

つながった
どじょうちゃんたちは、
力を合わせて、
IT国家戦略の礎となるわけだ。

減反減反で、
職場の田んぼを失ったどじょうちゃんたちにとって、
失業者対策になるし、
有力な職場になることは間違いなかろう。

信号が来るのに合わせ、
ぷるぷる、ぴくぴくしていれば
良いわけである。

しかし、細くはないが、
長さで言えば、
うなぎの方が有利であろう。
海水にも強いうなぎの方が、
海底ケーブルには適しているやもしれぬ。


せっかくの職場が、
うなぎごときに奪われてはなるものか。

どじょうちゃんは、
そうした危機感がこみ上げてくるのを感じた。

いやいや、うなぎでは、
家庭内の隅々にまで、
ケーブルを敷き詰めることは、
困難であろう。

やはり、どじょうしかない。

最初は、どじょう波デジタルに懐疑的だった
どじょうちゃんも、
自分たちに託されている遠大な国家戦略を思うと、
思わず武者震いしてしまった。

電波の届きにくいところ、
電波が乱れやすいところなど、
特に、どじょうを敷き詰めやすいところには、
このJo:COMの方式は有利である。

しかし、だからといって、TV放送をやっている間、
ずっと、ぷるぷる、ぴくぴくしていたのではたまらない。

こんな仕事で、本当に労働基準法は、
遵守されうるのであろうか。

どじょうちゃんは、
定時後は、私生活も大切だと
思ったので、思い切って電話をかけた。

「ジョウコム、お客様サポートセンターです。」
電話の向こうから、
サポート担当の、
優しそうなお姉さんの声が聞こえてきた。

このとき、どじょうちゃんは、
自分の質問が、
あまりにも低レベルで、
お姉さんに笑われたりしたらどうしようかと思った。
by franz310 | 2006-09-13 23:10 | どじょうちゃん

クロメダカちゃんのことよりも、自分のことが大事などじょうちゃん。

b0083728_23143067.jpgどじょうちゃんの目は、
もう、真っ赤に
血走っていた。

貝ちゃんに
聞いたところでは、
仲間たちはすでに、
「どじょう波デジタル」の
実験として、
ブロードバンド回線に、
繋がっているというのである。



「どじょう波デジタル」の原理は、
簡単なものだ、
「柳川鍋」という言葉を聞けば、
国内のどじょうというどじょうは、
すべからく、自分の出汁を、
鍋にされてしまうと思って、
ヒゲをぴくぴく、しっぽをひらひらさせてしまう。

ひらひらする尻尾が、
口元のひげにぴくぴく当たると、
そのどじょうも、これはいかん、
自分も「柳川鍋」だと、
尻尾をひらひらさせる。

もちろん、そのひらひらが、
口元をくすぐると、次のどじょうも、
鍋が怖くてぴくぴく、ひらひらする。

さらにまた、それでヒゲをひらひらされると、
ぴくぴくして、ひらひらする。
ぴくぴくとひらひらがぴくひらぴくひら伝送される。

そして、そのまた後ろに、
どじょうを配置していくと、
これまたぴくぴく、ひらひら伝送し、
そのまた後ろにぴくひらぴくひら伝送される。
そのまたまた後ろに、どじょうで、ぴくひらぴくひら。
またまたどじょうを配備して、
ぴくぴくひらひら、ぴくぴくひらひらと伝送すると、
そのうしろのうしろもどじょうどじょうどじょうと、ぴくぴくひらぴくひらぴくと繋がるわけだ。

かくして、どじょうを一列に並べておき、
前のどじょうの尻尾がひらひらすると、
後ろのどじょうのひげがぴくぴく揺れるように、
ミクロンオーダーのクリアランスで互いに接続すると、
柳川鍋という信号を入力するだけで、
ひらひら、ぴくぴくが伝わっていく。

これが波のように伝わって行くのが、
いわゆる「どじょう波」である。

どじょうは細長いので、1000匹も繋げれば、
100mは届くという計算になる。
しかも、それを束にすれば、たちまちブロードバンドの出来上がりだ。

束にするのは簡単だった。
旧来からの、「穴蔵どじょう」の技術を使えばいいのである。
どじょうは、穴蔵があると、ついつい、そこに収まってしまう習性があるからだ。
筒の中に入って、しかも、同じ向きになって、
馬鹿な顔を並べている、どじょうの姿を見たことがある方も多かろう。

このどじょうのケーブルを一軒一軒の家に接続し、
ITインフラを推進しようというのが、デパート屋上総務庁の、
遠大な国家再生計画なのである。

もちろん、一軒一軒につなげるだけではない。
個々人に関しては、モバイルめだか計画でフォローする。
つまり、一見呑気に、あるいはのどかに、
デパートの屋上で売られている、メダカやどじょうにも、
IT国家を推進する重大な任務が与えられていたのである。

その任務を推進する責任は、
もちろん、デパートの屋上のペットショップのおっさんの双肩にかかっている。
国家戦略を任されている以上、失敗は許されない。
だから、時には、死にそうなメダカも、ごまかして売りつけてしまうのだ。
そして、合法非合法ぎりぎりの線で得た資金500円で、
新しい国家戦略を遂行するのである。

どじょうちゃんの、懐かしい仲間たちは、
こうして、各家庭に繋がった、ケーブルTVや、
ネット回線の一部として組み込まれ、
「柳川鍋」という信号を「1」、「柳川鍋やめた」を「0」とする、
デジタル信号を、日夜伝送し、ひらひらと、ぴくぴくを、
繰り返しているのである。

最近、田んぼからも、どじょうの姿が見えないのも、
実は、こういった裏があったのである。

また、ADSLという技術が、普及した背景も、ここにある。
A・・頭からの方が、
D・・どじょうにとって、
S・・尻尾からより、
L・・ラッキー、楽じゃん
というわけだ。

尻尾で口ひげを、ひらひらする方が、
口ひげをぴくぴくさせて、尻尾をくすぐるより、
簡単で楽だし、スピードが速い。
このような原理から、ADSLは、上りと下りでスピードが違ってくるのである。

どじょうちゃんは、
こんなの嘘だと思って、
近くのドジョピタ・テレコム(ジョウコム)に電話してみた。
by franz310 | 2006-09-06 23:30 | どじょうちゃん

クロメダカちゃんも知らなかったことを、どじょうちゃんはさらに知ってしまう。

b0083728_23102726.jpgどじょうちゃんは、耳を疑った。
「メダカの問題じゃなかったのか?
えっ?デジタルが何だって?
どじょう波デジタル?
どじょうと、デジタルと、
いったい何の関係があるの。」
そんな風に、頭の中を整理しようとしたが、
どじょうちゃんには、何だか分からなかった。

どじょうちゃんは、ここは聞かぬは一生の恥と割り切って、
貝ちゃんに、何それ?と素直に聞いてみた。
どじょうは、デジタルというより、むしろ、アナログが似合うと、
はっきりと自分の意見も添えて見た。

どじょうちゃんは、飼い主がアナログ派だと知っていたから、
自分もすっかりその気になっていたのである。
デジタル化など、安っぽい音楽には似合っても、
どじょうちゃんが聴くような、「ドジョウ川のさざなみ」や、「美しく青きドジョウ」など、
あるいは、ドジョウザークの「死にそう貝」交響曲、「アメリカざりがに」四重奏曲を聴くには、
真っ黒なアナログ盤がふさわしいと思った。

「デジタルだと、何て言うかな、音が硬いんだよね。
空気の色合いとかさ、ああいったものが希薄なんだよね。
そうそう、イエペスの弾く『アランフェス』なんか、
聞き比べてごらんよ。
デジタルってのはね、そう、ちょうど貝ちゃんの背中みたいに、
きりっと硬いんだよ。
そのせいか、水彩の絵の具が、すうっと水に広がるっていうかさあ、
そんな感じがアナログには生きているんだよね。
すうっと、フレキシブルな感じって、何となく、どじょうっぽいでしょ。」

どじょうちゃんの口調は、一昔前のオーディオ雑誌の、
対談みたいになってきていた。
その口調が、自分でも妙に説得力があるように思えた。
深い洞察があるわけではないが、こうした親しみやすい、
滑らかな話し方の方が、自信なさげに、硬くなって話すよりも、
何となく納得してしまう上司が多いのだ。

思ったとおり、貝ちゃんは、それを聞いて大きく頷いていた。
貝が頷くと、背中の貝殻がてこの原理で、ヌンチャクのように振り回される按配となる。
貝殻が、水槽にぶち当たり、水槽には無数の傷が入った。
どじょうちゃんは、さっと身をくねらせてかわしたので、
かろうじて、その一撃を喰らわずに済んだ。
そして、貝ちゃんは、こう言った。
「そうなんだな。どじょうちゃんは、どちらかと言うと、
穴の中で暗くしているのが好きな、
『どじょう派穴蔵』なんだな。」

どじょうちゃんは、それなら、「穴蔵どじょう」の方がすっきりすると思って、
ちょっと釈然としなかったが、デジタルよりはましだと考えて、
「そうだろう、デジタルとどじょうは、僕も相性が悪いと思うのだよ」と、相槌を打った。

だが、意に反して、貝ちゃんは、こんなことを言い始めた。

「とはいうものの、どじょうは『出汁』と言って、
昔から、出る汁にどじょうを使う研究は、
柳川鍋を中心に行われていたんだな。
柳川の町は、蔵も多い、穴蔵なところだが、
出る汁のよさを汁、いや、知る人も多くてね。
どじょうから出る汁もおいしいんだな、
という『どじょう派出汁』は長い伝統を誇っていてね。
その基礎研究があったからこそ、『どじょう派デジタル』も、
本格稼動に移行する動きが、ここに来て加速したんだな。」

どじょうちゃんは、真っ青になって、反論した。
口ひげが、ぴくぴくと、また震え始める。
それが大きくなって、ぷるぷるになる。
「出汁から、デジタルは、簡単には進化しないものだよ。
そもそも、デジタルの『た』がないだろう。出汁には。
『た』がないのは、難しいと思うよ。ぷるぷるぷる。」

「だから、君は田から連れてこられただろう。」
貝ちゃんは、こともなげにこう言うので、どじょうちゃんの口ひげは大きく揺れた。
ぴくぴく、ぷるぷるの口ひげの興奮と、
それに囲まれた口から発せられた虚しい叫びが、
ろ過フィルターのぶくぶく音にかき消される。

「デジタルリマスタリングってのは、意外に問題も多いんだぞ。
ア、アナログ派は、当然、残るんだろうね。ぴくぴくぴく。」

しかし、貝ちゃんの答えは明快かつ冷酷なものだった。
「いいや、『どじょうはアナログ』は、もうすぐ中止になることが決まっているよ。
みんな『どじょうはデジタル』に移行することが決まっている。」

「どじょうはデジタルなんて、絶対、嘘だ。ぷるぷるぷる。
そもそも、あの二人は、『世情派デジタル』を調べている途中だろう。
まだ、結論は出ていないいんだろう。ぴくぷるぴく。」
どじょうちゃんは、自分もデジタルの一部になるのかと思うと、どうしても、
貝ちゃんの口から、それを否定して欲しかった。
by franz310 | 2006-08-31 00:00 | どじょうちゃん

クロメダカちゃんも知らなかったことを、どじょうちゃんは知ってしまう。

b0083728_23155334.jpg
「通信と放送の融合は、
いまや、HOTな話題なんだな。」
どじょうちゃんは、
いきなり、そんな声を聞いて、
一瞬、何が起こったか、
理解ができなかった。

「いまや、大臣自らが、
これを問題として、
取り上げる時代なんだな。」

見ると、
貝ちゃんが、
口を伸ばして、
ぱくぱくさせながら、
何かを必死で伝えようとしていた。

「クロメダカちゃんの問題は、
通信サイドの問題。
むしろ、どじょうちゃんは、
放送サイドの問題なんだな。」
いよいよ、困惑するどじょうちゃん。
何故、自分が放送の問題に、
いつの間にか巻き込まれているのか、
さっぱり分からなかった。

しかし、それは、
クロメダカちゃんとて、
同じことだった。

まさか、自分が耐震偽装されてまで、
恐ろしいモバイルメダカ計画の実験台にされていようとは、
その死の直前まで、知らずにいたわけだから。

まさか、自分の身体にも、
何か偽装がされているのではないかと、
あちこちに手術の後や、
ネジを開けられたあとがないかと、
身体をくねくねとよじらせながら、
チェックしてみた。

「どじょうちゃんは、助かったんだな。
二人の仲間は、ダメなんだな。」

「いったい、二人は、何をされたんですか。ぴくぴく。」
どじょうちゃんは、口ひげを激しく震わせながら、
貝ちゃんに詰め寄った。

「あの二人は、ある極秘プロジェクトに、
加担させられたんだな。
ぼくは、検死官だから、こうしたことに関しては、
いろいろと、情報源を持ってるんだな。」
「ええっ、台風の日に、あふれかえった鉢の外に、
投げ出されたんではなかったのですか。ぴくぴく。」

どじょうちゃんが興奮すればするほど、
口ひげが震えて、間の抜けたノイズ音となる。
ろ過フィルタのぶくぶく音すらかき消すことのできぬ、
恐ろしい苛立ちを、そこから読み取って頂きたい。

「モバイルメダカ計画とならぶ、そのプロジェクトに、
政府与党内でも、激しい議論が、遡上波デジタルとして、
巻き起こったんだな。」

「な、何ですって。ぴくぴくぴく。」

「政府は、その計画に、自信まんまんの『過剰派デジタル』と、
それを認めようとしない、『苦情派デジタル』に分かれて、
討論を続けたんだな。」

どじょうちゃんは、頭が痛くなってきた。
数奇な運命を生きた、
クロメダカちゃんの気持ちが分かるような気がした。

「でも、みんな『机上派デジタル』の空論で、
誰も、『市場派デジタル』を、
見ようとはしなかったんだな。

本当は、そのほかにも、
『路上派デジタル』がいたんだけど、
その『素性派デジタル』は、
『余剰派デジタル』だったから、
最近の取り締まり強化で、
『手錠派デジタル』として、
しょっぴかれてしまったんだな。
単に、『私情派デジタル』の犠牲になっただけ。

あれを見てしまうと、
しょせん、派閥なんてものは、
『砂上派デジタル』の楼閣にすぎず、
ぼくなんかは、
しょせん、諸行は『無常派デジタル』だと、
感じずにはいられなかったんだな。」

真面目に聞こうとしていた、どじょうちゃんの頭の中には、
祇園精舎の鐘の音が鳴り響き、
もう、何のことやら分からなくなって、
我慢できずに、深呼吸をするべく、『浮上派デジタル』を試みた。

そして、『頭上派デジタル』の、新鮮な空気を吸って、
ああ、いっそのこと、『慕情派デジタル』になって、
香港の美人女医と現実逃避し、
レパルスベイを、泳ぎ回りたかった。

でも、結局、最後は戦争で死んじゃうんだよな、
と気を取り直し、
改めて、貝ちゃんの待つ水低に戻った。

本当は、怖くて、それ以上聞きたくなかったのだが、
あくまで、『気丈派デジタル』として振舞ったわけだ。

そして、緊張派デジタルのため、
改めて、口ひげをはげしくふるわせたものだから、
ぴくぴくの音は、『波状派デジタル』の干渉のごとく、
フィルターのぶくぶく音と渾然一体となって、
水槽の中に、七色のハーモニーとなって広がっていった。
「ぶぴくく、ぶぴくく、ぶぴぴくくく。ぶぴぴぴぶぷくくく。」

貝ちゃんは、それを聞いて、
「ああ、まるで、雨情派デジタルの童謡のように、
抒情派デジタルな音なんだな」と、一人ごちた。
野口雨情といえば、「十五夜お月さん」。
レパルスベイに浮かぶ月も、十五夜かなあと、
一瞬、空想にふけったが、いかんいかん、ぴくぴくぴく。
「まだまだ、話の『途上派デジタル』だ」と、自分を厳しく戒めた。

「検死官貝ちゃん、ぴくぴく。もうデジタルの話はいいぴくから、教えてぴくほしい。
いったいぴく、僕の仲間たちは?ぴくぴく。」
どじょうちゃんは、結論を急いだ。
「ん。彼らは、あの計画の『世情派デジタル』を調査するための、
『非常派デジタル』実験台として、『土壌派デジタル』の上に放り出され、
今は、『施錠派デジタル』された、ところに、
『無情派デジタル』にも、軟禁されているんだな。」
「だから、ぴく、いったい、その計画とは、いかなるものか。
『箇条派デジタル』で答えられよっ!」
どじょうちゃんが絶叫すると、口ひげが、その勢いで、一瞬口から外れたので、
このときばかりは、ぴくぴく音がなかった。

ぶくぶくぶくぶく。
ポンプの音だけが響く中、貝ちゃんの声が、響き渡った。

「では、その計画を今こそ教えよう。
その名も、『どじょう波デジタル』。
どじょうを利用した、次世代放送技術なんだな。」

「ど、どじょう波デジタル?!」
「そう、モバイルメダカ計画と並ぶ、通信と放送の融合計画の第一歩なんだな。」
by franz310 | 2006-08-25 23:07 | どじょうちゃん

どじょうちゃんの悲しい過去が、クロメダカちゃんの遺志を継ぐべきか悩ませしむる。

b0083728_23135254.jpgどじょうちゃんが、
川の近くの
田んぼの水路から、
他の仲間と
連れてこられたのは、
ちょうど去年のこと。
まだ、田植えが、
始まるか、
始まらないかの季節。

どじょうちゃんの、
恐るべきすばやさに、
今の飼い主は驚嘆し、
眼を白黒させて息を弾ませた。


しかし、驚嘆したのは、
どじょうちゃんとて同じこと。
あぜ道に沿って、
牛若か、弁慶かと、ひらりひらり。どたばたどたばた。
あっちこっちと飛び回るおっさんを見て、
「ここまでやるか?」と考えていた。
「自然破壊じゃねーの?」

とうとう、呆れたように根負けし、捕縛され、連れてこられたが、
閉じ込められたのは、このような水槽の中ではなかった。

まずは、
いつかの焼物市でGETしたという、
飼い主自慢の信楽焼の甕に入れられ、
屋外に放置されたのである。

その時は、照りつける太陽が、
甕を焦がし、このまま深川鍋だか、
コマガタどぜうにでも、なるかと思った。
しかし、そんな事は序の口だった。
もっと、もっと、恐ろしいことが、
待っていたのである。

折りしも日本列島を襲った台風は、
B29の大群と見まがうばかりに、
あちらこちらに、雨あられと雨水を吹き散らし、
無邪気に高波を楽しんでいた、
仲間たちもろとも、甕から水が溢れ出した。

その時の、雨音、雷鳴のすさまじさは、
悲しく消えていく仲間たちの叫びを、
かき消すほどのものだったが、
どじょうちゃんの耳の奥には、
それらが渾然一体となって、こびりついていた。

「わーっ、もう駄目だ~。」
「助けて~っ、高波にさらわれる~っう!」
びかびかびかっと光る稲妻は、
まるで、フラッシュのように、恐怖に引きつった、
仲間たちの表情を照らし出した。

どじょうちゃんは、
そこで、助けを求める仲間たちに、
ひれを差し伸べることは出来なかった。
恐怖で、細い体がすくんでしまい、
イカナゴの釘煮よろしく、
消えていく仲間たちとは反対に、
水底に沈むのを選んだのである。

どじょうちゃんは、もうすっかり、そんなことを忘れていた。
いや、忘れようとしていたのだ。
だが、今回、力強く屋外に雄飛しようと考えたとたん、
その、今、イワシ、もとい、忌まわしい過去が、
鮮明に蘇って来たのである。

どじょうちゃんが、ずっと封印していた感情。
卑怯にも、仲間を見殺しにして、
おめおめと自分ひとりが生き残ってしまった。
認めたくはない。しかし、認めざるを得ない、
そんな想いが、どじょうちゃんの心の臓を、
きりきりきりと、締め付けたのであった。

どじょうちゃんが、それを思い出して
水槽の底に固まって、フセインか、麻原か、
といった具合にがたがた震えていると、
貝ちゃんが、そっと近づいて来て耳打ちをした。
by franz310 | 2006-08-08 23:38 | どじょうちゃん

どじょうちゃん、クロメダカちゃんの遺志を継ぐを決意す。

b0083728_21172068.jpgどじょうちゃんは、
まずは、
事実の究明が、
最重要課題と考えた。

本当に、
あの懐かしい
クロメダカちゃんの
仲間たちが、
携帯電話の中に
組み込まれているのだろうか。

メダカの人権を、
完全に無視した、
「モバイルめだカ」計画。

どじょうちゃんは、
ひらりと身を翻すや、
持ち前の行動力で、
活動を開始した。

どじょうちゃんは、
田んぼの近くから、
連れられて来てから、
ずっと、水槽の外に出たことはなかったが、
土地勘はあるつもりだった。

というのも、
実は、少しの間、
外で暮らしたこともあったのだ。

だが、その時のことと言えば、
どじょうちゃんの心の中に、深い闇を残しており、
決して触れられたくない、ある記憶の一こまを、
どじょうちゃんは一人、
胸のうちに、そっと抱え込んでいた。

だが、それを、いつまでも、
いじいじと考えているわけにはいかぬ。
クロメダカちゃんの高い志に比べてみれば、
そんなものが何であろうか。
どじょうちゃんは恥ずかしかった。

考えてみれば、
小さな心の傷を理由に、
水の底で、
くよくよしていただけのようにも思えてきた。

そんな自分の殻を、今こそ脱ぎ捨てる時が来たのだ。
それを、クロメダカちゃんは、
身を持って教えてくれたではないか。

どじょうが一生をかけるべき、大仕事。
ついにその瞬間が来たのだ。

どじょうちゃんは、いざ、出陣と、
身をくねらせた。

だが、悲しむべき事実。
どじょうちゃんのかっと見開いた眼には、突然、
あの恐ろしい阿鼻叫喚の地獄図が見えてきた。

それから、
離れ離れになった仲間たちの悲しい声が、
耳の奥に蘇り、木霊のように長い余韻を持って響きわたると、
どじょうちゃんが、ずっと封印していた感情が、
どどっと、水槽にあふれ出した。
by franz310 | 2006-08-02 21:45 | どじょうちゃん