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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その136

b0083728_23323362.jpg個人的経験:
戦中から戦後にかけ活躍した、
シュトループ弦楽四重奏団の、
錚々たるメンバーについて
前回触れたが、
第二ヴァイオリンの
フーブルという人は、
ヴェンドリンク四重奏団でも、
第二ヴァイオリンを務めていた人で、
新星堂のCDでは、
この両楽団の演奏が並んでいる。


もちろん、下記、両演奏に同じ人の名前が登場。

シュトループらの演奏するシューベルトの「死と乙女」が、
1940年の録音。

同じCDのヴェンドリンク弦楽四重奏団の演奏では、
1934年の録音で、何と、レーガーの弦楽四重奏曲第四番から、
あの不思議な第二楽章が取り上げられている。

また、シューベルト晩年の傑作、弦楽五重奏曲の第二楽章も、
同じCDで聞くことが出来る。
これも、1934年3月の録音とある。

シュトループの厳格な音楽作りが、
戦争や国家体制の影響を受けているかどうか、
少し気になっていたので、
このヴェンドリンクらの演奏もそんな耳で聞いてしまった。

このシューベルトの五重奏曲、
シュトループの「死と乙女」と比べると、
やはり、ずっと息づかいが自然なような気がする。
このCDのトラックでは最長の12分を歌っているが、
ヴァイオリンもチェロも、表情豊かな陰影を見せて素晴らしい。

私は、この大曲は、1935年に、
プロ・アルテ四重奏団が録音するまで、
知られていなかったものと、漠然と思っていた。

あらえびすも、他に比較するレコードもない、
などと書いていた。

また、確か、プロ・アルテのメンバー自身も、
曲のことはよく知らずに録音したという、
逸話があったのではなかったか。

が、近衛秀麿は、この曲を稀代の傑作と信じて、
交響曲への編曲までしているので、
こうした録音があったとしても不思議はない。

このヴェンドリンクらの録音も、
ポルタメントも交え、気持ちよく自然に歌ってはいるが、
とても格調の高いものである。

また、この新星堂のシリーズの特徴とする、
充実した解説を読むと、
このあと、レーガーの四重奏曲が続くのにも、
非常に納得が出来る。

つまり、ヴェンドリンクは1875年生まれ、
ほとんどレーガーと同年代のヴァイオリニストであり、
親交もあって、なおかつ、その作品のスペシャリストとして、
知られていたというのである。

マイニンゲンのコンサート・マスターだったこともあり、
音楽大学で教授、学長まで務め、レーガーと経歴も似ている。

そのせいか、非常に自信にあふれた演奏で、
各楽器の充実も特筆に値する。

シュトループより一世代前の人で、
メロディラインをずり上げるようにする場面に、
それを感じさせはするが、
アンサンブルは情緒におぼれてはおらず、
シュトループ四重奏団のきっちりとしたスタイルは、
この四重奏団の延長として捉えることが出来る。

レーガーはいろいろな四重奏団に霊感を受けて作曲をしたが、
このヴェンドリングらの演奏は、レーガーの死後、
20年を経てからのものであるとはいえ、
その時代を映すものと言えるのであろう。
レーガーの四重奏曲の奇妙な楽想に、
まったく普通に、共感を持って取り組んでいる様を感じた。

このCD、シュトループ四重奏団の「死と乙女」に加え、
このヴェンドリンク四重奏団の2曲が聴けるだけで、
非常に価値のあるものと思える。

ただし、表紙デザインは、シュトループが大写しとなっているだけで、
ここから、以上、説明して来たような伝統や来歴を語るには、
ちょっと苦しい。

また、同じ、1930年代の録音ということからか、
このCDには、リーレ・クェリング四重奏団の、
ハイドンの「ひばり」全曲も納められている。
これは、非常にさわやかで清潔な名演とは思うが、
先の、武骨な四重奏団と同列に扱って良いものかは、
少し疑問も残る。

シューベルト、レーガーといった、
何やら背負っているものが大きそうな作曲家に先だって、
ハイドンが舞い上がるのは、ちょっとCD全体の印象を弱めている。
とはいえ、このレコード、昭和10年に、日本でベストセラーになったとある。
決して、軽んじてよいものではない。
リーレは1897年生まれとあるから、シュトループと同世代である。

さらに、レーガーの後には、
やはり、女流が率いる、グレーテ・エヴェラー弦楽四重奏団の2曲が、
アンコールのように収められている。
これは1922年から24年の録音ということで、
無理にここに入れる必要もないものであろうが、
リーレにつられてやってきたのだろうか。

ブラームスの弦楽四重奏曲の楽章の中では、
最も美しいと思われる、第三番のアンダンテが、
優しい風情で演奏されているのが嬉しいが、
さらに、人気作、ドヴォルザークの「アメリカ」の、
第二楽章「レント」が最後に収められている。

このあたりになると、ヴァイオリン主導型の、
オールドスタイルで、先の三団体と、同列ではないような気もする。

ということで、資料的には非常に貴重なのだが、
全体の印象が漠然としているのは、
こうした理由によるものと思われる。

かく言う私も、レーガーの四重奏が何故、ここに断片で、
納められているのか、という疑問を持たなければ、
改めて、このCDを手にすることはなかったであろう。

また、最初にCDを入手した時には、
耳に心地よい、リーレ・クェリングの「ひばり」ばかりが気になったものだ。
今回、第二ヴァイオリンのフーブルの存在によって、
ヴェンドリンク・シュトループ・ラインが明示され、
ようやく、このCDの何たるかが分かって来た次第である。

何しろ、79分も入っているのである。

さて、こうした隠れた名演、または歴史的演奏が多数含まれた、
「ドイツ、オーストリアの弦楽四重奏団」と題された、
20枚からなるCDシリーズは、実は、
全体の半分以上がブッシュ四重奏団のものだった。
これがまた、偉大なるブッシュ+αのシリーズという感じを醸し出していた。
なかなか難しいものである。
(シュトループのものは、第8集、第9集。「死と乙女」は8集。)

そのほかに、マーラーの義弟、ロゼーによる四重奏団のものが二枚、
クリングラーが二枚あり、存在感を示していたが、
先のシュトループも二枚とはいえ、ここには、
前述の如くヴェンドリンクが割り込んでいたりする。

また、SP時代の復刻ということから、
多くは、作品の一部の抜粋が、多くの四重奏団によって、
雑多に集められている感じである。

b0083728_2333873.jpg特に、第5集は強烈で、
ポスト兄弟弦楽四重奏団、
プリスカ弦楽四重奏団、
昔のグァルネリ弦楽四重奏団、
作曲家のヒンデミットが
参加していることで有名な、
アマール弦楽四重奏団という4団体が、
2、3曲から数曲を受け持って、
ハイドン、モーツァルト、
ベートーヴェン、シューベルトらの
作品の切れ端を演奏している。


このCDは、すべて1920年代の演奏である。
従って、ヴェンドリンクの世代、あるいは、
シュトループの先達の記録と考えても良かろう。

しかし、このCDなどは、CD感覚で聞くと、
何だか分からないまま終わってしまう。
一曲ずつ、一回停止させるように聞かないと、
どの団体がどうだ、というのが分からなくなってしまうのである。

何しろ、モーツァルトの「プロシャ王1番」などは、
第二楽章がポスト兄弟と、アマール~ヒンデミットの、
2団体のものが収められており、
第三楽章はポスト兄弟が録音しているかと思えば、
モーツァルトの第十五番ニ短調の四重奏曲は、
第三楽章が、やはりヒンデミットらによって、
また、終楽章がグァルネリ四重奏団によって、
演奏されているといった風に、
本当にややこしい寄せ集めになっているのである。

ここからも、モーツァルトの人気の高さは伺われるが、
しかし、我らがシューベルトも、晴れて、「ロザムンデ」の第二楽章と、
何と、D46の第四番の四重奏曲のメヌエットが収録されており、
意外にも、古くから愛奏されていたことが分かる。
特に、後者にはびっくりした。

前者はポスト兄弟が、ノスタルジックなポルタメントを聞かせるが、
残念ながら3分47秒に短縮されて演奏されている。
後者はプリスカ四重奏団が演奏しており、
こちらは、何だかすごい迫力のある演奏で特筆に値する。

ダイナミックの変化の幅や、激しい切り込みが生々しく、
団員には、何と、後のブタペスト四重奏団のチェリスト、
ミッシャ・シュナイダーが含まれている。

この団体は、あとハイドンの「皇帝変奏曲」と、
「騎士」の終楽章を演奏しているが、
これらは、ちょっと引き崩しが目立つ。
とはいえ、恣意的ながら、現代的な感じがしないでもない。
音が生々しく生きている感じがする。
シュナイダーのチェロも格調高い。

解説によると、プリスカは、
1880年生まれのヴァイオリニストらしく、
10代の頃からアメリカに渡り、
シカゴのオーケストラで弾いていた事もあるという、
変わり種である。
ロンドンでアウアーに師事したとあるが、
ケルン歌劇場管弦楽団の団員としてカルテットを組んだともある。
何だか正体不明の団体である。
第二ヴァイオリンはミンナ・プリスカで奥さんであるという。

ただ、この団体はあらえびすの「名曲決定盤」にも、
ポリドール系四重奏団として紹介されている。
しかし、「近頃はプリスカ四重奏団が活躍して」いる、
程度の記述しかない。
これは、後にメンバーが入れ替わった後の話の模様。
この時は、ミンナは団を離れていたようだ。

このような忘れられた団体の演奏を探し出して来て、
復刻し、詳細な解説をつけて、
全力を傾けて資料化しようとしている試みには、
畏敬の念を感じずにはいられない。

ただし、ポスト兄弟については、
「クリングラーと並んで、
今日音が残っているドイツの四重奏団の中では
最も古い団体」
と書かれているのみで、さらに、
「経歴はほとんど分かっていない」と書かれている。

その割には6曲も受け持っていて、
ハイドンの「セレナード」やボッケリーニの「メヌエット」等、
いかにも、という名曲を、
またまた、いかにも時代を感じさせる、
という鄙びた音色で聞かせる。
テンポの変化も大きく、これもいかにも、
という感じだが、それなりに素直に聞かせてくれる。

ポスト、プリスカという家族経営的団体に続き、
グァルネリ弦楽四重奏団が来るが3曲を演奏するのみ。
この第一ヴァイオリンのカルピロフスキーは、
1895年生まれ。ウクライナの出身だという。
やはりアウアー門下で、あらえびすの本にも出てくる、
ロート弦楽四重奏団のロートがフランスに去って、抜けた後に、
この人が入って出来たのだという。

言うなれば、ロート四重奏団の第一ヴァイオリン変更版である。

あらえびすの本によれば、ロートはブタペスト生まれで、
通俗な小曲を入れていたが、アメリカでは大曲で大成功した、
とあるが、それが、「最近のことである」とあるから、
ロートはこの後も、別の四重奏団を組織したのであろう。

それにしても、何と、当時ロシアで有名だった、
ストラディヴァリウス四重奏団に対抗して、
ヴァイオリンの名器であるグァルネリを団体名にした、
という裏話が時代を感じさせる。

また、最近まで活躍していたアメリカの同名の団体も、
さすがに、この戦前の団体の演奏は聴いたことがないようだ、
というコメントも、このシリーズの解説ならであろう。

この団体が、一番、めんめんと歌うスタイルだが、
想像していたより、べたつきはない。
チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」、
も美しいし、
珍しい、イッポリトフ=イヴァノフの「間奏曲」も、
非常に幻想味豊かなものを表出しながら、
早めのテンポが、これを隙のないひとときにしている。

最後のアマール~ヒンデミット四重奏団は、
ヴィオラの名手でもあった、
作曲家のヒンデミットが加わっていたということで、
有名な団体だが、当初はチェロもヒンデミット、
つまり、ヴィオラの弟だったとは知らなかった。
(この録音の頃は、フランクに代わっている。)

また、アマールは、レーガーの盟友、マルトーに師事、
しかも、その四重奏団の第二ヴァイオリンも務めた、
とあるのには驚いた。
さすが、現代の作曲家が加わった団体だけに、
とてもきちっとした演奏を聴かせてくれる。
1928年の録音。

ただし、ここでは、モーツァルトを二曲演奏しているだけなので、
その全貌が理解できたようには思えない。
また、この二曲しか録音していないアマール四重奏団が、
表紙写真を彩っているのも、ちょっと惜しい。
が、これくらい有名な団体でないと、
写真は残っていないかもしれない。
というか、経歴も不詳の人が多いので、
簡単に手に入るものではないだろう。

アマールはトルコ系ということだが、
この写真も独特の風貌である。
1891年生まれで、
やはり、レーガーゆかりのマルトーを師とするらしい。

ヒンデミットは右下で窮屈そうだ。

ところで、このCD、14トラックもあるが、
トータル、60分で終わってしまう。
何故、同じ20年代録音の、グレーテ・エヴェラー四重奏団を、
ここに入れなかったのかは不思議である。

そうすることによって、1920年代の録音集として、
まとまった印象が出来たはずである。
先の、ヴェンドリンク、シュトループのCDも、
もう少しすっきりした印象になったはずだ。

それにしても、SP時代の人は、
こんな断片のような録音から、沢山を語っていたのであろうが。

また、今回の2枚を聞き比べると、
1920年から30年代にかけて、
何やら、録音の鮮度のみならず、
演奏スタイルにも差異を生じて来ているような気がした。

得られた事:「歴史的資料価値と、商業的訴求、並びに分類のバランスの難しさ。」
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by franz310 | 2008-08-16 23:44 | 音楽
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