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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その130

b0083728_23175199.jpg 個人的経験:
レーガーの室内楽を
代表する形で、
弦楽四重奏曲を
聴き始め、
前回は、未出版のニ短調と、
初めての出版作、
作品54の二曲を聴いた。
今回聴くのは、最大規模を持つ、
「第三番、ニ短調作品74」
である。CD一枚を占める。

前回、ベルン四重奏団の「全集」に頼ったが、
この曲になると単品売りが可能なようで、
フィルハーモニア・カルテット・ベルリンの演奏を、
1991年にドイツのTHOROFONレーベルが、
録音したものを持っている。
これも手強い作品ゆえ、まともに聴いたことはなく、
長らく放置していた。

このCDは表紙からして強烈。
黒字にいきなり赤文字で、
「MAX REGER」の文字が飛び込んで来る。
いかにも、ヤバい音楽をやっちゃいました、
という意気込みが伝わって来る。

また、その下に、
ヴァイオリンの胴体中央のみの写真、
というのもインパクトがあるが、
ちょっと意味不明な感じがなきにしもあらず。
まるで、パガニーニのカプリースの乗りである。

その下にPhilharmonia Quartette Berlinとあるが、
筆記体風で、これもフィレンツェの教会に落書きした、
恥ずかしい日本人を思わせて、ちょっと困る感じ。
何となく、イレギュラーな雰囲気を高めている。

それに加えて、曲名はどこかというと、
これまた、赤いたすきの斜め帯に書かれているという、
危険臭漂うレイアウトである。
まさしく端から端まで、レーガーは危険でっせ、
要注意でっせ、と宣言しつくしている趣きである。

同じレーベルで、
1920年代のドイツ音楽を集めたCDも持っているが、
このようなレパートリーを見ても、
そもそも、このレーベル自体が、かなりいかれている感じを受ける。
レーベルデザインも奇抜である。
が、演奏団体自体は、ベルリン・フィルを母体とする名手たちで、
日本のカメラータ・レーベルからも録音が発売されていて、
有名な人たちである。

このCDで、改めて曲を眺めてみると、
トータル55分32秒。
第一楽章が21分、第三楽章が18分で、これだけで40分。
第四楽章が11分なので、第二楽章は4分しかない。
第一楽章の1/5の規模である。
このアンバランスさは、ショスタコの四番を思い出させる。
第三楽章は緩徐楽章で変奏曲。
短い第二楽章はスケルツォである。
こう書くと、完全にベートーヴェンの様式で、
かつ、レーガー自身の第一弦楽四重奏曲の、
異常増殖版のようにも思える。

前回の「第一」ト短調の解説には、各楽章を、
1.嵐のようなアレグロ・アジタートのソナタ形式、
2.短い3つの部分からなるヴィヴァーチェ・アッサイのスケルツォ、
3.アレグロ・メストの緩徐楽章は憂鬱なモノローグ、
4.カプリシャスなプレスティッシーモ・アッサイの終曲フーガ
とまとめていたが、この「第三」も、同じ構図と性格を感じる。

解説には、以下のようなことが書いてある。
「『レーガーの出版された三番目の四重奏曲は、
1903年に完成され、翌年に世界初演がなされた。」

私は、これを読んで絶句した。
前回、第二四重奏曲の作曲を1910年と書いたが、
どうやら、あれはミスプリントをそのまま鵜呑みにしたようだ。
おそらく、1901年なのであろう。

「これはすぐに、彼のパターンとなり、
作曲すると即座に出版し、また演奏されるようになった。
30歳になるまでに名声を獲得していた彼が、
『自らをむち打つように』(フリッツ・シュタイン)、
さらにものすごい仕事ぶりを発揮していたことを示すものである。
残念ながら、彼の語法には付いて行けないと言われ続け、
当時の聴衆や演奏者の時代から、もう何十年も経過した。
この『ニ短調四重奏曲』は、
文献の上では傑作と言われていながら、
演奏されることは滅多にない。
いずれにせよ、彼の音楽がドイツ以外で、
広く知られることもなかった。
しかし、今、フィルハーモニア・カルテットが、
ドイツやアムステルダムのコンセルトヘボウのみならず、
ロンドンのウィグモア・ホール、パリですら、
この四重奏曲で、聴衆を熱狂させており、
さらにこの道が舗装されて広がることを期待させるものである。」

ということで、この四重奏団が、
特にこの曲を得意としていることが読み取れる。
しかし、レーガーの四重奏曲を解説している時に、
急に、このCDの演奏団体の紹介が始まるとは、
これまたびっくりする展開である。

すくなくとも、これまでこの欄で読んできた解説には、
このパターンはなかったような気がする。
それだけ、誰も演奏してこなかったということであろうか。
また、それだけレーガーで、聴衆をうならせるのは、
難しいということであろうか。

また、この後、私が気づいた、楽章のアンバランスについて書かれている。
「この四重奏曲の4つの楽章は、長さの点でばらばらである。
第一と第三が重く、他の二つはバランスの上で矛盾するかのようである。」

ここから、各楽章の解説が始まるが、要約すると、
1. エネルギーに満ちたユニゾンのテーマで始まる。
対照的な、静かで、しかし駆り立てられるような主題が続く。
これらの断章のような連なりが、スリリングに活躍する。
2. 2/4拍子ながらスケルツォ。
第一楽章と、同様に長大な第三楽章の間の楽しい緩衝材。
3. 民謡のような単純なメロディによる、11の変奏曲。
4. 小規模で雑多なものが集まった快活な楽章。
どの楽章も緊密に主題の相関があり、最後は消え入るように終わる。
といった感じ。
冒頭主題から力強く明快で、非常に魅力的。
第一楽章の、あらゆる可能性を展開しつくすような、
迷宮のごとき複雑さも、何やら突き動かされているものが明確で、
前へ前へと進むので、説得力を感じる。
第二楽章は、まさしくストラヴィンスキーとか、
ショスタコーヴィッチのような、遊園地のような音楽。
ここまで、前衛的な作風に対し、第三楽章の平易なメロディが始まると、
ちょっと、緊張感が途絶えるような気がする。
が、これについては、後述する。
第四楽章は、いかにもレーガー風の、
くるくると同じ所を旋回して、枝葉末節がこねくり回されるような赴き。
が、そこに、鮮烈に叙情的なもの、
または突発的に激しいものが適宜侵入してきて、
前に音楽を進めていく。
確かに、じゃじゃんと鳴って、すうっと消えていく、
謎の終曲である。

なお、このトロフォンのCDの解説は、
Hans Peter Simoneitという人が書いていて、
この曲に触れる前に、レーガーの人となりが書かれている。
「口先だけの意味のない行動は嫌いなのです。
建築的な美しさ、メロディ、反復の魔法のようなものが、
どうしても必要なのです」という、
17歳の時の作曲家の言葉に続いて、
伝統的なソナタ形式の愛好、強い表出力を持つメロディが、
その特徴であると補足している。
「反復の魔法」とは、晩年まで続いた対位法へのこだわりで、
ベートーヴェン、ブラームスに続く、
ソナタだけではなく、バッハに倣って、
トッカータやプレリュード、フーガなども書いているとある。

楽譜上には、「エスプレッシーヴォ」や「アジタート」という言葉が目立ち、
「センプレ(絶えず)」、「モルト(非常に)」などが強調される。
ブラームスについても、彼は、こう書いたそうである。
「ブラームスが不滅なのは、
古いものを受け継いだからだけではなく、
新しく、想像も出来なかったような、
感情表現を醸し出すことができたからです。」

という風に、このCDは、ジャケットも個性的で、
解説もよく書いてあり、録音も優秀ということで、
総合点は高そうである。
演奏も立体的で押しが強い。
全集を作ったベルン四重奏団は、もう少し落ち着いた表現である。
こちらは残響も豊かで、疲れないのはベルン盤か。
ベルン盤は、少し克明さより幻想性を重んじているような感じ。
玄妙な美しさはこちらにあるが、ちょっと、重心が軽いような気もする。

「フィルハーモニア」では、シューベルトなら「15番」が聴きたい。
「ベルン」では、シューベルトなら「13番」が聴きたい。

実は、このベルン四重奏団の全集版の解説には、
レーガー研究者の面目躍如というべきか、
この曲の成立にまつわるエピソードなどが書かれていて、
合わせて読むと参考になる。

「前の四重奏曲から何年かして、
室内楽演奏復活の機運も盛り上がってきた頃、
レーガーは再び弦楽四重奏曲の作曲に駆り立てられた。
1903年3月、コンサートの折に着想された。
『今夜のブリュッセル四重奏団は見事の一言に尽きる。
すぐに四重奏曲が書きたくなった。
こんな思いが心の中を行き来する(1903年3月29日出版者宛)。』
しかし、まずやるべき仕事があって、
最初の大規模なオーケストラ付き合唱作品、
『Gesang der Verklarten』作品71、
ヴァイオリン・ソナタハ長調作品72、
オルガン変奏曲作品73などが書かれた。
当時、亡くなったばかりのフーゴー・ヴォルフの遺品の整理も、
彼の時間とエネルギーを消費した。
このような理由で、レーガーが、
次の四重奏曲に着手できたのは、
1903年10月1日になってからであった。
彼はこれに専念、11月には手稿を提出している。」
レーガーとヴォルフがこんな関係であったとは知らなかった。
確かに、ヴォルフの死は1903年のことである。

「この四重奏曲の交響的な側面は、
シェーンベルクが調性を破壊し、
従来の四重奏曲の殻を破って、
さらに刺激的な効果をもたらすのに先立つ、
もっとも前衛的なものであった。
一般の期待に対して対立する、
名高い二つの要素が、
再度、現れる。
深い興奮の表現、
すべての音楽パラメーターの絶え間ない変容による、
カオスのような効果。
初演は、当時の最も重要な近代音楽のフォーラム、
フランクフルトのトーンキュンストラー祭で予定されていたが、
メンバーの一人が急に病気になったので、
突然、キャンセルとなった。
それに代わって演奏されたのが、
悪名高い作品72のヴァイオリン・ソナタであった。
この作品は主音を避け続け、
俗物批評家の羊と猿が討論している様を、
『schefe』と『affe』という音の対立で表現した。
この曲の初演は非常な関心を呼び、
レーガーはドイツ室内楽における恐るべき子供と見なされ、
ドイツのどこの町でも、彼の登場はセンセーションとなった。
弦楽四重奏曲はキャンセルされたにもかかわらず、
新聞が痛烈な批判を書いたという奇妙な現象が起こった。
ここでは、レーガーが音楽祭に際して書いた作品分析が、
悪意をもって利用された。」
この、羊と猿の主題で評論家をからかったソナタの話は、
どこかで読んだことがあったが、
代わって演奏されたということは、
別の機会を想定して書いた作品だったのだろうか。

「レーガーが書いたことはこんなことであった。
彼はこの四重奏曲の表現力、情熱的な効果、突然で鋭い不協和音、
それから第一楽章の嵐のような興奮。
『不思議な第二楽章』は、『楽しげな古風な主題』で、
『アイロニックに見えるかもしれず』、短い間奏曲である。」

『』の引用が多すぎて非常に読みにくい解説だが、
ここが研究者のこだわりであろう。

「『単純な主題による変奏曲』の第三楽章については、
ほとんど触れておらず、
ロンドの終曲は、
『見せかけのフガート』で、
『禁じられた小径を元気よく彷徨う』感じ。」
この感じは私には良く分からないのだが、
音楽からは、かなり混乱した印象を受けた。
しかし、それをレーガー自身も気にしていたのか、
以下のような解説が続いている。
「『ひねくれた音楽』だと考え、
そこに何か隠されたプログラムがあると考えがちな、
俗物を先制するように、
『これは純粋な音楽表現であって、
そこにどんな隠された何かがあるかどうかは、
個々の聴衆の自由に委ねる。』」
彼の出版社への手紙からは、『活発な音楽形式』以上のものが、
そこに含まれているとも書いている。」
ますます、訳の分からない解説だが、
とにかく、問題の多い楽章であろう。

さらにレーガーはこう書いたともある。
「『作品74は、技術的には難しくありませんが、
音楽的、超心理的には困難なもので、
第一楽章から悲劇的なものを引き出す必要があり、
第三楽章(変奏曲楽章、ベックリンの“ヴァイオリンを弾く隠者”みたいな)は、
音楽的に難しく、第四楽章の開放的なユーモアは、
そんなに難しくないでしょう。
スケルツォは剽軽に聞こえるかもしれません(1904年12月30日)。』」
レーガーは年がら年中、手紙を書いていたというが、
こんな手紙を全部集めれば、それだけで、
全作品解説全集が出来そうなものだ。

しかし、こんなところでベックリンが出てくるとは思わなかった。
解説者も同様の反応をしている。

「ここでアーノルト・ベックリンについて触れているが、
これは、レーガーの『ベックリンの絵画による四つの音詩』のテーマの一つが、
この『隠者』であったことを思い出させる。
レーガーの作品には、この自ら俗世間から追放され、
モノローグに没頭するヴァイオリン弾きのポートレートが、
たびたび登場し、私たちは、深い息づかい、意味深い瞑想を感じる。」

と、まさか、以前、この欄でベックリンについて書いたことが、
まるで、この曲を予告していたかのような感じである。

ということで、シンプルな主題による第三楽章が、
世捨て人になりたいレーガーの願望を現しているとすれば、
また、違った聴き方も出来るというものであろう。

この曲を聴いた私の感じは、
第一楽章、第二楽章は、実験音楽の極地として成功しており、
特に第一楽章は冒頭から魅力的で力強く、
何やら深い感情に満ちている。
第三楽章は、方向を見失って脱線し、平明を通り越して平凡となり、
第四楽章は支離滅裂、といった感じであったが、
どうやら、レーガーは、後半2楽章にも何やら、
深い意図を込めていたようである。

しかし、その生涯を概観するつもりで、
聞き続けてきた曲集であるが、
今回は、どこに住んでいたかという情報がなかった。

前回、第二番の解説には、ワイデン時代の最後の作品とあったので、
この第三番は、次の時代に属するはずだが、何時代の作品かは分からない。
とにかく、旺盛な作曲意欲に満ちあふれていた時期だということは分かった。

今回も、まったく「ます」と関係ない作品になってしまったが、
ブリュッセル四重奏団のような団体があって、
独墺系の文化の権化のような四重奏曲、室内楽の歴史を、
側面から支えていたことに、感じ入ることがあった。

というのも、極めて個人的なことながら、
私が「ます」の五重奏曲に感銘を受けたのも、
ドイツやオーストリアのアンサンブルの演奏ではなく、
オランダの団体の演奏によってであったからである。

そんなことにも、ふと、思いを馳せた次第である。

得られた事:「レーガーは批評家をからかった曲を書く一方で、俗世からの逃避を夢見た、矛盾した側面を持つ作曲家であった。」
by franz310 | 2008-07-05 23:20 | 音楽
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