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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その59

b0083728_2134556.jpg個人的経験:
ここで、CDの内容に戻り、
さっそく、オンスロウ中期の
音楽に耳を澄ませてみよう。
CDをかけると、
冒頭から深々と歌われる
チェロの歌の
しみじみとした味わいに、
しばし陶然としてしまう。
録音も良いのだろう。

今回、ピアノがはじけ回るのとは、
まったく異なるオンスロウを初めて聴いたが、
これは素晴らしい収穫であった。
前回のCDで、
『今回、録音された二つの作品は、
オンスロウの最後の作曲時期に含まれるものである。
1846年、彼は20年にも及ぶ空白のあとピアノに戻ってきた』
などと書かれていたが、このCDは、この傑物が、その間、
何をしていたかが理解できる資料でもある。

CDの解説には、この曲はこう書かれている。
「作品34のイ短調の弦楽五重奏曲の
第一楽章(アレグロ)ではチェロが主題呈示を行い、
第一ヴァイオリンが引き継ぎ、これを完結する。
チェロは第一ヴァイオリンとほとんど等しい地位で主題呈示し、
オンスロウのチェロへの愛を示し、
ダブルベースによる支持によって、
通常の低音機能というものから
楽器を切り離して自由にすることに成功している。」
オンスロウのチェロへの愛情はかくのものであった。
ぶっきらぼうな始まり方ではあるが、非常に深々とした息遣いが、
大変印象的である。

「第一主題の展開から派生した半音階的な動機が、
直接、第二主題を導き、柔軟なチェロのカンティレーナが、
並行三度とオクターブで4小節を広げていく。」
確かに、さきほどのぶっきらぼうな印象から流れ出すメロディは美しく、
夢見るようなチェロの歌が美しく、
ヴァイオリンが同格で受け止める展開は、豊かな幻想性を感じさせる。

「続く部分では、各楽器のきらびやかなパッセージが、
テーマの展開につれて交錯する。」
この色彩的で、いくぶん気まぐれな印象が、
後年の作品と共通し、オンスロウの個性として認識できた。

「メヌエットは、4小節のユニゾンで始められ、
スタッカートの動機、点描風の進行によって特徴付けられる。
トリオの部分では、いろいろな楽器ペアによって、
民謡風のメロディが導かれ、メヌエット部と対照を際立たせる。」
これまた、渋さと平易さが混在する楽章である。

「ヘ長調のアダージョ・エスプレッシーヴォは、
声部交代の技巧の模範例である。
ヴィオラが感情表出力のある8小節の主題を奏し、
ダブルベースのピッチカートに支えられながら、
低い音域で第二ヴァイオリンとチェロが伴奏する。
次の変形では、第一ヴァイオリンが上の声部を歌って、
チェロの主題提示を彩る。」
ゆっくりした優美な楽章で、
ここでも、愛するチェロは別格。
ついつい美しいメロディが、飛び出して来るといった感じだ。

「終楽章は、異常に長く、
またしても、チェロによって提示され、
第一ヴァイオリンによって続けられる明るく技巧的な主題が、
ピッチカートによって、魅力的にサポートされる。
ホ長調の第二主題は、楽章の進行に従って、
陽気な技巧の連続によってかき消されてしまう。」
奇妙な表現であるが、確かに、せっかく出てきた美しい主題は、
ぺちゃくちゃしゃべるヴァイオリンや、フーガ的な展開によって、
どこかに行ってしまう感じである。
6分しかないので、異常に長いとは思えないが、
ちょこまか動き回る感じがくどいということなのであろうか。

いずれにせよ、この曲を聴くことによって、
オンスロウが「室内楽の巨匠」であることも、
チェロの美しさを表出するのに、卓越した手法を繰り広げたことも、
よくわかる。
コントラバスの下支えによって、これが可能になったのである。

では、次の曲(作品35)はいかがであろうか。
「作品35の弦楽五重奏曲ト長調における、
オンスロウの主題の取り扱いは、少し違ったものである。
アレグロ・スピリチュオーソ・アッサイの開始部は、
作品34の五重奏曲の地味な主題の複合体とは対照的に、
小さなほとんど断章のような動機群から成っている。
技巧的な動機が繰り返され和声的に変奏されて、
主題の展開の代わりを務める。」
メロディアスというよりも、技巧的なパッセージが、
表情を変えながら積み重なっていく感じの曲であるが、
ヴァイオリンやチェロが、断片的に意味深い会話を交わすあたりなど、
とても、耳の心地良い。

「ゆっくり、のっそりしたト短調のメヌエットは幾分軽いものだが、
ト長調のリリカルなトリオ部はもっと活気があって、優雅である。」
確かに、トリオ部の優美なメロディは、うっとりするように、
チェロで歌われるが、主部は切迫してあわただしい。

「大きく弧を描く、面白いリズムのチェロのメロディが、
変ホ長調のアンダンテ・カンタービレを開始する。
チェロと第一ヴァイオリンが楽しげに交互に主題を運ぶが、
各楽器の独奏の役割への分配が、
テクスチュアを緩くしてしまうオンスロウの傾向をよく表わしている。」
なるほど、やはり気まぐれなところが、
集中力を欠くといった感じであろうか。
アンダンテ・カンタービレというには、
あまりにもちょこまかと動きすぎる感じはするが。
主題は特徴的であり、小技は利かせられるが、
大きな流れにまで発展しないのが問題といえば問題か。

「終楽章のプレストは、第一楽章の内的混乱を引き継ぐ。
同時代のレビューによると、
『短く、無駄なく、からかうようで、奇妙な』、
と主要主題を表現している。
一方で、ダブルベースとヴィオラの古風な伴奏が、
民族的なクオリティの副主題を導く。
派生した3連音の動機が展開部で支配的な役割を果たす。」
この楽章も、極めて快活で、ハイドン的なアイデアに満ち、
どこに向っているかわからないような錯覚を覚える。

「19世紀の保守的な批評家から賞賛を勝ち得たのは、
オンスロウが、ヴィーン古典派の形式を信奉し続けたからである。
弦楽五重奏曲の形式は、
楽器間のソロの交錯、様々な声部のグルーピング、
楽器の役割の入れ替えなどを含む、多様な作品の変容の道を開いた。
古典形式の枠内の可能性を創造的に活用することによって、
音楽に豊かな創意に富んだメロディを吹き込むことによって、
オンスロウは19世紀のこのジャンルで重要な代表的人物となったのである。」
古典形式を使いまわして、
その限界まで使い尽くした作曲家であったが、
結局、枠から外れることがなかったということであろうか。
確かに、この中期の作品と、前回取り上げたCDの後期の作品の間で、
際立った違いは楽器編成だけといった感じがしなくはない。
20年も隔たりがあるにもかかわらず、オンスロウは、
才能に溢れた、よき趣味人であり、
ベートーヴェンのような革新者でも、
シューベルトのように、
音楽に全てを捧げた啓示的存在でもなかった、
ということであろう。

生涯を貫く太い流れがあって、
そこに明らかな発展があるという大作曲家ではなかったかもしれないが、
心が豊かに満たされる音楽を書いた人であったということが、
このCDからも教えられるのである。
確かに、このCDに収められた作曲家の肖像からも、
趣味人の余裕のようなものが感じられないだろうか。

得られたこと:「チェロが活躍するためには、コントラバスの導入が効果的である。」
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by franz310 | 2007-02-25 21:06 | シューベルト
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