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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その52

b0083728_10112462.jpg個人的体験:
往年のヴィーンを代表する、
コンツェルトハウス四重奏団と
バリリ四重奏団。
私は、自分でも、
どちらの演奏家が好きなのか、
分からないでいる。

もっと、身近に接していた人は、
どうなのだろうか。

彼らと、同じ曲目「ます」で協演したピアニスト、バドゥラ=スコダは、
常々、1950年、コンツェルトハウス四重奏団との録音を評価していたようだ。

この二つの演奏が、
一つのCDに収められたものが
日本で出された時、その解説には、
「私個人としてはコンツェルトハウス
弦楽四重奏団とのものの方が気に入っています。」
と明言しているからである。

バリリとの協演についても、
「技術的にはより完成されたものができた」とか、
「収録作業には3セッションかかりました」とか、
生真面目なバリリの性格を反映したであろう記述が興味深い。

しかし、私が聴くかぎり、コンツェルトハウスとの協演が、
そんなに素晴らしいとも思えない。
シューベルトの専門家としても名高いスコダが、
これで満足しているとしたら、不思議としか言いようがない。

そんな思いを確かめるためのようなCDが、
イタリアのAmiata Recordsから出ているのは喜ばしい。
このCDは2枚組で、あの日本で出た盤と同様、2つの演奏を収めたものだ。
ただし、一枚目には、1997年に改めて、
若いメンバーと協演したディジタル録音が収められ、
二枚目には、あのコンツェルトハウスとの協演盤が、
ディジタル・リマスターされて収められている。

CDの題名は「IN THE MIRROR OF TIME」。
時の鏡?往年の自分の演奏に、自分の姿を見る、
という意味合いであろうか。

その期待に漏れず、
昔年の録音をなつかしむ発言が、ここにも記載されている。

About the recording:
「これらの作品(「ます」以外にも、もう一曲が併録されている)の
最初の録音は、ヨーゼフ・ヘルマンのコントラバスと
コンツェルトハウス弦楽四重奏団と一緒に行なった、
1950年、ヴィーンのコンツェルトハウスの
モーツァルト・ザールでのものに遡ります。

それは、私の生涯のとても美しい時期でした。
将来の妻、エヴァと婚約しており、
たった1回のセッションでこれを録音できました。

これが、ワールドワイドの成功を収めるとは
思ってもいなかったので、それも幸せでした。

それから47年後、97年の五月になされた新しい録音も、
幸運の星の下に生まれました。私と協演した若いメンバーは、
理想的なパートナーで、我々のコラボレーションは、
純粋な喜びとなりました。」

1回のセッションで録音できたということが、
この文章からも、よく読み取れる。バリリとは3回かかったのである。

さて、このCDの曲目解説も、スコダ自身のものなのでありがたい。
ここから、彼がこの作品に何を見ているかが読み取れよう。
(ただし、スコダは、ドイツ語で書いたものであろう、
英訳は、めちゃくちゃなところがある。)

「疑いなく、五重奏曲「ます」は、
クラシック音楽の中で最もポピュラーな作品です。
その名声は、モーツァルトのセレナーデ「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」や
ヴィヴァルディの「四季」に比較できるでしょう。
この信じられないほど感動的な作品が、
何故、かくも容易に、聴衆の心に、
晴朗さと喜びを染みこませるすべをもっているか、
単に古典的というだけでは片付けられないでしょう。

たくさんの真に偉大な作曲家の場合と同様、
この作品は、シリアスな音楽と、
エンターテイメント音楽の境界を無効にしています。

この五重奏曲は、シュタイアーのパトロン、
ジルヴェスター・パウムガルトナーの招待を受けて着想されたものです。
1858年のフェルディナント・ルーイプ宛の手紙で、
シューベルトの友人の一人、アルベルト・シュタッドラーは、
はっきりとこう書いています。

『彼(シューベルト)は、楽しい歌曲(ますの歌曲)に対して
賛嘆していたジルヴェスター・パウムガルトナーに勧められて作曲した。
パウムガルトナーによると、
この五重奏曲にはフンメルの最後の五重奏曲(七重奏曲)の影響がある。
シューベルトは、この作品を非常に賛嘆していた。』

事実、1819年の夏にシューベルトは、友人の一人、
声楽家のヨハン・ミヒャエル・フォーゲルと共に、
シュタイアーで休暇を過ごしました。

そして、しばしばサロン・コンサートが開催されていた
パウムガルテンズ・ハウスに滞在したのです。

フンメルの七重奏曲ニ短調は、ヴィーンで出版され、
彼のほかのピアノ付き五重奏曲の一つも、
その時代のものと考えられます。
この作品が室内楽のレパートリーから忘れられているのは不思議なことです。

フンメルの五重奏曲は4つの楽章で書かれています。
シューベルトは、この作品からインスパイアされましたが、
第一楽章とスケルツォの間に、
一つのとても魅惑的なアンダンテをおいて、
全体を、プレスト-レント-プレスト-レント-プレストという、
大きなシンメトリー構造にしています。

調性のシークェンスとしてもまた、
同じようにA-F-A-D-Aというハーモニーを辿ります。
テンポの構造一つとっても、あるバランスが発見できます。

第二と第五の両楽章は、まるでソナタの一部のようですが、
直線的な発展なしに、むしろ御伽噺のようで、夢見るように、
厳格でなく作られています。

これは1817年から19年の間の
シューベルトの典型的な作曲スタイルですが、
他の3つの楽章は、もっと複雑なアレンジがなされています。

第一楽章にさらに注意を払うと、
それは注意深く、古典的なソナタのテンポで扱われ、
各パートのフレージングを生み出しています。

主要主題は二つの動機を有し、
互いに非常に違ったものとなっています。

ピアノによって演奏される、突然爆発するような「ロケットのようなもの」と、
新鮮でハイドンの四重奏曲を思わせるメロディアスなモチーフです。

メロディの展開にも、シューベルトは
ベートーヴェン的なサウンドのアプローチを見せ、
それは、すべての楽器とたくさんの調性をうまく使いこなしています。

彼は音を強く押し出して繰り返しますが、
それは、しばし変奏曲の形で中断します。

第三楽章のスケルツォは、
酔っ払ったようなトリオで性格付けされていて、
その主題の変奏によって終結します。

「ます」の歌曲による変奏曲は、
有名なパッセージから最も遠い第四のテンポに基づいています。

シューベルトは主題を非常に穏やかに、
まるで弦楽四重奏曲のために書かれているかのように、厳かに導きます。
それにもかかわらず、前の変奏で彼は、他の形を採用しました。
それは、ハイドンが皇帝四重奏曲ですでに経験したコラール変奏曲の形です。

主題は、ピアノ、ヴィオラ、そしてバスのためには変化せず、
しかし、実際には豊かさを増しながら、いくらか装飾されていきます。

第四変奏曲にて、シューベルトはこの構成からはなれ、
突然のニ短調の完全に主題から離れた土砂降りのようなものを挿入しますが、
それはへ長調で和らげられます。

悲歌的な第五変奏では、独奏チェロが、ますの主題を奏で、
ロマンティックな間奏曲の後、新鮮で生き生きとしたオリジナルの形で、
歌曲の主題が帰って来ますが、それは、ますの敏捷なますの動きを思わせます。

この五重奏曲の作曲の期日について一言。
1823年の夏、それから2年後の1825年にも、
シューベルトはシュタイアーにいました。

最近の研究には、五重奏曲の作曲を、
もう少し遅い日付に位置づけるものもあります。

もしそうだとすれば、
フンメルの最後の五重奏曲の一つ、変ホ長調のものが、
シューベルトのインスピレーションの源泉になったのかもしれません。

しかし、その仮定は、完全に実証されたわけではありません。

「未完成」を経た、後の器楽曲においては、
ますの五重奏曲よりさらに複雑な音楽的フレームワークが見られるからです。

不幸なことに、我々は、正確な作曲の日付は分かりません。
あるシューベルト研究家、マックス・フリードレンダーの見解によると、
オリジナルの手稿は、19世紀の終わりに、
シュタイアーの商人に、紙くずとして売られたということです。」

このように、解説としては、楽曲の分析まで立ち入って、
研究家ならではのもの。しかも、この作品への愛情が感じられて好ましい。

1997年、ブラティスラヴァで録音された新しい方の演奏は、
無名の人たちを集めての共演であるが、想像を超えて秀逸である。

共演者も若いのだろうが、スコダの若やいだ軽やかさが微笑ましい。
コンツェルトハウス盤と同様、速めのテンポで、かつ美音ながら、
弾き飛ばしている感じがせず、非常にデリケートな表情があって、
心惹かれる。バリリ盤のような硬さも、もちろんない。

特に、スコダ自身、
「非常に魅惑的なアンダンテ」と呼んだ、第二楽章には、私も満足した。
これを聴くと、カンパーは職人芸で逃げ切った感じすらある。

スコダの再録音の意図は、成功したものと思われる。これは買いである。

ヴァイオリンは、1974年生まれキエフ出身のペルガメンチコフ、
ヴィオラはセント・ペレルスブルク出身のマツレンコ、女性なので生年不明。

チェロは76年、Gifhorn生まれのボホケッツ、
コントラバスは、64年生まれ、ドイツ出身のツィーグラーである。

チェロは文化村賞を受賞しており、
ヴィオラは今井信子に師事したとあるから、
日本にも縁のある若手たちのようである。

1950年録音のコンツェルトハウスとの協演の2枚目のCDも、
フランチェスコ・バレリーニという人のマスタリングとあり、
日本盤とは、音が少し違って、明るく聞こえる。
新しい演奏に比べ、ほとんど遜色なく聞こえるのは驚異であった。

b0083728_1031651.jpgしかし、この商品も万全とはいえない。
演奏とは反対に、
このCD、ジャケット写真は、
少々、大味なものを感じる。

ますが飛び跳ねそうな風景というより、
なんとなくブラックバスか何か、
あるいは、
ネッシーが出て来そうではないだろうか。
ただし、
中のスコダの写真にはいかすものもある。

得られること:「演奏家は、録音時に取り巻いた環境や、セッションの数で、レコードの良し悪しを判断することがある。」
by franz310 | 2007-01-07 10:32 | 音楽
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