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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その44

b0083728_21305128.jpg個人的経験:
アマデウス四重奏団の、
ヴァイオリンとヴィオラ奏者の
先生に当たるのが、
マックス・ロスタルであることは、
すでに述べたし、
アマデウス四重奏団に関する、
ちょっと詳しい解説には、
必ず、このことは、
記されている。


では、このロスタルという人について、
どれくらい知っているか、
あるいは、知る必要があるか、
ということに関しては、
通常、深く考えることはないのではないだろうか。

そもそも、興味のある音楽家が、
出てくるたびに、その先生が何者であるかまでを、
いちいち調べだしていたら、とんでもないことになる。

しかし、今回は、たまたまであるが、
私は、ふと、あの、独特の音色を持つ、
ブレイニンやシドロフを教えた人に思いを馳せた。

それは、本当に、偶然の事なのであるが、
この人の名前を、別の場所で見たことがあることに、
ふと、気づいたのである。

b0083728_21332655.jpgかつて、新星堂が、
「シューベルト 名演の遺産」
というシリーズを出した時に、
ヴァイオリン曲集の音源として
使われていたのが、
この、ロスタルの
55年、56年の盤だった。

私は、
シューベルトの
ヴァイオリン曲も好きなので、
このCDを買うか買わないか、
ずっと、悩んでいた。


当時は、近くに新星堂があったので、
(ずっと、つぶれないでがんばっていたが、
近年、遂に、力尽きたのは残念。)
何度か、これを手にして購入を検討した。

しかし、CD裏に出ている、
不気味なうす笑いの老人が演奏しているのかと思うと、
若くして亡くなったシューベルトの、さらに若い頃の作品に、
この風貌は、まったく相応しくない、という結論に達して、
結局、購入しなかったのである。
また、ホースレイというピアニストも、全く知らない人だった。

しかし、まだ、新星堂では、このCDは入手可能で、
さっそく購入して聞いてみることにした。
さすが、「アマデウス」の音色の根源であるだけに、
何だか妙に、懐かしく味わいの濃い演奏である。
闊達な演奏ではなく、派手な技巧も全面に出さないものの、
音色も深く、表情も、時に不自然なほど豊かである。

アマデウス四重奏団は、
イギリスでこの人の教えを受けたとあるので、
てっきり、その先生というのは、
端正なイギリス紳士だと思っていたのだが、
実は、この魔法使いのような風貌の老人が、彼らの先生だと、
ようやく頭の中で結びついて、私は複雑な思いを禁じえなかった。

そもそも、このCDにある丁寧な解説を読むと、
彼はポーランドの出で、ベルリンにいたとき、
ナチスに追われてイギリスに帰化したとあって、
アマデウスのメンバーと代わらない境遇であったことが分かる。
つまり、先生も生徒も、独墺圏にいたのであり、ヒトラーのせいで、
場所を変えて練習していた形だったのである。

1905年生まれで、つい、近年、1991年まで健在だった模様。
そんな高齢であれば、
魔法使いの笑みを浮かべたとしても不思議ではなかった。

b0083728_21355177.jpg実は、輸入盤(テスタメント)には、
ロスタルのヴァイオリンで、
イギリスの作曲家の作品を
集めたCDもあって、
これを見ると、
若い頃は、当然、老人でもなく、
魔法使いとも違って、
かなり洒落た雰囲気を持った
ヴァイオリニストであったことが分かる。


このCDは、ピアノのホースレイとの最初の協演だったらしく、
55年の録音とあり、
(アマデウスの「ます」の3年前だ)
例の新星堂のシューベルトに先立って録音されたもののようだ。
従って、50歳頃のロスタルは、教師として活動していただけでなく、
活発に録音もしていたということだ。
(この頃、弟子たちの四重奏団の方もまた、すでに世界中を演奏旅行し、
レコーディングも開始していた。)

ということで、あの新星堂の妖怪老人の写真は、
「ちょっと、違いすぎるだろう」というのが感想。
かといって、テスタメント盤のロスタルの写真は、
CDを買う時に、かなり有利に働くが、
「これはこれで、若すぎるのではないか」と思う。
撮影年代までは書いてないので、私の間違いかも知れないが。

このテスタメントのCDの解説には、
23年の長きにわたって、ロスタルと協演した
ホースレイの言葉が出ていて、
ロスタルの人柄を垣間見ることが出来る。
「一緒に仕事をするのに素晴らしい相手、
単に信頼できるというだけでなく、最も信頼すべき人物。
ミスをすることがなく、いらいらすることもなく、
乱暴な言葉を使ったこともなかった。」

おや、まさしく「紳士」ではないか。
亡命していた先に、たくさんの弟子が集まって来た理由が、
こんな一言からも分かるではないか。

さて、このロスタル自身は、
ウィーンでロゼーに、ベルリンではフレッシュに学んだとある。
フレッシュも有名な大家だが、ロゼーといえば、
マーラーの妹と結婚したウィーン・フィルのコンサート・マスターとして、
この大作曲家の伝記には必ず登場するので、私には親しみが湧く。

こうして、マーラーに始まり、ロゼー、ロスタルの系譜の上の、
「アマデウス四重奏団」という流れが印象付けられた。
ちなみに、ロゼーも38年にロンドンに亡命したらしい。

ロスタルのもう1人の師、フレッシュだってハンガリー出身である。
マックス・ロスタルという人は、とにかく、古典的なヴァイオリンの系譜に連なる、
エッセンスのような音楽家だったと考えるべきなのだろう。
魔法使いのような笑みも漏らすわけである。

ロゼー弦楽四重奏団の戦前のレコードもCDに復刻されていて、
録音は悪いながらも、非常に華のある演奏である。
これが、マーラーが聞いていた時代のベートーヴェンかと想像すると、
妙に嬉しくなってしまう。

このように、ロゼーや、ロスタルの演奏を聴いて、改めて感じるのは、
弦楽器の美感には、当然のことながら、
その楽器ならではのものがあるということだった。
心の痛みや憧れを呼び起こす、搾り出すようなもの。
遠くの山並みが、空気の中にすうっと消えて行くようなもの。
小さな節回しの中でも、鮮やかに変化する音色みたいなもの。

こうした、名人芸が即興的に、ちりばめられているのが、
ヴァイオリンの華なのではなかろうか。

アマデウス四重奏団の弾く「ます」の演奏は、
大きなレコード会社であるEMIが、事あるごとに、廉価版に採用するので、
近年亡くなったジュリーニ指揮を目当てにCDを購入しても、
たまたま付いて来たりする。
「未完成」の他、最近、聞かれなくなったピアニスト、
アニエヴァスの弾く「即興曲」が入っていたりすると、
同じ演奏を持っていても、ついつい手を伸ばしてしまう。

ジャケットデザインは、コロー?で、とてもシックである。
この画家は1796年生まれだから、シューベルトと一歳違いである。
したがって、生きた場所は違うが、時代的には合っている。

1875年まで生きたせいか、シューベルトなどより、
このフランスの画家は、現代に近い人のような気がする。
そのせいか、あるいは、逆に、その絵がそう思わせるのか、
牧歌的な情景とはいえ、シューベルトの描く牧歌的な世界とは異なり、
牧神やニンフが戯れて、完全に大嘘みえみえの世界である。
このあたり、産業革命が進んで、
もはや、人間が後戻りできなくなっていることを暗示している。

それにしても、シューベルトの「ます」には、
こうした装飾的、暗示的な美学ではなく、もっと、
直接的、あるいは、手ごたえの有る自然が感じられるのは何故だろう。
(そうした側面を無視した演奏も多いのは事実であるが。)

1875年まで、生きた人ならば、
マーラーやロゼーと、生きた時代が重なって来る。
コローが、その長い生を生きている間、シューベルト、ベルリオーズ、
メンデルスゾーン、ショパン、シューマンといった、
盛期ロマン派の多彩な天才たちが生まれ、死んでいったことに、
ちょっと思いを馳せてしまった。

廉価盤なので、まったく解説はない。
「未完成」交響曲と、「ます」の五重奏曲を、
一緒に聴きたくなる心境というのは、
私には想像できないが、シューベルトの器楽を一枚で味わおうとしたら、
こうなるのであろう。

さて、前述のような、ロスタル体験をした後で、このCDを聞くと、
アマデウスのメンバーも、師と同様、様々な色合いで、
細部の表情に工夫し、音楽を奏でていることが察せられる。

ただし、カナダ製で、「Crystal-Clear digital sound」などと、能書きが書かれると、
どうも、そうした繊細なニュアンスがぶっとんでいるようにも思える。
実際、音質はどうもそんな感じだ。

むしろ、ロスタルのCDの方が、古いのに豊かな響きが堪能できる。

得られたこと:「演奏家の師匠の音から、聴き方を教わることもある。」
その2:「演奏と、演奏家の写真は、同時期のものであるべきだ。」
by franz310 | 2006-11-12 21:44 | 音楽
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