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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その43

名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その43_b0083728_2352959.jpg個人的経験:
貴重な記録として、
ライブ録音を収めた
CDとして、アメリカの
ブタペスト、ジュリアード
各四重奏団を見てきたが、
ヨーロッパでも、
アマデウス四重奏団の、
BBCによる記録が、
CD化されている。


アマデウス四重奏団の演奏した、「ます」については、
2種類のスタジオ録音をすでに
このシリーズでも取り上げていて、
さらには、テスタメントのDVDまで紹介しているので、
また、そこに戻るのは、ためらわれるものの、
ライブのCDという流れで、
無視するわけにはいかない。

ピアノは、DVDと同じカーゾン。
コントラバスは、EMIへの録音時と同じ、メレットである。

アマデウスの録音は、まとめると、以下のようになる。

58年、H.メニューヒン(ピアノ) E.メレット(コントラバス)(EMI盤)
71年、C.カーゾン(ピアノ)   E.メレット(コントラバス)(BBC盤)
75年、E.ギレリス(ピアノ)   R.ゼペリッツ(コントラバス)(グラモフォン盤)
77年、C.カーゾン(ピアノ)   R.スラットフォード(コントラバス)(テスタメントDVD)

ということで、メニューヒンと、ギレリスの中間に位置する録音だが、
聞き比べると、メニューヒン盤はこじんまりしており、
ギレリス盤は、今回のものに比べると、窮屈で伸びやかさが足りない。
清水のごときカーゾンのピアノの流れの美しいこと。

ジュリアード四重奏団のような、強烈さはないが、
何か、みんなで同じ夢を見ているような安堵感がここにはある。

アマデウス四重奏団の、「ます」のCDの演奏としては、
これが一番乗っているかもしれない。
ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでの実況なので、
聴衆の質が良かったのだろうか。

とはいえ、録音は、さすがに、スタジオ録音の方が、鮮度が高い。
微妙な位置づけである。

ジャケット写真は、BBCらしいというべきか、質実であるが、
そこそこに美しい仕上がりだ。

さらに、こうした記録物は、中の解説が楽しみである、
この手のものなので、曲目解説はなく、
演奏家のエピソードであるが、
これまた勉強になった。

以下に、書いてあったことを意訳する。

「1987年8月、ピーター・シドロフの突然の死の時点で、
アマデウス四重奏団は一度のメンバー変更もなく、
40年の活動を続けてきた。
高い声部を受け持つ3人のプレーヤーは、
第三帝国からの亡命者で、
英国の収容キャンプで出会い、マックス・ロスタルに付いた。
ロスタルには他にスザンヌ・ローザという弟子がいて、
英国のチェリスト、マーティン・ロヴェットの妻となった。
このようにして、4人のメンバーが集まり、
四重奏団が出来た。」

こう書くと、スザンヌもメンバーに見えるが、夫がメンバーである。

「彼らは、最初の公開演奏をブレイニン四重奏団として、
47年にデヴォンのダーティントンホールで行った。
この機会に、彼らは、モーツァルトの「ホフマイスター四重奏曲」と、
シューベルトの「死と乙女」、
ベートーヴェンの「ラズモフスキー第三」を演奏した。」

「アマデウス四重奏団としての公式デビューでは、
ロンドンのウィグモアホールで、
翌年の1月に行い、ベートーヴェンを再演、
モーツァルトのニ短調で始め、
ヴェルディの四重奏曲を演奏した。
最後の作品は、彼らのレパートリーとしてはいささか変則的だが、
長い間、愛着を保持した。」

実際、ヴェルディの四重奏曲は、
彼らは、活動の終わり頃にもCD録音していた。

「彼らは偉大なオーストリア、ドイツ系の伝統を専門にし、
たとえ、いくつかの20世紀の作品を演奏したとしても、
彼らは、ハイドンやモーツァルト、
ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスの
比類ない解釈で知られた。」

ここからが、面白いところで、解説者が体験を語っている。

「私はBBCのプロデューサーとして、
アマデウスと仕事をする機会を
たくさん持つことができた。
彼らのリハーサルは、例外なく、
十分な会話からはじまり
(しばしば、熱い議論になった)、
それから実際の演奏に入るのであった。
また、もし、彼らの独特なサウンドを、
マイクロフォンに捉えられていないと、
彼らは、非常にフラストレーションを感じた。」

仲の良いじいさんたちという感じではなさそうだ。

「アマデウスは、
ブレイニンの高度に個人的な表現力の高い質のスタイルに負っている。
彼のスタイルは、暖かいヴィブラートに支えられた、
非常に特別な感情の率直さが特徴だ。
ハイドンの作品54の四重奏曲の
最後の2曲の緩徐楽章や、
ベートーヴェンの作品130のカバティーナに、
彼の素晴らしい即興性を、
彼を聴いた誰もが認める。」

「ブレイニンが、人間の声のようにヴァイオリンを語らせ、
音楽のハートに正しく浸透させるのは忘れられない。
モーツァルトの協奏交響曲の緩徐楽章では、
悲劇的なオペラのデュエットのように、
ブレイニンのために作られた曲のようにも思える。
シドロフとよく協演したが、私の経験では、
彼らは誰の演奏よりもよかった。」

「ニッセルについていえば、
世界最高の第二ヴァイオリンだった。
彼は、ブレイニンの表現力に富んだ激しさを補完し、
四重奏のすべての音が、どのようにブレンドされるべきかを、
本当に知っていた人だった。」

「マーティン・ロヴェットは、
単にアンサンブルの支えにとどまらず、
解釈の面で、きわめて重要な貢献者なのである。」

これらが、四重奏団の紹介だが、
カーゾンの紹介の方は、さらに傑作である。

「クリフォード・カーゾンは、シュナーベルの弟子の1人であった。
(もう1人の先生は、ハープシコードのワンダ・ランドフスカで、
彼女は、カーゾンがシュナーベルに入れあげているのを案じて、
「シュナーベルは無味乾燥だ」と意外な忠告をした。)
カーゾンは、
何よりも威厳ある質感のブラームス演奏で知られている。
2つの協奏曲と作品5のソナタは彼の得意とするもので、
さらに記憶すべきは、シューベルトに持ち込んだ暖かさと愛情で、
ニ長調のソナタD850のスケルツォのレントラーのようなパッセージは、
大変魅力的な快活さを持っている。
終曲は、子供のような天真爛漫さと成熟した英知の融合である。」

このへんは、まあ、少しは知っていた。しかし、これから、
そのエキセントリックな部分の紹介が始まる。

「このような演奏では、ほとんどノイローゼにも近い、
多大な準備の形跡は押し隠されている。
カーゾンは、彼が呼ぶところの「完成された自発性」を目指していた。
「私はしばしば19通りの演奏を放棄する」と彼は一度、語ったことがある。
「20番目の方法に到達する前に。それからそれを磨き上げるんだ。」
BBCの室内楽のヘッドだった頃、
ハンス・ケラーは、彼がプランしているプログラムのために、
カーゾンにモーツァルトのイ単調K310をお願いしたことがあると、私に語った。
「喜んで」と、カーゾンは回答した「3年が必要ですが」。
そして、結局、レパートリーに加わることはなかった。」

ソナタを一曲練習するのに3年!!

「カーゾンの解釈の、はなはだしく長い懐妊期間は、
完璧な追及の結果ではなく、
むしろ、彼が常に、新しくて、
さらに深い何かを発見するかもしれないという、
真正の心配によるものだった。」

この後、モーツァルトの協奏曲の録音と、
発売禁止の連発の話がある。
録音が終わるたびに、彼は、ああすればよかった、
こうすればよかったと、
新しい発見をしてしまうらしい。

さらに、様々な色のペンで、書き込みがなされ、もはや、
もとの音符が見えなくなっていた、
愛用の楽譜の話などが出てくる。

得られたこと:「ライブ録音のCDは、音質に問題があっても、スタジオ録音より、伸びやかな演奏が記録される場合がある。また、演奏家に興味があるとき、その解説は、非常に重要な文献となる。」
by franz310 | 2006-11-04 23:52 | 音楽
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