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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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どじょうちゃんの悲しい過去が、クロメダカちゃんの遺志を継ぐべきか悩ませしむる。

b0083728_23135254.jpgどじょうちゃんが、
川の近くの
田んぼの水路から、
他の仲間と
連れてこられたのは、
ちょうど去年のこと。
まだ、田植えが、
始まるか、
始まらないかの季節。

どじょうちゃんの、
恐るべきすばやさに、
今の飼い主は驚嘆し、
眼を白黒させて息を弾ませた。


しかし、驚嘆したのは、
どじょうちゃんとて同じこと。
あぜ道に沿って、
牛若か、弁慶かと、ひらりひらり。どたばたどたばた。
あっちこっちと飛び回るおっさんを見て、
「ここまでやるか?」と考えていた。
「自然破壊じゃねーの?」

とうとう、呆れたように根負けし、捕縛され、連れてこられたが、
閉じ込められたのは、このような水槽の中ではなかった。

まずは、
いつかの焼物市でGETしたという、
飼い主自慢の信楽焼の甕に入れられ、
屋外に放置されたのである。

その時は、照りつける太陽が、
甕を焦がし、このまま深川鍋だか、
コマガタどぜうにでも、なるかと思った。
しかし、そんな事は序の口だった。
もっと、もっと、恐ろしいことが、
待っていたのである。

折りしも日本列島を襲った台風は、
B29の大群と見まがうばかりに、
あちらこちらに、雨あられと雨水を吹き散らし、
無邪気に高波を楽しんでいた、
仲間たちもろとも、甕から水が溢れ出した。

その時の、雨音、雷鳴のすさまじさは、
悲しく消えていく仲間たちの叫びを、
かき消すほどのものだったが、
どじょうちゃんの耳の奥には、
それらが渾然一体となって、こびりついていた。

「わーっ、もう駄目だ~。」
「助けて~っ、高波にさらわれる~っう!」
びかびかびかっと光る稲妻は、
まるで、フラッシュのように、恐怖に引きつった、
仲間たちの表情を照らし出した。

どじょうちゃんは、
そこで、助けを求める仲間たちに、
ひれを差し伸べることは出来なかった。
恐怖で、細い体がすくんでしまい、
イカナゴの釘煮よろしく、
消えていく仲間たちとは反対に、
水底に沈むのを選んだのである。

どじょうちゃんは、もうすっかり、そんなことを忘れていた。
いや、忘れようとしていたのだ。
だが、今回、力強く屋外に雄飛しようと考えたとたん、
その、今、イワシ、もとい、忌まわしい過去が、
鮮明に蘇って来たのである。

どじょうちゃんが、ずっと封印していた感情。
卑怯にも、仲間を見殺しにして、
おめおめと自分ひとりが生き残ってしまった。
認めたくはない。しかし、認めざるを得ない、
そんな想いが、どじょうちゃんの心の臓を、
きりきりきりと、締め付けたのであった。

どじょうちゃんが、それを思い出して
水槽の底に固まって、フセインか、麻原か、
といった具合にがたがた震えていると、
貝ちゃんが、そっと近づいて来て耳打ちをした。
by franz310 | 2006-08-08 23:38 | どじょうちゃん
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