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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その20

b0083728_2282138.jpg個人的経験、演奏、デザイン、解説比較:
ギレリスやタッシのレコードの翌年、
「ます」のレコードの、歴史を画する録音が現れる。

長らく等閑視されていた、
シューベルトのピアノ・ソナタを体系的に録音し、
本までを執筆して、この作曲家を精力的に紹介していた、
ブレンデルの演奏によるものである。


批評家はこぞって褒めたし、
もちろん、レコード芸術誌は、
「シューベルトの音楽そのものの純粋性を表出した、
稀有の一例である」と推薦盤にした。

だが、このレコードは、私の中に最悪の印象を刻み込むのに十分であった。
まず、ジャケットの印象が悪い。

クラシックのレコードには、
演奏家が写っている写真をあしらっただけのものが多いが、
にやけたおっさんたちが、わけも分からずにやにやしている写真は、
まったくもって、何のありがたみもない。

この演奏家を、親しく良く知っている人になら、
意味もあろうが、会ったこともない人の写真を見せられても、
途方に暮れるだけである。楽器でも弾いていれば、
それなりにありがたみもあろうが、このジャケットの写真では、
誰が何の楽器を弾くのかすら分からない。
服装もラフで、キャンプにでも来たような表情である。

とても、これから演奏を聴いてもらうという態度ではないだろう。

次に演奏家であるが、なぜに、ヨーロッパの誇るフィリップス・レーベルが、
クリーブランド四重奏団を使う必要があったのだろう。
もう、この時点で、もうちぐはぐな印象でいっぱいである。

こんな演奏の商品化は、RCAあたりに任せておけば良いのである。
RCAから出たライブ録音盤だったら、これは珍しいと、私も珍重していたかもしれない。

フィリップスはやがて、ヨーロッパに根ざしたアイデンティティを失っていくが、
このレコードは、その崩壊の始まりを象徴する歴史的録音だと思うのである。

演奏がまた、まったくこのジャケットにそぐわない。
さらに恐ろしいことに、シューベルトにもそぐわない。
先にレコード芸術が、「純粋性を表出した稀有な一例」と書いていたが、
これはつまり、シューベルトとも、シュタイアーの自然とも、
すっかり手が切れた、少なくとも私にとっては、
まったく無意味な演奏であることを、的確に見抜いた批評だったのかもしれない。

ブレンデルのピアノは断定的であり、
シューベルトの青春の初々しさからかけ離れている。
弦楽も、ほとんど鳴っているだけである。
恐ろしいことに、この後、この曲のレコードを語るときに、
必ず筆頭に掲げられたのがこのレコードであった。
そして、実際、このレコードはよく売れたし、CDにもなって、
これまた良く売れた。

そして、多くのファンを裏切って行ったのである。
おそらく、この曲の価値を1ランク下げた歴史的録音と言えよう。

なぜ、そんなことが分かるかと言うと、
今でも、中古屋に行くと、必ず、このレコードやCDが置いてあるからである。

これを聞いて、この曲を知った人は、
もう、これ以上の興味を持たないのではないだろうか。

解説者も、この演奏には戸惑っていた節が感じられる。
回りくどい言い方で、結論を慎重に避けているからである。
「毛筋ほどの曖昧も残さぬ断固たる表現」、
「一種の非娯楽的な厳粛さをも身につけている」、
と、このピアノ演奏を表現した後、
「弦部はこのピアノ表現の徹底的な内面追究のゆき方には少し驚いたであろう」、
などと書いてもいる。

そもそも、ピアノは、弦は、などと個別に語られるような、
接着タイプの演奏は、まったくこの曲にはふさわしくないものなのだ。

このリラックスして、微笑み合っているレコード表のジャケットのイメージと、
中に収められた円盤に刻まれた演奏の内容は、まったくもって、違っていますと、
レコードの裏の解説で言っているのであるから、ますます、わけの分からぬ名盤である。

私は、いったい何時買ったのだろうか。
恐らく何かの機会に安く出た時、これだけ評判が良いのだから、
と思って、腹立たしいジャケットを手にしたのであるが、
もう、演奏が始まるや否や苦痛に苛まれた。
ほとんど聞いていないので、どこで買ったかも思い出せない。
こうしたケースは稀である。

導かれる事:「良く売れたレコードは、よく中古屋でも手に入る。」
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by franz310 | 2006-05-30 22:46 | 音楽
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