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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その341

b0083728_19505563.jpg個人的経験:
「オルランド・フリオーソ」という、
幻想譚とでも言うような、
西欧騎士道時代の長編詩は、
少なくとも18世紀くらいまでは、
広くヨーロッパ中に知られており、
ヴィヴァルディからハイドンまで、
著名な作曲家がオペラを書いている。
これまで、これらの作品を
DVDやCDで見聞きしてみたが、
再び、ヴィヴァルディに戻る。

今回のDVDは、今年(2012年)
4月には入手していたものだが、
かなりの力作のようなので、
夏休みまで意を決することができずにいた。


このDVDは装丁もおしゃれなもので、
紙パッケージに、豪華美麗ブックレットが入っている。
実は、これを読むのも手抜きしにくい。

表紙写真はシンプルで、
オルランドであろうと思われる、
巨漢が、大きく手を振り回している。
背景もいたって抽象的だ。

このような上質の手触りにふさわしく、
これが、ものすごく気合いの入った
プロジェクトの成果であることは、
中のブックレットでも分かる。
関係者たちが、
強烈な自負を持って語っているのである。

指揮をしているスピノジは、
すでに、「ヴィヴァルディ・エディション」
というnaiveレーベルのシリーズで、
CDでもこの作品の全曲録音を残しており、
これは、ヴィヴァルディを語る上で
落とすことのできない名盤であった。

ただし、その時(2004年)は、
どうやら演奏会形式でしか演奏していなかったようで、
今回、満を持しての舞台上演である。

フレデリック・デレメアと連名で、
「7年間の反映」という文章を、
高揚した気持ちを隠すことなく書いている。
2011年3月に書かれたものである。

「ヴィヴァルディ・エディションの
『オルランド・フリオーソ』の録音が行われた
2004年から2011年の7年間が経過した。
あのディスク・セットは、
いくつかのコンサートの合間に行われた。
それらは演奏会形式であったが、
彼の素晴らしい劇的パワーがさく裂し、
ヴィヴァルディの傑作オペラが息を吹き返し、
遂には、完全なバージョンでの演奏ができた。」

ここで、彼らは、簡単に
2004年のCDが作れたようなことを書いているが、
読み進めていくと、
それは長い苦闘の歴史の成果であったことがわかる。

「『理性の時代』に生きる我々にとって、
1727年の秋に上演されてから、
演奏されていないオリジナル版に対し、
情景やセット、衣装、遠近法には、
自然なものが求められた。
2004年より以前よりはるか以前にさかのぼり、
おそらく1997年、ヴェネチアで、
オリジナルの壮大さで、これを復活させようと、
初めて夢見た時以来になるのだが、
この機会に、この壮大な冒険を、
改めて見直すという誘惑に抗うことはできなかった。」

1997年であるから、
全曲録音からさらに7年をさかのぼる時期に、
何故に、スピノジがヴェネチアにいたのかはわからない。
が、いかにも詩的な情景が書き連ねられている。

「カナル・グランデに沿って、
まさにヴィヴァルディが、
彼のもっとも有名なオペラを生んだ、
サンタンジェロ劇場の場所から少し散策をして、
我々は、この作品に対して、
共通の情熱、愛情、野心を持っていることを確認し合い、
あらゆる観点からして、素晴らしいスコア、
疑うべくもないもっとも個性的である、
ヴィヴァルディの舞台作品に対する情熱や、
いくつかの欠点はあげられようが、
忘れるわけにはいかない、
1977年にシモーネとマリリン・ホーンによってなされた
レコード・セットへの愛着を語り、
カットや、オーケストレーションの変更、移調もなくし、
最高級の歌手を集め、近年の音楽学の研究成果を取り入れ、
近年の我々の演奏経験からの知見も反映させた完全版復活によって、
真価を評価させようという野望などを共有した。」

ということで、今回のDVDは、
14年もの構想期間を経ての成果だということがわかる。
スピノジは、まだ若い指揮者であるから、
プロの音楽家としての半分くらいを、
この作品に捧げた感じではなかろうか。
もちろん、四六時中やっていたわけではあるまいが。

「しかし、1997年の時点では、
ヴィヴァルディのオペラに対する風向きは悪かった。
チュチリア・バルトリによる『ヴィヴァルディ・アルバム』や、
ヴィヴァルディ・エディションによる波の高まりによる、
250年にわたる微睡にあった、
この眠れる美女の覚醒はまだ起こらなかった。
何人かの野心的パイオニアを除いて、
ヴィヴァルディの劇作品は、
演奏者やプロモーターの、
だれ一人の興味をも引かなかった。」

確かに、250年も眠っていたものには、
それなりの理由があるんじゃないの、
などと考えるのが普通であるが、
彼らはあきらめなかった。

「『赤毛の司祭』の、当時の名声は、
単に永遠の人気作『四季』や、
一握りのマンドリンやフルート協奏曲群、
雑多な宗教曲にのみ残っていた。
このような状況下で、
我々の最初の夢の実現の挑戦と実現は、
断片的に『オルランド』を演奏会形式に乗せることだった。
この作品の劇的な力を保つために、
タブローの連鎖で集中力を高め、
それらをナレーターがテキストを朗読して繋げた。
これらの『フラグメント・オルランド』は、
その進行順は残しながら、
ドラマの異なる各部を掘り下げて、
『運命の需要』、『魔法』、『愛に試される徳』、
『悲しみの婚礼』、『呪文の弱まり』、『分別の勝利』と題された、
6つのタブローで構成した。
このタブローの並列は、聴衆が、登場人物の心理描写と共に、
劇の進行を理解できるように考えられたもので、
観客の注意は、動作や半演劇的なアクションでつなぎとめられた。」

私も、できれば、この複雑なオペラは、
このような形で親しんでから、
全曲に行くのがよいのではないかという気がする。

「ヴィヴァルディのオペラに対する不毛の時代にあって、
このプロダクションは、なおも斬新にすぎ、
同様の試みが続くことはなかった。
しかし、2000年のヴィヴァルディ・エディションの開始から、
アンサンブル・マテウスが、この例外的なプロジェクトに参画し、
我々は、このバージョンを惜しみなく捨て去ることができた。
夢見ていたことは、遂に現実となった。
我々が遂になさねばならぬことは、
『オルランド・フリオーソ』の再構成にかたをつけることだった。
この作品の唯一の知られている音楽の原本はトゥリンにあって、
未完成のものや乱雑な素材の塊であった。
これは複雑かつ魅力的な仕事で、
1727年に印刷されたリブレットと、
自筆譜をシステマティックに突き合せ、
これまで知られていなかった『オルランド』が、
最後には構成上のバランスと、
歴史的、劇的、音楽的な活力を獲得し、
崇高な作品としてよみがえった。」

実に、楽譜の修復から始めた大事業だったということだ。
私は、このトゥリンの図書館が、何故、
かような遺品を収蔵していたかや、
どんな部屋に、こうした宝物が置かれていたかなど、
妙に気になって仕方がない。

「我々は、表現力を必要とし、歌手にとって技術的な難所に満ちた
この手ごわいスコアに対する配役も探す必要があった。
もっとも重要な配役から始まり、
1727年の初演時の歌手ルチア・ランチェッティや、
マリリン・ホーンに続く歌手を探さなければならなかった。
幸運なことに、オペラの世界にはこうした、
魔法のような遭遇があって、
まさに、このコルネイユ風のジレンマに陥っているとき、
無比のドラマティックな気質、強烈であるとともに柔軟な声、
繊細な表現力の可能性によって、
この役柄を運命づけられ、彼女もまたこの役に熱狂した、
エリザベート王妃コンクールの優勝者、
マリー・ニコール・ラミューと出会ったのがこうしたケースで、
忘れがたい体験となった。」

オルランドは、恋に焦がれて正気を失った騎士である。
ヘンデルのオペラでは、心に傷を負った将校とした演出があり、
ハイドンのオペラでは、乞食のような恰好の老人とした演出があった。
はたして、このDVDでは、
どのようなオルランド像が描かれるのだろうか。
何しろ、ヴィヴァルディの作品は、
これらの中でとりわけ筋が込み入っているのである。

「この狂った騎士に成り代わることは、
ディスクに刻まれる前にも演奏会を圧倒した。
2003年のシャンゼリゼ劇場での初演の後、
アンブロナイ、トゥールーズ、ブレーメン、エディンバラ、
トゥリンでも再演され、この『オルランド・フリオーソ』は、
2004年のCDで名声を得ていたが、
遂にステージにかかることとなった。
こうした様々な実験によって、経験を得て、
我々のこの作品の見方は変わったであろうか。
もちろん、これはあって、我々自身の進化と共に、
この力強い人間劇はそれを反映していった。
時間と経験の積み重ねと共に、
ヴィヴァルディの心理的真実が我々をこれまで以上に掴み、
今や、彼の音楽は、驚くべき登場人物や、
彼らの永遠の問題を強い集中によって明らかにして、
まぎれもない人間の魂の写し絵のようにさえ思える。
これまで以上に、アルチーナも、アンジェリカも、
オルランドも、我々の目と心に主張をはじめ、
同時代の人物のように迫ってくる。
その強さも弱さも、苦しみも喜びが、
これまで、このような総合として迫ってきたことはなかった。」

そして、最後に、この一文がぽつりと置かれている。

「この傑作がこれほどまでに我々を深く動かしたことはなかった。」

では、この物語を再度、SYNOPSISで復習しておこう。
「メーリンの灰を盗んだことによって、
魔女が力を得て魔法にかけた場所、
アルチーナの島での出来事。
これらは、今、地獄のヘカテの神殿の壺に隠され、
不死身のアロンテによって油断なく守られている。
アルチーナは、キャセイ王の娘、
美しいアンジェリカを宮殿にかくまっている。
アンジェリカはメドーロを愛しているのだが、
騎士オルランドに目をつけられ、
彼の情熱から逃れようとして追われている。
同時に恋人ともはぐれてしまった。
ドラマが開始時、オルランドは、
導師のマラギギにメーリンの灰を奪い返し、
アルチーナの力を封じるよう言われていて、
魔法の島に降り立ったところである。
オルランドの信頼できる仲間のアストルフォは、
すでにそこにいて、魔女の邪な愛の犠牲になっている。
ルッジェーロと妻のブラダマンテは、
騎士に続き、やはり島に着く。」

第一幕:
さっそく、この渾身の上演を見て行こう。

Track1.はクレジット。

Track2.は序曲で、スピノジが指揮棒なしで、
柔軟な指揮姿で、若い演奏家たちに、
インスピレーションを与えていく。

ヴィヴァルディの音楽も、
ただ、元気なだけみたいな表現ではなく、
流れる雲のように、豊かに陰影を変えながら、
精妙な響きで紡がれていく感じ。

Track3.音楽が静かに神秘的になると、
謎の覆面人物が現れ、暗く怪しげな部屋に入る。
豪勢な調度品があるが、中にいる人物はみな覆面をしている。

明るく窓から日が差し込むと、
美しい女性が二人、アルチーナとアンジェリカである。
アンジェリカはメドーロへの愛を語っている。

あらすじに、
「アンジェリカはアルチーナに、
メドーロを見失ったことの嘆いて見せる」
とある部分である。
人気歌手のラーモアの演ずるアルチーナも、
アンジェリカ役のヴェロニカ・カンヘミも、
優雅で美しく、
このトラックの後半では、
カンヘミが、しなやかな声で美しいアリアを聞かせる。
「魔女は、彼との関係の修復や、
オルランドの情熱から彼女を守ることを約束する。」

その間、二人の男たちが争いながら入って来る。
彼らのCD解説の方のト書きには、
「覆面をしたオルランドがアストルフォと争いながら入って来る」
とある部分である。
アンジェリカの身が危ぶまれるが、
ここでは、彼女はマスクで顔を隠している。

Track4.
アルチーナは、アンジェリカのことを隠そうともせず、
「彼女の美しさが、我が王国に新しい太陽を加えた」
などと言っている。

ここでは、後半、アルチーナの超絶のアリアがある。
「愛の指令がその目に見えるが、
その敵意あるまなざしは、
恐ろしさに満ち、
私の心に恐れを導く」

Track5.太った方の男は、
実は、女性が演じていて、これがオルランド。
騎士のいでたちで、ひげも蓄え、
恰幅がよいので、完全に男に見える。

もう一方は、アルチーナに冷たくされているアストルフォである。

ここでは、ヴィヴァルディの良さが十全に生かされた、
精妙に美しいアリアが聞ける。
弦楽の音の絡まりの、なんと美しいことであろうか。
アストルフォは、
「君は、僕に貞節を教え、
希望を持つように言う。
しかし、その誇り高い冷たい目は、
僕の悲しみに、一瞥も与えない。」

「アルチーナとアストルフォと会った後、
オルランドは、ルッジェーロを探しに来た、
ブラダマンテと遭遇する。」とあらすじにあるように、
ブラダマンテが登場。
男のように騎士のいでたちである。

Track6.
オルランドは再会を喜ぶ。
彼女は、魔女には名前を明かさず、
ルッジェーロを探すことを告げる。

シノプシスに、
「この誇り高い女性戦士は、
アルチーナの呪文で、
ルッジェーロが島に引き寄せられたと聞き、
魔術師のメリッサからもらった、
魔法の指輪で、魔女に対抗すると宣言する」
とある部分。

「私の夫の愛を取り戻すまで、
暗い心からの怒りは隠しておくわ」
という、勇ましいアリアを歌う。
クリスティーナ・ハンマーシュトレームが担当。
技巧を凝らしたものだが、
上品に切り抜けていく。

Track7.
ここでは、オルランドは、一人になって、
導師の教えを思い出して、悶々とするが、
これは、シノプシスにある、
「一人になったオルランドは、
自らの使命を思い出し、
その決意を荘厳に表明する」とあるが、
かなり、苦しんでいるようで、
あたりにある椅子などを投げ散らかしている。

そして、輝かしいアリアで、感情を爆発させる。
「深く暗い世界に向かって、
無慈悲な運命が私の心を転げ落とす」
という狂乱沙汰のもの。

熱唱に聴衆から、すごい拍手が沸き起こるが、
背後には、冷たい視線で睨みつける
アルチーナのシルエットがあるのが、
不気味である。
そんな使命は遂行させないという意思の表れだろうか。

Track8.
不気味な低音弦のざわめきに、
アンジェリカが不安げに声を上げる。
「なんという嵐の海、
私の愛する心をいたぶるみたいに。」

苦しんでいる男(のかっこうをした女)の姿がある。
アルチーナは、背後にシルエットとなって立ち尽くしている。

Track9.
これは、シノプシスに、このようにある場面。
「その頃、難破して傷ついたメドーロが、
浜辺にあって、アルチーナによって息を吹き返す。」

アンジェリカが駆け寄り、再会を喜ぶと、
アルチーナは、オルランドを指さす。

Track10.
オルランドが現れ、最悪の状況となるが、
アルチーナは、ルッジェーロを、
アンジェリカの兄弟だということにして、
なんと、アンジェリカの方も、
好きでもないオルランドといちゃつく。

シノプシスに、
「オルランドは、アンジェリカとメドーロが、
一緒にいるのを見るが、彼の嫉妬は、
アルチーナのずるがしこい魔女の言葉で掻き消える。」

そして、アリア。
「私の目に、心に、(メドーロに)耐えて、
あなたこそは我が愛、恋人よ」
と、切迫感に満ちたもの。

「アンジェリカは、偽りの愛の言葉で、
オルランドをたばかり、これが今度は、
メドーロの嫉妬を掻き立てる。」

しかし、オルランドの方も、
神妙なことを言っている。
「ああ、残酷な嫉妬。
われらの感情の暴君。
愛する女の眼差しだけで、
私は罪を起こしそうだ。
アルチーナ、僕の心から恐れを取り除いてくれ、
メドーロ、許せ友よ、愛は盲目なのだ。」

そしてアリア。
「羽の生えた弓の使い手は、
あまりにも残酷。
誠実な恋人の心にも
冷たい嫉妬の毒を広げる。」
という、急速なもの。

Track11.
アルチーナがメドーロを慰めている。
「苦しみながら、耐えているのが、
真実の愛よ」などと意味不明。

すると、いよいよルッジェーロが現れる。
人気のカウンター・テナー、ジャルスキーなので、
さすがかっこいい。

「舞台で一人、アルチーナは、
空のかなたからヒッポグリフに乗ったルッジェーロが、
下降して来るのを見る。
新参者に心奪われたアルチーナは、
飲み物に愛の秘薬を入れて誘惑する。」

このようにシノプシスにはあるが、
ただ、背景の横から出てきただけで、
ヒッポグリフを見ることはできない。

ここで、なぜか、歌い始めるのはメドーロである。
ロミーナ・バッソという人が担当。
「私は鎖を断ち切ったが、
彼女の眼差しの偽りに、
再び、縛られることになった。
私は、安定がないことを学ぶのだ。」

彼は、アンジェリカのまわりをぐるぐるしているが、
ルッジェーロとアルチーナは抱擁に陶酔。

が、その様子を睨みつけているのは、
なんとブラダマンテ。

Track12.
アルチーナは、
「もし、一人だけを愛するなら、
私は、ただの女だわ」などと、
メドーロに言っているようである。

それから、ルッジェーロのところに戻ると、
お調子者になったルッジェーロは、
「僕はようやく地に足をつけたが、
ここは楽園ではないか」などと、
とぼけたことを言っている。

アルチーナは、「ここでは私が女王だから、
あなたは貴族よ」などと言って手を取る。

Track13.
「そのすぐあとに、ブラダマンテが到着するが、
魔法にかかったルッジェーロは、
彼女のことがわからない。」
とシノプシスにあるが、
実際には、ブラダマンテの目の前で、
怪しい水を飲んだり、
愛を語り合ったりしており、
邪魔すればいいじゃないかとも思う展開。

さすが、ブラダマンテは、
チャンスを待っているのかもしれないが、
「裏切り者」などと叫んでかなり動揺している。

そして、素晴らしい木管の序奏に導かれ、
ルッジェーロの絶美のアリアが始まる。
「恋人よ、あなただけから、
平和と満足が得られるのです。
あなたの愛らしい眼差しは、
私の愛の帰るところです」と、
めろめろの恋人の歌となる。

主人公のオルランドはどうなったんだよ、
と言いたくなる展開だ。

が、どうしたことか、
アルチーナは、崩れ落ちて、
苦しげにあえいでいる。
ルッジェーロがそれを抱き起す。

このあたりの息苦しさを、
木管楽器の息継ぎがそのまま再現して、
壮絶な描写となる。

トリスタンとイゾルデ並みの陶酔が押し寄せて来る。
「オルランド・フリオーソ」ってこんな物語だっけ、
という展開である。

ものすごい拍手が沸き起こるが当然である。

Track14.
ルッジェーロは、ブラダマンテを認識せず、
ブラダマンテは、「人間ではないわ、この怪物」と、
罵っているが、
アルチーナは、「もう、彼には魔法がかかっている」、
「彼女の後を追いたいなら追いなさい」と強気で、
遂に、「ルッジェーロは私のもの」と言って、
動じることはない。

Track15.
アルチーナは、しかし、勝ち誇るのではなく、
むしろ苦しげに、
「バラやスミレは日の光を愛する、
その光線は、身を焼くのに。
太陽は、それらを枯らせることができるのです。」
というアリアを歌う。

管弦楽が、こみ上げる複雑な思いを、
焦燥感をもってかきたてて行く。

もはや、これは絶唱と言って良い。
まさしく、ヘンデルの「わが心」に匹敵する、
情念がみなぎり、
恋人をどうしても手放したくない、
女の執念の音楽である。

こんな音楽だったっけと、
2004年の旧盤(CD)を聞いて見ると、
もっとテンポが速く、切迫感はあるが、
情念をえぐるような表現ではない。

明らかに、このDVDでは、
感情移入の深さが増している。

以上で第一幕が終わる。
このように聞くと、まだ残り2時間もあるのに、
かなり、満腹に近い充実感を感じて、
今回はこれ以上、聞き進めることができない。

第二幕以下は次回、聞くことにしたい。

得られた事:「スピノジの新作DVD『オルランド・フリオーソ』は、14年にわたる研究の成果で、すごい感情移入で、ぐいぐいと見るものを引き寄せてくれる。」
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by franz310 | 2012-08-17 19:55 | 古典
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