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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
ICELANDia
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その334

b0083728_23341177.jpg個人的経験:
ヘンデルは、円熟期にあって、
中世の騎士物語、
「オルランド・フリオーソ」
にちなんだ題材にて、
3曲のオペラを作曲した。
その名もそのままの
「オルランド」と、
おなじみ魔女が登場する
「アルチーナ」には、
原作の雰囲気がある。


が、今回、ここに聴く、
「アリオダンテ」に関しては、
何故に、「オルランド」ネタなのか、
よく分からない。

が、このCD解説にも、しっかりと、
「この物語は、アリオストの第五巻を基にして、
個々の登場人物に激しい気性を与え、
音楽が表現力の可能性を広げられるように、
いくぶん変更が加えられている。」
と明記されている。

アリオストは、「オルランド・フリオーソ」を書いた
詩人の名前であることは言うまでもない。

前回、カーティス指揮の「アルチーナ」を聴いたが、
今回、取り上げる「アリオダンテ」も、
同様のメンバーによる演奏。
ただし、長い歴史を誇る古楽の雄、
アルヒーフからは、
このヘンデル・オペラ・シリーズは追い出されたようだ。

ここでも、前に聴いた「アルチーナ」(アルヒーフ盤)と同様、
ダヴィッド・ヴィッカーズが解説を書いているが、
貴族オペラとヘンデルという時代背景から、
詳細な成立史が書かれていて、
1734年から35年のシーズンでは、
ジョン・リッチが創設したコヴェントガーデンでの新機軸として、
ヘンデルが3つの特徴を打ち出していることが特筆されている。

1.若いイギリスの歌手の活用。
(ジョン・ビアードやセシリア・ヤングなど)
2.コヴェントガーデンの小コーラスの活用。
3.フランスのバレエ団との共演。
「ヘンデルは、これらによって、
貴族オペラが出来なかったような、
多彩でありながら、
統合されたスタイルを作り上げた」とある。

しかし、貴族オペラの方も、
1734年の秋は、ハッセ、ポルポラ、
ブロスキらの音楽のごった煮の「アルタセルセ」で成功、
ヘンデルの方は、この間、秘密兵器「アリオダンテ」を準備中で、
旧作でお茶を濁して踏ん張っていた。

ここから、アリオダンテの話が始まるので、
そこを見ていこう。
「アリオストのルネサンス叙事詩、
『オルランド・フリオーソ』を基にしており、
これはシャルルマーニュの治世の、
騎士道と幻想的な伝説を扱った46の歌からなり、
ヘンデルのオルランド(1733)や、
アルチーナ(1735)の原作となった。
第4-6歌は、
キリスト教の騎士、リナルドが、
いかにスコットランドの岸辺に吹き寄せられ、
修道院で歓待を受ける間に、
著名な剣客ルルカーニオからの非難による、
王女ジネヴラの不貞による死刑宣告の、
スキャンダラスな物語を聴いたかが語られる。
王は、娘の汚名を晴らすため、
擁護者を募る宣告を出したがうまくいかなかった。
スコットランドの法律の野蛮さに怒り、
リナルドは、王女を救うと決め、
王宮を目指して馬を走らせ、
殺されようとしていた王女を救う。
ジネヴラの次女、ダリンダは喜んで、
王女と相思相愛のイタリアの騎士、
アリオダンテの悲劇を語る。」

「アリオダンテ」の登場人物は、
あまり聴いた事がない名前だと思ったが、
ここにあるように、リナルドが活躍したという、
逸話の中だけの話が拡張されたものらしい。

「アリオストの物語は、リブレット作者の、
アントニーオ・サルヴィによって、
『スコットランドの王女ジネヴラ』
として、手際よく簡潔にまとめられた。
アリオダンテはジネヴラを愛し、愛されており、
彼女の父親も彼等を祝福し、
アリオダンテを後継者にしたがっている。
しかし、アルバニー公のポリネッサ
(Polinessoとあるのでポリネッソ?)は、
彼等の愛を妬み、ジネヴラも、王位をも望んでいる。
彼は無邪気に彼を愛しているダリンダを利用し、
アリオダンテに、ジネヴラが不誠実だと思わせる。」

こんな風に、台本作者は、オルランドの物語で重要な人物、
リナルドさえ、出て来ない物語にしてしまった。

では、あらすじの部分を読みながら、
Track1と2.の序曲から味わってみよう。
このような北国の
悲劇的な内容にふさわしく、
暗い情念にみなぎったもので、
切迫感がみなぎったもの。

カーティスの指揮は、
幾分、リズムを強調した、
生き生きとしたものだが、
もう少し、荘重な感じにしても良いような気がする。
イル・コンプレッソ・バロッコが演奏。

「スコットランド王は、一人娘ジネヴラを、
高名な勇士で特筆すべき手柄を立てたアリオダンテと
結婚させようとしているが、
よこしまな性格ながら誇り高い野心家ポリネッサは、
不正にも、この公認の結びつきを阻み、
これから見ていくようなやり方で、
自身が王位につこうと企てる。
舞台はエディンバラとその近郊である。」
というような背景を読みながら聴いた。

「ジネヴラは、鏡の前に座り、
アリオダンテに会うために、化粧をしている。」
とあるように、いきなり、
Track3.ジネヴラのアリオーソ。
ここでは、アルチーナではモルガーナを受け持った、
カリーナ・ゴヴァンが安定した、
美しい声を聴かせる。
給仕や娘たちもいるシーンで、
彼等を前に、
「愛らしい物腰で、愛嬌のある笑顔で、
愛する人の心を魅了するわ」
という、小粋な歌を披露する。

ここで、彼女は鏡を離れ、
給仕たちは出て行く。

Track4.ダリンダとポリネッソが現れる。
ダリンダは、サビーナ・プエルトラス、
ポリネッサは、コントラルトの
マリー=ニコル・ルミューが受け持っている。

「彼女は、侍女のダリンダに、
彼女の愛と、父も、それを歓迎していることを告げる。
アルバニー伯ポリネッサがやって来て、
彼の愛をジネヴラに告げる。」

Track5.は、これを聴いて、
ジネヴラが機嫌を悪くして、
声を張り上げるアリア。
かなり興奮して、リズムが激しく、
コロラトゥーラもこれ見よがしである。

「彼女は軽蔑したように、それを拒み、立ち去るが、
ダリンダは、ジネヴラはアリオダンテと婚約していると言い、
彼女自身がポリネッサを愛していることを告げる。」
唐突にも大胆な侍女である。

それにしても、ポリネッサも女性が担当。
マリー=ニコル・ルミューのコントラルトであるが、
カウンターテナーみたいな声である。

Track6.ポリネッサとダリンダの問答で、
ポリネッサは、王様も二人を認めていると知って驚く。
Track7.は、ダリンダが、
「目を開いて、しっかりと痛みを見て」と歌う。
ダリンダを歌う、サビーナ・プエルトラスは、
写真で見る限り、美人であるが、
声も、この無邪気な役柄にふさわしく、
清楚な感じがする。

Track8.
ポリネッサ一人のシーン。
「しばらくがっかりしていたポリネッサだが、
すぐにダリンダを使って、アリオダンテの好機を奪い、
自らがジネヴラと、
スコットランドの王位をものにする筋書きを考えつく。」

彼の激しい性格が良く出たレチタティーボであるが、
続くアリア(Track9.)は、
いかにも良いことを考えた、という、
躍動感のある嬉しげなアリア。
シンプルな弦楽の伴奏がついている。

Track10.
「アリオダンテは、宮廷の庭園でジネヴラを待っている。」

アリオダンテはいきなり、
「木々は揺れ、流れはさざめき、
愛の言葉を語っているように見える」と、
はればれとした、牧歌的なアリアを歌う。
ディドナートの声であるが、
この美人歌手が、英雄を担当しているとは、
このCDを入手した時には、正直、考えていなかった。
人気者にふさわしく、安定した歌唱で、
ヘンデルらしい、おおらかなメロディーを楽しませてくれる。

ジネヴラがやって来る。
Track11.
「彼は、自分が彼女に値しないと思うが、
彼女は、自分の愛情が、
二人の間のすべての障壁を取り除くと請け合う。」

Track12.恋人たちの二重唱であるが、
こうやって、ゴヴァンのソプラノと、
ディドナートのメゾ・ソプラノを聴いていると、
ロッシーニが女性二重唱を好んだ、
などと言われるのは間違っていて、
昔から、その伝統があった、と考えるべきだと思えて来る。

「運命がどうなろうとも、
私の愛は変わらない」と二人で陶酔していると、
いきなり、王様の声が割り込むのがすごい。
こんなシーンは見た事がない。
彼は、二人の手を繋がせる。

Track13.
「彼等はお互いに真実を誓い合い、
王様は、二人の結びつきを言祝ぎ、
アリオダンテを王位継承者にすると告げる。
彼は、ジネヴラに、明日、執り行う、
婚礼の準備をするように遣る。」

Track14.は、
嬉しいジネヴラのアリア。
「急いで、急いで」と、
いかにも駆け抜けて行きそうな、
さわやかな疾走感がある。

Track15.
「王様は、様々な祝宴の用意を言いつけ、
正式にアリオダンテに娘と王位を渡すという。」
Track16.は、王様のアリアにふさわしく、
勇壮なホルンが鳴り響き、
「喜ばしい空が祝福を告げている」と、
晴れやかな歌となる。
マシュー・ブロックが歌う。

Track17.王様は立ち去り、アリオダンテ一人。
「アリオダンテは喜びに圧倒される。」
Track18.は、どんちゃらした序奏からして楽しい。
ディドナートが歌うアリオダンテのアリア。
「不変の翼に乗った愛は、
高く舞い上がる」という歌詞のとおり、
華麗なコロラトゥーラの装飾に散りばめられたものだが、
これはたいへん難しそう。
この恐ろしい難局(難曲)を、
余裕を持ってコントロール出来ているが、
ここまで強烈な状況下では、
英雄の声として聴くと、
さすがのディドナートの声量にも、
少し、限界が感じられるようだ。

Track19.
「その間、ポリネッサは作戦を遂行中。
夕暮れが近づき、ダリンダが計画に乗ってくれれば、
ジネヴラの事は忘れ、彼の愛情は、
ダリンダに移るだろうと言う。
彼は、彼女にジネヴラが眠るのを待って、
その後、ジネヴラの服を着て、
彼が、部屋に入るのを招き入れて欲しいという。
ダリンダは躊躇うが、
愛する男の願いを拒むことが出来ない。」

このトラックで多くのことが企まれる。

Track20.
「私の心の傷を、あなたの真実の眼差しで癒して下さい」
と、ポリネッサは、いかにも色男の歌を歌う。
歌っているのは、女性のマリー=ニコル・ルミューであるが。

甘い、シンプルな歌ながら、
執拗なリズムを刻む伴奏が、
いかにも、彼の下心を感じさせて興味深い。

Track21.
いきなり、イケメン風の声が響く。
トピ・レーティプーのテナーである。
写真で見ても、貴公子みたいな雰囲気。

「彼女が立ち去ろうとすると、
アリオダンテの弟のルルカーニオが、
彼女への不動の愛を告白する。」

これまた、唐突な連中である。
「ダリンダは彼を拒む」とあるが、
当然の状況である。

Track22.
ルルカーニオのアリアは、恋する男の、
純情さ、心の傷つきやすさが、
もやもやして素晴らしい。

「どうして、明るい日の光の下で、
姿を見せてくれないの」と、
この緊迫した陰謀のシーンに、
ある意味、脳天気な、ある意味、場違いな歌。

Track23.
「ダリンダは、ひとり、ポリネッサへの愛に殉じると決める。」
Track24.
「私の心を捉えた炎は、いまだ、愛しい」
と、サビーナ・プエルトラスの愛らしい声が聴ける。

Track25.
美しい谷間、この素晴らしい土地を愛でる。
そこにジネヴラが現れるというシーン。
「アリオダンテは、美しい谷間を讃えながら彷徨い、
ジネヴラは、彼の許に来て、
愛を語らい、婚礼を楽しみにする。」

「ニンフや羊飼いたちが歌って踊って、
彼等の幸福を賛美する」と解説にあるが、
Track26.は、
何と、「田園交響曲」(パストラル・シンフォニー)と、
題されて、たった42秒であるが、
牧歌的で伸びやかな管弦楽曲が奏でられる。

Track27.は、この雰囲気を保ったまま、
恋人たちの二重唱となる。
「ニンフたちや羊飼いたちが歌って踊る」とあるように、
メヌエットのような、リズムが支配し、
遂には合唱が唱和して来る。

これはさぞかし壮麗なシーンだったに相違ない。
ヘンデルは、第1幕も大詰めになって、
秘密兵器を繰り出したというわけか。

合唱団と、バレエ団の使用は、
新機軸であったことはすでに説明した。

Track28~31.は、完全にバレエ音楽である。
Track28.は、男女の羊飼いたちの踊り、1分5秒。
Track29.は、テンポを落として、ミュゼット1、1分47秒。
Track30.は、リズムを激しくしてミュゼット2、54秒。
Track31.は、アレグロと題され、1分40秒と短いながら、
交響曲を締めくくる感じになっている。
中間部で、ひなびた木管合奏が、
いにしえの響きを立てる。

Track32.は、再び、Track28と同じ音楽。
「愛と真実よ永遠に」と、
恋人たちと合唱が、楽しげに歌い交わす。

CD2:
Track1.第2幕は、夜が更ける様を、
うまく描いた56秒の交響曲から始まる。
「夜のとばりが降りる。月が昇る。」

Track2.
「ポリネッサは、庭に出て、ジネヴラの部屋に向かう、
裏のドアの外にいる。」

「ダリンダの愛情によって、うまく行った」などと言っている。
「アリオダンテは、眠ることが出来ず、
宮殿の庭を徘徊し、ポリネッサは彼に話しかけ、
ジネヴラと結婚するつもりだ、などと言って驚かせる。
結局、彼女は私の女主人だなどと言う。
アリオダンテはこれに怒り狂い、剣に手をかける。
しかし、ポリネッサは、彼を説得し、
隠れて、証拠を見るように言う。
その間、ルルカーニオは、
兄が公爵と話をしているのを見て驚き、
何が起こるかを、これまた隠れて見守る。」

Track3.は、騙された馬鹿なアリオダンテが、
うるさく歌うアリア。
「お前か俺のどっちかが死ぬ」と騒ぐ。

「アリオダンテは、
ポリネッサが嘘をついていたら殺す、
もし、反対ならば自分が死ぬという。
ポリネッサは、庭のドアをノックし、
ジネヴラの服を着たダリンダが答え、
親しみを込めて招き入れる。
アリオダンテとルルカーニオが見守る中、
彼女は、ポリネッサを入れてドアを閉める。」

Track4.
ダリンダに呼びかけると、当然、
ジネヴラの服を着た彼女が、
ポリネッサと部屋に招き入れる手はず。
何と、この情景を、アリオダンテの弟の、
ルルカーニオも見ていて、アリオダンテ以上に騒ぐ。

Track5.は、
「あなたの命はあまりにも大きな犠牲」と、
ルルカーニオが、危険を察知して歌うアリア。
切迫感があるが、何やらロッシーニ風に騒々しい。
「アリオダンテは、自身の刃の上に倒れて死のうとするが、
ルルカーニオは、武器を取り上げ、
価値のない女のために命を粗末にしてはならない、という。」
そんなシーンである。

Track6.は、「私は、なおも生きるべきだろうか」
というアリオダンテの激しい独白。
「アリオダンテは、ため息と共に立ち去る。」

Track7.は、不安に満ちたアリオダンテのアリア。
「不実な者は、今や、みだらにも愛人の腕に」と、
完全に、術中に陥った情けない内容。
英雄も、簡単に心が折れてしまったようである。
管弦楽の伴奏も凝っていて、
様々な楽器の音色が、この危機的状況を盛り上げる。

ディドナートの真摯な歌いぶりは、
その張り詰めた声といい、
このシーンに緊張感をもたらして良い。
このあたりを聴くと、
これは、すばらしく質の高い演奏だと思える。

「夜明けが近づき、ポリネッサはダリンダの許を去る。
そして、計画通りになったのを満足げに眺める。」

Track8.は、ポリネッサが、
「彼は毒を飲んだ。切望に引き裂かれた。
うまくいったぞ」という独白で始まる。

Track9.は、ダリンダのアリア。
「私の愛を軽んじた時、
あなたは魅力的に見えたけど、
あなたが優しいと、何てさらに魅力的なのでしょう」
と、騙されたとも知らず、健気な内容。

Track10、11.は、ポリネッサが、
うまくいったと喜ぶアリア。

「宮殿内では、王様は、アリオダンテを、
後継者にするお触れの準備をしている。
しかし、オドアルドは、恐るべき報告をする。
アリオダンテは海に身を投げて死んだという。」

Track12.は、このようなシーンである。
Track13.は、王様が残酷な運命を嘆くアリア。
さすが王様のアリアで、大騒ぎをせず、
諦観に満ちた、パッサカリアみたいな荘厳さ。

「この状況の急転にショックを受け、
王様は娘にこのニュースを伝えに行く。
その間、ジネヴラは、説明できない不安に駆られ、
ダリンダが彼女を元気づける。」

Track14.では、激しい管弦楽に乗って、
ジネヴラが、「何故に、胸のなかで心臓が波打つの」という、
息も切れ切れのアリアを歌う。

Track15.は、ダリンダが慰め、
王様が入って来るところから始まるが、
下記のようなことが起こる長いレチタティーボ。

「王様がアリオダンテの死を告げると、
彼女はくずおれて、意識を取り戻させるべく、
別室に運ばれる。
ルルカーニオは、王様の哀悼の言葉を無視し、
同情からではなく、正義のため、
兄の死が破廉恥なジネヴラの罪を問えと迫る。」

いきなり朗読が入るが、ここでは、ルルカーニオが、
渡した手紙を王様が読み上げているのである。

「彼は彼女が愛人(ポリネッサとは書かれていない)と、
密会したことの報告を綴った手紙を渡し、
父としての許しよりも、
王としての法の遵守を願う。
そして、彼自身は、
ジネヴラのために戦う者があれば、
誰とでも決闘すると誓う。」

Track16.は、ルルカーニオが、
告発するアリアで、シビアな状況ながら、
誤解があるせいか、軽妙なものとなっている。
このあたり、ロッシーニの
「タンクレーディ」を思い出させる。
「あなたの胸に残酷な戦いが起こるだろう」
などと、意地悪な内容である。

Track17.も「タンクレーディ」そっくりである。
オドアルドは、「1日のうちに、いくつの悲劇があるのだ」
とか言っているし。
しかし、よく考えたら、大筋そのものが、そっくりだ。

・熱々の恋人がいとも簡単に引き裂かれてしまう。
・悪役が女を狙う。
・男は英雄のはずなのに、ころっと騙される。
・父親の王様は手紙を読んで、板挟みになる。
・恋人たちは、めそめそして、死のうとする。
そして、決闘など。

登場人物関係図を書いてみると、さらに同じだ。
()の中には、タンクレーディの登場人物を入れてみた。

            王様
       Love ↓(娘)
アリオダンテ  ←→  ジネヴラ    ←ダリンダ(次女)
(タンクレーディ)  (アメナイーデ)  (イザウラ)
            ↑
           ポリネッサ
          (オルバッツァーノ)

ここにルルカーニオは出て来ないが、
この役柄は、「オルランド・フリオーソ」で、
ちゃんと出て来ていた剣客で、
出典が明確な人物であることは、
最初の方に書いたとおりである。

「取り乱したジネヴラが運び込まれて来るが、
恥知らずの売女と言って王様は彼女を追い払う。
このような状況下、ジネヴラは正気を失い始める。」

このあたりも、「タンクレーディ」では、
さらに劇的なシーンとして拡張されていたが似ている。
そちらでは、前半を大きく盛り上げるフィナーレで、
特に聴かせどころとなっていた。

Track18.は、「私はどこにいるの」などと、
うわごとみたいなことを言った、
ジネヴラが、「もはや痛みも感じない」という、
絶望的なアリアを歌う。
カリーナ・ゴヴァンの歌は、びしっとぶれがなく、
強靱な感じで、この8分を越える大作アリアを歌いきっている。

「彼女は悲劇のどこを演じているのかも分からず、
慰めを求め、死を願って、悪夢にうなされた、
苦しみの眠りに落ちて行く」というのが、
第2幕の終わりである。
おそらく、「アルチーナ」の、
「ああ、わが心」に相当するものだ。

ここで、第1幕と同様、途中、バレエが挟まる。
この悪夢との戦いのような内容である。
これは、「アルチーナ」にも流用されたもの。

Track19.は、「喜びの夢への入り口」で、
妖精が手招きするような内容。2分26秒。
Track20.「破滅の夢への入り口」で、
おどろおどろしく、2分2秒。
Track21.は、「喜びの夢は驚く」で、
ちょろちょろした内容、44秒。
Track22.は、
「破滅の夢と喜びの夢の戦い」で、
勇ましくなって行く。1分18秒。

Track23.は、また、王女の狂乱が、
ぞわぞわと戻って、19秒の叫び。
「眠りの中にも安らぎはない」。

今回は、このあたりで終わりにし、
次回、第3幕を聴いて行きたい。

得られた事:「ヘンデルの『アリオダンテ』には、80年後のロッシーニの『タンクレーディ』を予告するような筋書きがたくさん。」
「ヘンデルの『アリオダンテ』は、オルランドの物語の挿話から取られたが、台本作者が、もともと重要だったリナルドを削除したため、出典が不明瞭になっている。」
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by franz310 | 2012-06-23 23:35 | 古典
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