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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
ICELANDia
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その326

b0083728_22405794.jpg個人的経験:
ヘンデルのオペラ、
「オルランド」は、
ヴィヴァルディの同名作と
原作は同じながら、
魔法的要素が極めて少ない。
が、魔法オペラと
分類されるように、
ヘンデルの場合も、
超自然的な要素が、
そこここに散りばめられていた。


それは、前回見た、クリスティ指揮のDVDの、
ヘルツォークのような斬新な演出をしていない、
古くからある名盤、ホグウッド指揮のCDの
解説などを読んで分かったことである。

このCD、89年から90年の1年半がかりで、
当時、油が乗りきっていたホグウッドが、
カークビー、オージェ、ボウマンといった
名歌手を揃えて録音したもので、
そのせいか、妙に説得力が豊かな、
風格のある音楽となっている。

合奏協奏曲作品6などにも共通する、
華麗で充実した、しかも格調の高い音楽が、
終始鳴り響き、全く、オペラだと、
構えずとも、ゴージャスな音響に浸ることが出来る。

表紙絵画もまた、非常に参考になるもので、
女々しいまでに、左側の女性に入れ込んでいる、
騎士オルランドの無様な言い寄りの様子が図示されている。
イスラム風の男が、仲裁するようなポーズを取っていて、
左の男女が、オルランドから逃げ回る、
メドーロとアンジェリカだということが分かる。

子供までが指を指して嘲笑する
村人の前で恥ずかしい限りであるが、
狂乱のオルランドには、そんな事は、
まったく眼中にない。

恐るべきは恋わずらいであろう。
ヘンデルとほぼ同時代、1694年から1752年を生きた、
シャルル・アントワーヌ・コワペルという人が描いたもの。
劇的で大げさな姿態を描くので有名なフランス人らしい。

さて、CDの解説に戻ろう。
Anthony Hicksという人が書いたSynopsisを読むと、
謎のおっさん、ザラストロが、
いきなり、空を見上げていて、
占星術のようなことを行っている。

駆け足で、このあらすじを見ていくと、こんな感じ。
また、この人の書いた解説も面白いので、
ところどころ、そこで出ていた事を挿入してみよう。

いきなり、シューベルトの「白鳥の歌」の、
アトラスがちょい役で登場している。
(が、背景に過ぎず、それで終わりだが。)
第1幕:
「田舎の夜。山が見え、その上では、
アトラスがその肩に天を担っている。
ゾロアストロは、死すべき人間には分からない事を、
星座を見ながら読み取っている。
オルランドは、きっと、栄光への道に戻って来るはずだ。
オルランド自身がやって来るが、
愛と栄光への望みに引き裂かれている。
ゾロアストロは、愛への執着に小言を言って、
魔法の杖を振るい、
山の景観を、愛の宮殿に変える。
そこには、古代の英雄たちが、
キューピッドの足下で眠っている。」

こんな風に、クリスティのDVDでは、
単なる医者として扱われたゾロアストロは、
本来、魔法の杖を操って幻影を駆使する、
魔法使いであったことが分かる。

「彼は、オルランドに愛を放棄し、
戦いの神マルスに従うように促す。
オルランドは当初、その光景に恥じらうが、
愛の追求の後でも栄光は手に出来ると考える。
ヘラクレスは、オンファールとの情事があっても、
英雄として名を残したと言う。
また、ペーレイデースもそうだと言う。」
以上までが、CD1のTrack8までに入っている。
ゾロアストロは、デイヴィッド・トーマスが、
格好良い声を聴かせている。

「羊飼いの小屋がある小さな木立。
羊飼いの少女、ドリンダは、
自然の美しさを思い、
ある時は喜びが与えられるが、
今は嘆きに満ちている。
それは、おそらく、彼女が恋をしているから。」

と言う風に、情景が変わる。
この音楽も、爽やかな風が吹き渡る様を表して美しい。

ドリンダは、エンマ・カークビーが担当。
澄んだ美声を聴かせている。

この役柄が、確かに、このオペラでは、
最も表現力の幅を求められ、
大御所を持って来た事も納得である。

解説によると、この役柄は、ヘンデルは、
セレステ・ジスモンティという新進の歌手を想定したという。
この人は、ナポリで活躍していたセレステ・レッセと、
同じ人かもしれないという。

「オルランドが、救出したばかりの王女を連れて、
(これは、後でイザベッラだと分かる)
走って通り過ぎる。
彼もまた、恋に落ちているとドリンダは考える。
しかし、彼女は、自分が何を考えているのか分からない。」

Track12から。
「アンジェリカが現れ、
オルランドが彼女を好きなのは分かるが、
ドリンダが世話している時に、
彼女が傷を治してあげた、
メドーロと恋に落ちていることを認める。」

ベテランのアーリーン・オージェが
アンジェリカを受け持ち、
これまた、透明感のある声を聴かせる。

ヘンデルは、この役柄を信頼すべき、
アンナ・ストラーダ・デル・ポーを想定して書いた。

Track15。
「メドーロがこの告白を聞きつけ、近寄り、
アンジェリカに自分も愛していると告げる。
彼は、彼女の前で価値がない人間だと感じるが、
彼女は、彼女の心を掴み、王様の価値があるという。」

写真で見る限り、キュートな、
キャサリン・ロビンが男性役を受け持っている。
Track16は、厳粛な古風な舞曲調である。
切々とした情感。

ヘンデルは、この役柄を、男性役に優れた、
フランチェスカ・ベルトリを想定した。

「アンジェリカが去ると、ドリンダが戻ってきて、
彼女が愛しているのはメドーロだということが明らかになる。
彼女を傷つけたくないメドーロは、
アンジェリカは親戚だということにして、
ドリンダに優しくする。
ドリンダは、彼が本当のことを
言っていないことを知っているが、
嘘であるにも関わらず、
彼の言葉は、彼女をうっとりさせる。」

Track18で、ゾロアストロ登場。
「ゾロアストロは、アンジェリカに、
彼女がメドーロを愛していることを知っているという。
そして、オルランドが復讐するかもしれないという。
オルランドが現れるが、アンジェリカは、
何が起こったかを言えず、
彼がイザベッラを助けたことを挙げ、
嫉妬したりなじったりして見せる。
ゾロアストロは、折悪しく登場したメドーロを、
噴水で隠すと、情景は明るい庭園に変わる。」

これまた、ものすごい魔法があったものである。
このあたりも、是非、実演でトライして欲しいものだ。

「アンジェリカは、オルランドに、
もう王女を見ないように約束させ、
彼女の心に疑惑ある限り、
アンジェリカの愛を得ることは出来ないという。
オルランドは従うことを誓い、
最も恐ろしい怪物を倒し、
その愛の強さを見せつけるという。」

Track19のアンジェリカのアリア、
「あなたが誠実であることを」は、
通奏低音の音色と調和し、とても美しい。

この意地の悪い美女の下心を感じさせるには、
かなり真面目な表現で、オージェの性格を感じる。

Track20のオルランドの勇ましいアリア
「戦場に駆り立てよ」も聞き応えがある。

Track21.
「メドーロはアンジェリカを見つけ、
誰と話をしていたかを知りたがる。
彼女は、それはオルランドだと言い、
そんな恋敵を相手にしてはいけないと言う。
彼等はまた会うことにする。
彼等の別れの抱擁はドリンダに見つかり、
彼女は、アンジェリカに、
メドーロとは婚約中であることを白状させる。
彼女は、ドリンダに、親切にして貰った事を感謝し、
宝石を手渡す。
ドリンダは、すぐにメドーロが贈り物をくれると言うが、
メドーロは許してくれと頼むが、
彼女は、メドーロが分からない程、
傷ついているという。」

ここで、非常に美しい二重唱が来る。
第1幕を終わらせる、素晴らしい音楽である。
Track23.
「アンジェリカとメドーロはドリンダを慰めようとするが、
彼女は悲嘆に暮れたままである。」
ロビンとオージェの声の絡み合いに陶酔する。

第2幕:
ここからもまた、聴き所が続く。
ナイチンゲールと一緒に嘆く、
ドリンダのアリアが、精妙な夜気を含んだ、
オーケストラの序奏と共に始まる。

「ドリンダは、彼女の寂しさにふさわしい、
夜鶯の声にメランコリーを感じる。」

鳥の声を表すヴァイオリンも、
夜更けを思わせる低音の響きも魅惑的だ。

「オルランドが現れ、
王女イザベッラを愛しているなどと、
考えたかと、ドリンダに尋ねる。
混乱したドリンダは、
アンジェリカとその新しい恋人、
メドーロについて語りながら、
誤解したのだと言う。
そして、オルランドに貰った宝石を見せ、
メドーロからのものだと言う。
オルランドはすぐに、それが、かつて、
自分がアンジェリカに上げた、
ツィランテのブレスレットであることを見抜く。
彼女は裏切った、と彼は言う。きっと、
彼女は彼の多くのライヴァルのものになった。
いいえ、とドリンダは言って、
彼女が全ての花にその顔を見、
川の流れや森のざわめきにその声を聴く、
メドーロという若い男は、
まだ、彼女を待っていると考える。」

Track3.でも、彼女の、
メドーロを思う、メランコリックなアリアがある。
まこと、このオペラは、ドリンダが重要な役柄である。

「オルランドは怒りをぶちまけ、
自らを殺し、アンジェリカを地獄に道連れにするという。」

Track4.のオルランドの、
心臓の高鳴りを思わせるアリアは激烈で、
ボウマンのような、
柔らかいカウンターテナーではなく、
もっと、強い声で聴きたいものだ。

「月桂樹の木立、洞穴の入り口が見える。」
というシーンに変わる。
「ゾロアストロは、アンジェリカとメドーロに、
オルランドの怒りを高めないように言い、
唯一の道は逃げることだと言う。
愛の盲目の神に導かれていると、
人間は暗闇に彷徨うのみと警告する。」
Track5のゾロアストロのアリアは、
このように、有難い教訓である。

「恋人たちは立ち去ることを悲しむ。
メドーロは、月桂樹の木に、
彼等の名前を刻み、世界に、
彼等の愛を知らせようとする。」
Track8で、
「平原に木がある限り」という、
しみじみとしたメドーロのアリアがあるが、
どうも、彼等のする事は、オルランドを、
むかつかせることばかりである。

ロビンの歌唱は、いささか声量が足りず、
男性役としては、ちょっとリアリティに欠ける。

「アンジェリカはメドーロとキャセイに帰ることを決心する。
オルランドには、命を助けて貰ったことを感謝し、
愛は感謝や理屈ではないことが、
彼にも分かる時が来ると信じる。」
Track9が、そのアリアであるが、
オージェの生真面目さも感じさせる声が、
ひたむきさを表している。

Track10.
「オルランドが木立に来て、
木にアンジェリカとメドーロの名前を見つける。
彼は、洞穴に駆け込み、アンジェリカを追跡する。
しかし、彼女は木立の反対側から現れ、
木々や流れに別れの挨拶をする。」
Track10後半で、
笛の序奏のある、悲嘆に暮れた、
広い風景を思わせるアリアが聴ける。
一幅の音画になっている。

「洞穴から、強烈な怒りで出て来たオルランドは、
アンジェリカを木立の中に追跡する。
メドーロも出て来て、彼等を追う。
アンジェリカもオルランドに追いかけられている。
ゾロアストロの魔法が仲裁に入り、
アンジェリカを雲で包んで、
4人の魔神のいる場所に、運んでしまう。」
Track11.
このあたりは嵐の効果音も入って活発な情景。

Track12.
「オルランドは遂に、正気を失う。」
とあるが、「ステュクス川の怪物たちめ」
と、ギリシア神話の地獄の魔物たちをあげつらって、
罵りまくっている。
この調子で、Track13、14と、
第2幕の最後まで、夢とうつつを行き来して発狂する。
解説者は、このあたりを、バロックオペラの中でも屈指の
驚嘆すべき音楽と書いている。

「彼は、地底からの影が、アンジェリカを取り上げたと考える。
彼は、自分も影となって、後を追おうとする。
カローンの船に乗って、スチュクス川を渡り、
プルートの王国の煙を出す塔を発見する。
ケルペウスが吠えかかり、フリアエが襲う。
最大のものはメドーロの姿をしていて、
プルートの妃の腕に逃げ込む。
彼女が泣くと、オルランドは、
地獄でも泣くことがあるのかと、
怒りが弱まる。
彼は、もう分かったから、
泣くのを止めよと乞う。」
このあたりが、Track14。

「しかし、彼の怒りは再び込み上げ、
いかなる涙も彼の硬い心を変えることが出来ない。」

かなり激烈な内容だが、ボウマンの歌唱は、
何だか、オルフェウスみたいに弱々しい。

Track14では、「ああ、愛らしい目はもはや」という
部分では、アンジェリカを夢見てかわいらしいメロディとなる。

ヘンデルの音楽は変幻自在で、妙に前衛的ですらある。
最後は雷鳴が轟いて、オルランドは連れ去られる。
「彼が洞穴に駆け込むと、ゾロアストロの戦闘馬車が現れ、
魔術師は、オルランドを抱えて飛び去る。」

第3幕:
「シュロの木立」という注釈がある。
Track1.素晴らしく幽玄な雰囲気の前奏曲がついている。
「メドーロは、ドリンダに、
アンジェリカが、彼を匿うように送られて来たと言う。
ドリンダは、彼が、
彼女を慕って来たのではないと知って、ぞっとする。
彼は、もはや心を上げるわけにはいかない、
と釈明する。」

Track3.では、メドーロが、
「私は心を上げたいが、今はそれが出来ない」
という、切実な歌を歌う。

「ドリンダは、彼が、もう彼女を騙していないと喜ぶ。
オルランドが現れ、ドリンダに愛を告白する。」

いったい、ゾロアストロって何?という感じ。
格好良く、情景を変えたり、戦闘馬車で現れたりするだけで、
まるで、何も変わっていない感じである。

「最初、ドリンダは、こうした得難い好機を喜ぶが、
激しくオルランドが、女神ヴィーナス相手のように、
求愛するに連れ、それがうわごとであることは、
明白になる。」

この、Track5の、
ドリンダとオルランドのやりとりの音楽は、
非常に冴えた感じがする。
はっと、気がついたドリンダの歌は、素晴らしい瞬間である。

「突然、ドリンダは、オルランドが、
その宿敵の一人、フェラウに殺された、
アンジェリカの兄、
アルガリアの心になっていることを知る。」

Track6.
「彼は、剣やヘルメットを投げ捨て、
素手でフェラウと戦おうと立ち去る。」

勇ましい歌に、気の抜けた歌が交錯する。
完全にうわごとのアリアである。

Track7.
「ドリンダはアンジェリカにオルランドの狂気を伝える。」
Track8.
「アンジェリカは同情し、彼が治ることを祈る。」
まさしく、そんな情緒のあるアリア。

Track9.
「ドリンダは彼女の最後の愛に対する考えを述べる。
それは、脳みそをくるくる回す風であって、
喜びと同様に痛みをもたらす。」
これは、コケティッシュな小唄という感じ。
世間擦れした小間使いの歌という感じ。

Track10、11.
「ゾロアストロが魔神を連れて現れ、
恐ろしい洞窟のシーンに変えさせる。
彼は、オルランドがまた、
以前の名声を取り戻すよう約束する。
嵐が明るい空に戻るように、
おかしくなった者も、気がつく時が来る。」
勝手に出て来て、勝手に歌って、勝手にいなくなる感じ。
この登場人物は浮いている。
音楽は、様々な楽器が鳴り響き、
交響的に充実したもので、迫力がある。

Track12.レチタティーボである。
「涙にくれたドリンダが、
オルランドが、彼女の家を壊し、
そこにメドーロを葬ったと告げる。
オルランドが現れ、アンジェリカを、
魔女ファレリーナだと言って、殺そうと脅す。」
Track13.は二重唱。
「しかし、彼女は、メドーロの死の報に触れて、
嘆き悲しみ、オルランドを無視する。」

この押し問答のような歌唱に続き、
何と、オルランドは、彼女に狼藉を働く。
歌手たちがテンポを変えて歌う、この曲を、
解説者は特筆している。

Track14.
「オルランドが、彼女を洞窟に投げ込むと、
それは美しいマルスの寺院となる。
オルランドは、世界中から、
恐ろしい怪物を一掃してやると宣言する。」

威勢の良いオーケストラが彼の勇猛を告げるが、
たちまち、その力は弱まってしまう。

Track15.
「すると、まどろみが彼を襲い、
彼は、三途の川の水を飲んだと錯覚し、
眠りについてしまう。」

これはまた、繊細なオーケストレーションである。
完全に、ロッシーニの「タンクレーディ」の、
死のシーンを先取りしたような神秘的な音楽。

ここで登場するのが、共鳴弦付きの不思議なヴィオラ、
ヴィオレット・マリーンである。
ヘンデルは、これをカストルッチ兄弟のための二重奏とした。

Track16.
「ゾロアストロが現れ、オルランドが、
正気を取り戻す時が来たと告げる。
彼は、ジュピターの鷲を使わし、
魔神にそれは案内され、
くちばしで金色の容器を運ばせる。
この中の液体をゾロアストロは、
オルランドに振りかける。」

失恋で大騒ぎする男を、なだめるために、
すごい仕掛けが必要なものである。

Track17.シンフォニアとある。
精妙な音楽が、その効き目を現している。

Track18.
「彼は目覚め、正気が戻っている。
ドリンダは、彼に、彼が逆上して、
メドーロを殺したと告げる。」

Track20.
「彼は深く後悔し、自殺しようとする。
しかし、アンジェリカはこれを制し、
生きるように言う。
「彼の嘆きによって、オルランドは死ぬ」と、
激烈なリズムが弾むが、
優しいアンジェリカの声が響くのが印象的。
この部分の強烈な効果は、解説でも、
関係長調で急上昇するものと、特筆されていた。

Track21.
「メドーロは実は、ゾロアストロによって救われ、
オルランドに、アンジェリカとメドーロの婚約を、
受け入れるように言う。」
物語を終わらせるために、いろいろ起こり、
レチタティーボで説明調である。

ようやく、ゾロアストロが魔術師であって良かった、
と納得できるシーンとなった。
最初からそうしろよ、という気もしなくもないが。

Track22.
「祭壇が焼け焦げたマルスの彫像の前で
オルランドは自身に打ち勝ち、
アンジェリカとメドーロの手を繋がせる。
彼は、彼等の喜びを願い、アンジェリカとメドーロは、
そうすることを互いに誓う。
そして、ドリンダは悲しみを忘れ、
その小屋に皆を招く。」

オルランドの英雄的な宣誓に、合唱が応える。

Track23.
「全員が愛と栄光を賛美する」という、
はればれとした合唱である。

このCDは、さらに様々な情報を与えてくれる、
有難いもので、最後のページには、
手前に木管と第1ヴァイオリン、
奥にヴィオラと第2ヴァイオリン、
その間にチェロをサンドウィッチして、
左右に一対のチェンバロを配置した、
録音時の楽器レイアウトも図示されている。

「この録音がなされる前に、『オルランド』は、
アメリカツアーを行って、
18世紀の典型的なオーケストラ・レイアウトで、
セミ・ステージ形式で演奏した。
図のようなレイアウトは、この録音でも採用された。
風や雷の音響効果は、ドロットニンゲンホルム劇場の
オリジナルマシーンで、18世紀当時の状態が保たれた、
唯一のものである」という、コメントあって、
効果音すら聴きものであることが分かった。

その他、このCD解説には、こんな事も書かれている。
1729年12月から1734年6月までの、
5シーズン、ヘンデルは、ロンドンのハイマーケットの、
キングスシアターのオペラ責任者をしていた。

「オルランド」は、この第4シーズン、
1732年から33年用のもの。
何と、私がこの記事を書いているのは、
5月の連休前であるが、
オルランドもまた、5月5日まで演奏されたらしい。

そして、ヘンデルが信頼を寄せていた、
カストラート歌手のセネジーノが一ヶ月もせず、
辞めてしまうという事件が発生した。

さらに、このCD解説では、
セネジーノが、この「オルランド」で仲違いしたのは、
納得できるとしている。
作品が、伝統的なオペラ・セリアとは異なり、
実験的であったことが問題であった。

全オペラを通じ、3つしかダカーポアリアがないこと。
しかも、最終幕には1つもない。

さらに、伴奏付きレチタティーボが大がかりで、
アリアが短いこと、アンサンブルを重視していること、
異なる拍子で歌われるデュエットがあることなど。
後は、リズムや楽器の効果の多様性などが解説で強調されていた。

主人公と主役級ソプラノとの二重唱も短く、
オルランドは第1幕の最後の三重唱など、
重要なシーンで登場しない。

第2幕最後の10分もの「狂乱の場」という見せ場があるが、
装飾音を振りかざす音楽ではない。
そもそも、この役柄は英雄なのか、
微妙な喜劇役者か分からず、
もし、後者なら、歌手を馬鹿にしていないか?

この両義性こそが、「オルランド」を、
ヘンデル作曲のオペラの中で、
特殊なものに位置づけているという。
が、人気歌手は、これに付いて行けなかった。

なお、ヘンデルが、このオペラで、
へんてこなキャラクター、ゾロアストロを導入したのは、
当時の偉大なバス、アントニオ・モンタニャーナを
呼びたいがための措置だった模様。

ヘンデルは反対に、王女イザベッラ、
スコットランド王子ゼルビーノはリブレットから削除した。

得られた事:「ヘンデルのオペラ『オルランド』は、実験的作品の頂点。が、主役に慣習的な見せ場が乏しく、スター歌手に見限られた。」
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by franz310 | 2012-04-28 22:42 | 古典
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