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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その325

b0083728_1948351.jpg個人的経験:
前回、ヘンデルの
「オルランド」の第1、第2幕を
クリスティの指揮、
チューリッヒ・オペラの映像で鑑賞。
物語が、ヴィヴァルディのような、
魔女や魔界が絡むものでなく、
人間本来の力を礼賛したような、
ごく道徳的、倫理教本的な内容に
なっていることを知った。

しかし、このART HAUSのDVD、
演出は斬新で、
20世紀初頭風のコスチューム、
オルランドは殺戮線を好む、
ブラック将校として描かれていた。


したがって、
前回は、まだ見ていなかった第3幕では、
主人公オルランドが、
これまで戦場で行って来た事に、
悩まされるようなシーンがある。
映画「ライアンの娘」に出て来る、
精神を病んだ将校を思い出した。

ということで、今回は、
この続きを見てしまいたいが、
このオペラの特徴が、
まさしく、この未聴の第3幕に、
如実に語られていることを、
解説に書いてあることを発見した。

なお、ここに示したのは、その裏表紙で、
あしらわれているのは、
メドーロを思いながら洗濯物を干しているドリンダと、
ヒロイン、アンジェリカとメドーロの写真で、
ミヤノヴィッチの演じるタイトルロールの写真は、
表にしかないようである。

これらの写真を見るだけで、
ヘンデルが思いもしなかったような、
演出がなされていることは、
容易に想像できよう。

さて、今回は、まず、
このDVDの解説をざっと読んで見よう。
ステファン・ロッシという、
チューリヒ・オペラの、
ドラマチック・アドバイザーが書いたもの。

題して、
「オルランド、実験的アレンジ」とある。
「『愛はしばしば、道理を失う原因となる、
ということをオルランドは、
我々みんなに教えてくれている』
という一節が第3幕にあるが、
これは穏当なモラルで、
おそらく聴く人は、
オルランドにヘンデルが付けた音楽の、
劇的な手際よさや音楽的多様性には、
努力を必要としないだろうが、
オペラの問題の複雑さは、それよりも難しいものだ。」

という感じである。
「オペラの問題の複雑さ」が、ここに描かれた、
「愛」というものの難しさという事なのか、
これだけでは、ちょっと分かりにくいが、
これに続く解説部は、
このオペラ成立時の悪戦苦闘の様が読み取れる。

「1733年、1月27日、ロンドンにおける、
ヘンデルの『オルランド』の初演は、
キングズシアターのチラシより数日遅れてなされた。
これは、予想よりオペラ化時に問題があった、
ということだけではない。
ヘンデルのスコアの表紙には、
ヘンデルのオペラ、11月20日完成とある。
これは、メインの声楽パートの事であり、
オーケストレーションはまだで、
修正も残っていた。
舞台にかけるには、さらに膨大な時間をかけ、
当時の標準からしても、極めて華やかなものに、
いかに多くのものを要するかを聴衆は感じていた。
それに加え、ヘンデルは、その初演に、
タイトルロールを担当した、
著名なカストラート、セネジーノ率いる、
選りすぐりの歌手たちを集めた。」

ということで、
このヘンデルのオペラ「オルランド」は、
ヘンデルが準備万端にして、
万全の布陣で臨んだ意欲作だったわけである。

が、以下に不穏な記述が始まる。

「これは、この歌手にとって、
ライバルのオペラ座に引き抜かれる、
ヘンデルとの最後の仕事となった。
このような約束された将来にも関わらず、
オルランドは、普通の成功の
ちょっとマシ程度のものになった。
次の作品もなしに、作品は、
急速にかき消され、1920年代の、
ヘンデル・ルネサンスまで、
オペラ・ハウスの演目に上ることはなかった。」

ということで、1733年のこの作品、
代表作「水上の音楽」の十数年後、
有名な「メサイア」の10年前に当たり、
ヘンデル48歳という壮年期の作となるが、
この作曲家の生涯でよく語られる、
「1718年イギリスに定住するようになってからも、
やはりオペラで成功しました。
しかし、そのうちに
ヘンデルのオペラ運動の邪魔をする人たちもあらわれ、
それによる経営の困難から心身をすりへらし、
脳溢血になり、一時静養の止むなきに至りました。」
(現代教養文庫、野呂信次郎著「名曲物語」)
といったエピソードのまっただ中の作品のようである。

さて、DVDの解説に戻ろう。

「しかし、この何世紀にもわたる無視は、
このオペラのどこにも異議のない出来映えに、
ふさわしいものではない。
ヘンデル専門家のウィントン・ディーンは、
『すべてのヘンデルのオペラで、最も豊かな音楽かもしれない』
と言っている。」

ここまで書かれるまでに、この作品は、
今回の演出はへんてこながら、
専門家も瞠目している作品であるということだ。

以下、リブレットの原作になった、
アリオストが、ひっぱって来た、
もともとの伝説にまで遡った解説を読んで、
私は、かなり驚いてしまった。

「アルチーナや、アリオダンテ同様、
イタリア・ルネサンス期の詩人、
ルドヴィコ・アリオスト(1474-1533)の
華やかな騎士道の叙事詩、
『オルランド・フリオーソ』からの三部作最初のものである。
これは歴史と神話がごっちゃになって発展した、
長い前史を持つものであった。
物語は778年のもので、
シャルルマーニュの撤退中の後衛軍隊が、
ピレネー山中で壊滅的打撃を受けた時で、
この時、フルオドランドゥス(Hruodlandus)が命を失ったとされる。」

フルオドランドゥスは、最初に「Hru」がついているから、
どうも別人に見えるが、これを外すと、
ほとんど、オルランドである。
「H」だけを取ると、「ルオランド」みたいになって、
「ローラン」とか、「ローラント」になると言うわけである。

「事実、『ロランの歌』のロラン伝説の誕生や、
異教徒と戦ったキリスト教徒の戦士、
ロランの冒険物語の伝承は、
1100年頃からの事である。
それから、15世紀になって、
ロランがイタリア詩人によって扱われるようになると、
オルランドと変更され、以降、そう呼ばれるようになった。
アリオストは彼のオルランド伝説を、
対抗作品、ボイアルドの『恋するオルランド』の続編として書いた。
そちらの方は、次第にアリオストの、
ずっと詩的に豊かな作品の名声にかき消された。」

何と、ここでも「ロランの歌」であった。
これは、シューベルトのオペラの下敷きになったものである。

シャルルマーニュの騎士ロランは、
イタリアでオルランドとなって、
ヴィヴァルディやヘンデルの作品となり、
独墺圏では、ローラントとなって、
シューベルトのオペラ『フィエラブラス』の、
重要な登場人物となっていた、
ということだ。

「ヘンデルの時代、これは良く知られていて、
それゆえに、リブレットの序文への記載を、
彼は簡単なアリオストの引用で済ませ、
さらなる説明を省くことが出来た。
オルランドの伝説は、オペラの素材として長く好まれ、
ヘンデルばかりか、リュリやヴィヴァルディ、
そしてスカルラッティによって取り上げられた。
アリオストのテキストを直接、ベースにするよりも、
ヘンデルと、今では名前不詳のリブレット作者は、
むしろ、カルロ・シジスモンド・カペースのリブレットを使い、
これはもともと、スカルラッティのために書かれたものだった。
レチタティーボは大胆に刈り込まれ、
カペースの詩句の半分程度がかろうじて残った感じ。
賛否両論の活発な議論にも関わらず、
ヘンデルは音楽そのものの表現伝達力を信じた。
一方で、重要な追加については、
書いて置く価値がある。
最も目立つ登場人物は、ゾロアストロで、
これはカペースにもアリオストにも出て来ない人物で、
ここでは、このオペラの重要な、
倫理メッセージを吐く役を担っている。
これは、時代精神を反映し、
感情の自己鍛錬に対し、強い賛意を投じる役柄である。
愛に打ちひしがれた男は、
理性や自己修養、社会的な目的を再発見できるよう、
自制するという男らしさに従うべきである。
しかし、ゾロアストロの役は、
オペラの要ともなり、
事の始まりを司ってもいる。」

やはり、このゾロアストロという登場人物は、
とって付けたように異質すぎる。

「一見して、オルランドのプロットは、
5人の登場人物からなる単純なものである。
エキゾチックな王女、アンジェリカと、
その恋人、メドーロは、幸福なカップルなのに、
望みない恋するライヴァルに追われている。
いまだ、そうした経験はしていないにもかかわらず、
ドリンダもまたメドーロを愛し、
オペラは自然な結果を辿る。
彼女の成熟は結局、立派に自己克服を見せる。」

このドリンダこそが、主人公と思われるくらいに、
印象的に、いたいけな役である。

「この物語の主人公、
騎士オルランドが巻き込まれる情事には、
そんな単刀直入さはない。
彼の誠実さは、最初から危険にさらされ、
矛盾した愛への望みと、
より永続的な戦場での栄誉によって、
彼は引き裂かれ、彼の内面のバランスが失われ、
次第に理性を失い、
彼の戦場での能力を買って、名声を護ろうとする
ゾロアストロによって、最終的に癒されるまで、
狂気に屈してしまう。」

そんな物語だったっけ?
彼は、別に名声に引き裂かれたわけでなく、
メドーロが木に、アンジェリカ&メドーロ、
ラブラブ、などと書き付けたから、
狂気に陥ったものと思っていた。

少なくとも、ヴィヴァルディでは、
そんな展開であったはずである。

「事実、ゾロアストロだけが、
少なくともオペラの表面的な構成上は、
そのような感情を克服することができ、
状況管理をうまく行うように見え、
最終的にオペラ・セリアでは必須の、
よくあるハッピーエンドを守っている。」

この登場人物自体が、
そもそも取ってつけたみたいな存在であるが、
ハッピーエンドもありきたりな感じはするが。

これが、先にあった、時代精神という奴であろうか。

下記には、ヘンデルの書いた音楽のすばらしさが、
列挙された部分が続く。

「巧緻に編まれた登場人物や価値観の織物の下、
自発的で活気あるスコアによって、
オルランドは、ヘンデルの作品の中でも、
実際、一般のオペラ文献の中でも、
特別な位置を占める。
カペースの版とは対比的に、
アリア、アリオーソ、器楽が優位にあり、
ヘンデルのものはいくつかのアンサンブルもある。
オルランドにおいて、音楽は、こうした独立性や多様性を持ち、
音楽学者は、理由を持って、
『第6の登場人物』と呼んでいる。
スコアは、アクションを描写し、サポートするだけでなく、
コメントを差し挟み、出来事を和らげ、
テキストと音楽の中に内的な緊張を作り出している。
そして最終的に、独白とは、別のロジックを開発している。
オーケストレーションも多彩で、
例えば、共鳴弦付きのヴィオール、
『ヴィオレット・マリーン』を使い、
当時の聴衆を興奮させた。」

こんな変わった名前の楽器があるとは知らなかった。
画像検索しても出て来ない。

オーケストラの雄弁さのみならず、
感情表現の幅についても、
下記のように書かれており、
まるで、シューベルトの歌曲の解説を
読んでいるような錯覚に襲われる。

「そして舞台上の演技を常に反映した。
沈着から内面の狂乱、
美しい静けさから、絶望的なヒステリーまで、
音楽は感情の全域を描いている。
例えば、オルランド狂乱のシーンでは、
レチタティーボとアリアの慣習的な区別も完全に放棄されている。」

そして、このいっぷう変わったリブレットによって、
ヘンデルの妄想が爆発したという結論になっている。

「このように、思考過程の一般的な発生を阻止するリブレットによって、
オルランドの『狂気』にインスパイアされ、
ヘンデルは、当時のオペラ・セリアの慣習から、
最大限の逸脱を試みた。
それは、特別な音楽的先入観や予測を持っていた聴衆にも、
聞き取れたに違いない逸脱であった。」

では、前回、聴けなかった、第3幕を見ていこう。

第3幕:
DVDの2枚目である。
また、管弦楽の序曲演奏から始まる。
クリスティのスタイリッシュな指揮が見られる。
オーケストラピットから浮かび上がる、
白髪がまぶしい。

舞台は病室である。
右半分はドリンダが机仕事をしていて、
左半分にはベットがいくつか並べられ、
そこでオルランドが寝ている。

つかつかとメドーロが入って来て、
枕をオルランドの顔に押しつけ、
窒息させようとする。

序曲がここで終わり、
気づいたドリンダが、メドーロが、
何故、ここにいるかと問い詰める。

アンジェリカに言われて戻ったというメドーロに、
それでもいいから家に来てというドリンダ。
愛してくれなくても、かけがえがない人よ、
と健気なことを言う。

すると、二人は互いの服を脱がし合って、
ドリンダは彼にしがみつく。
かなり、きわどい演出である。
お子様同伴では、見に行かない方が良い。

が、メドーロは、心が自分のものでないことを、
短いアリアで、ドリンダに説明して去って行く。

解説に、
「メドーロは、ドリンダに彼の振るまいについて、
彼の心は、アンジェリカのものであるがゆえに、
ドリンダを愛することは出来ない、と弁明する。」
とある部分であろう。

病室のベッドの中で、オルランドは、
いきなり、ドリンダに声をかける。
「狂乱の中、オルランドは、
驚き、仰天するドリンダに愛を告白する。」

何と、ここではすっかり英雄が、
メドーロのような色男になって、
ドリンダを愛撫し始める。
ここでアリア。

すごい展開だ。

ドリンダもまんざらではなく、
羊飼いの女に英雄の血を混ぜるの、
などと戯れている。
快活な歌唱で合いの手を入れ、
まったりとしたオルランドのアリアに変化を与える。

アリアの中に合いの手を入れるのは、
ベッリーニなどの発明みたいに書く人もあるが、
ここでは、それと同様の効果が得られている。

何だか、オルランドは狂っているのである。
狂うのが彼のアイデンティティなので、
狂って貰わないと困るのだが、
ベッドに起き上がって騒いでいるだけなので、
単なる幻覚にも思える。

「オルランドは今や、錯乱し、
過去の戦いにおいて出て来た人物、
そして殺した人物が心に現れ、幻覚に苦しむ。」
とあるように、
彼は遂にベッドの上に立ち上がり、
受けて立つとか、私は死んだ、とか、
感情の振幅の激しい躁鬱状態の、
奇妙なアリアを歌い続ける。

そのうちに医師か看護士の一団が現れると、
オルランドは逃げてしまう。
代わりに入って来るのはアンジェリカ。

「アンジェリカはオルランドに哀れみを感じ、
再び、彼が良くなることのみを望む。」
と、解説にあるのは、彼がヤバいことを、
ドリンダが説明したからである。

愛と嫉妬で錯乱した、
と説明すると、愛は意志ではなく、
運命だと説明するアンジェリカ。

ドリンダは、思わず、アンジェリカを引っぱたいている。
何と、鼻血がだらだらとアンジェリカの手から滴る。
その状態で、アンジェリカのアリア。
こんなオペラ見た事ない。
が、感情が高ぶって歌い出されるのがアリアだとすれば、
これは、きわめてオペラの基本に忠実な演出だと、
言うことになる。

恐怖に打ち勝ち、魂を自由にして、
そう願うのは当然です、と真摯な感情が歌われるが、
ドリンダは、机での執務に戻り、無視している。

「オルランドの狂気の沙汰を聴くうちに、
ドリンダは、愛のエッセンスが分かるようになる。
それは混沌であり、幸福より苦しみを運ぶものである。」

ドリンダは机の所を離れ、
そうした事を語った後、
総括するような生き生きとしたアリア。
愛は心地よいが、短い快楽の後で、長い苦悩が始まる、
と、深い内容の歌を歌われる。


ドリンダの歌は長く、コロラトゥーラも軽快な、
ヴィヴァルディ風の爽やかな曲想ながら、
嫉妬や怒りが歌われている。

ベッドの1つに横たわってしまった、
アンジェリカを追い出したり、
布団を投げたり、
枕で戦ったりして大忙しだ。

すると、ザラストロが、
オルランドの教訓は、
「愛は理性を忘れさせることもある」ということだ、
などと、一人、超越者のように部下を引き連れ現れる。

「ザラストロは、オルランドの狂気を、
きっぱりと治す実験を執り行おうと考える。」

看護婦や看護士は、アンジェリカやドリンダを、
立ち上がらせる。
ドリンダは退場となる。

そして、怪しいベッドの準備がなされ、
ザラストロがアリアを歌う中、
アンジェリカはそこに縛り付けられる。
ナイフまで取り出して物騒である。
しかし、アリアはものすごく技巧的なもの。

そして、そのナイフはベッドの上にのこし、
アンジェリカを放置して去ってしまう。

「オルランドが入って来て、
アンジェリカを殺そうと決意している。」
とあるように、オルランドはそのナイフを手にする。

アンジェリカとオルランドの二重唱である。
「彼女はメドーロを失ったと信じ、
アンジェリカは生きる望みを失い、
あまり抵抗しない。」
狂気のオルランドは、おののいてはいるが、
しかし、無抵抗なアンジェリカを抱きかかえ、
遂には、彼女の腹部にナイフを突き立てるが、
そのナイフはザラストロの用意した、
刺すと引っ込むナイフである。

オルランドは怪物を退治したと満悦であるが、
だんだん、表情が変わり、
私は忘却の飲み物を味わう、とか言いながら、
力を失って行く。

「彼がアンジェリカへの復讐を遂げたと考えた後、
疲れ果てたオルランドを麻痺が襲い、
彼は深い眠りに陥る。」

気を失ったアンジェリカの顔を撫でながら、
室内楽的な、繊細な伴奏をバックに、
鬼気迫る形相で、息の長い祈りのようなアリアが歌われる。
そして、そのまま、同じベッドに倒れ込んでしまう。

「ザラストロと彼の助手たちが到着し、
彼を正気に返らせようとする。」
まずは、気付け薬で、アンジェリカを運び去り、
その後の部屋はオルランドを手術するための部屋となる。
ザラストロのアリアは、
天にオルランドが正気になることを祈るものだが、
マスクや手袋をして、施術する模様。
手術室は幕で隠されている。

その間、音楽は、天の恩寵のような音楽が奏でられている。
パストラル調で、ひなびた響きが美しい。

「オルランドは目を覚まし、
正気に返っていることを自覚し、
これまで犯しそうになった恐ろしい事柄に対し、
償いをするべく自殺しようとする。」

しかし、どんな手術をしたのか不明で、
単に、軍服を着せられている。
勲章もいっぱい付いて、さすが英雄である。
が、しみじみとレチタティーボを歌っている。

愛する人への復讐にオルランドは死ぬ、
というアリアが歌われる。
すると、アンジェリカが、死んではいけません、
という声を上げる。
これは美しい瞬間である。

「アンジェリカは、彼を止め、ザラストロと、
今や、メドーロへの思いを断ち切ったドリンダは、
オルランドに、アンジェリカとメドーロを祝福するよう頼む。」

オルランドは魔女と魔物に打ち勝った。
今度は自分と愛に打ち勝った、と声を上げる。

「最終的に、彼の狂気は治り、
オルランドは自らを律したことを言祝ぐ。
最後、彼はアンジェリカなしに生きることが出来るようになり、
名声と愛を讃える賛歌が全員によって歌われる。」

美しい朝から美しい日が訪れる、
と歌い出される、合唱の音楽。
「英雄オルランド」と書かれた台の上にオルランド。
左右にメドーロとアンジェリカと、
ザラストロとドリンダが配置されて、
シンメトリカルな調和の中で全曲が閉じられる。

カーテンコールでは、意外にザラストロへの拍手が多い。
クリスティも上がって来て、大歓声に包まれている。


得られた事:「シューベルトの『フィエラブラス』の名将ローラントと、オルランドは、同じ、Hruodlandusを起源としていた。」
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by franz310 | 2012-04-22 19:53 | 古典
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