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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その22

名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その22_b0083728_22383836.jpg個人的経験、演奏、デザイン、解説比較:
アマデウス四重奏団。
私の心に、暖かい灯をともすのは、
畏敬すべきブタペストでも、
本場もののバリリでも、
コンツェルトハウスでもない。


この団体の演奏した「ロザムンデ」の四重奏曲や、
ブラームスの「クラリネット五重奏曲」がなければ、
中学生だった私のコレクションは、とても寂しいものになっていただろう。

シューベルトの四重奏曲、「ロザムンデ」の裏面は、
同じ作曲家の第九番、ト短調だった。
この曲の終楽章が持つ、疾駆していくような焦燥感は、
聞くたびに、懐かしいあの頃を思い出させる。
これを聴いていた私は14歳であったし、
作曲家は、この曲を作った時、まだ17歳か18歳だったはずだ。
しかし、この団体は、決して若書きとしては扱わず、
作曲家の青春のエネルギーを汲み取り、
立派なモニュメントとして描き上げていた。

この作品はレコードが少ないにもかかわらず、
アマデウス四重奏団の演奏は、あれ以来、日本では復刻されていないのではないか。
非常に色彩的で、推進力に富むものだったのに。

また、こんなことも思い出す。

グラモフォンが出していた、
この団体のモーツァルトとベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集。
この分厚い、高価なセットが、レコード屋に並べられているのを見ると、
高嶺の花を仰ぎ見るような、厳かな気持ちに打たれたものである。
その格調高い装丁で、ひときわ目を引くものであった。

だから、この、モーツァルトの名前を冠した四重奏団が、
ヴィオラのシドロフの死去に伴い、87年に、
40年もの長きにわたる活動に終止符を打った時、
私は、大きな喪失感を感じずにはいられなかった。

そして、シドロフ以外のメンバーが、その後、来日し、
日本の四重奏団との混成でコンサートを開いた時、
私は、有無を言わさずチケットを入手した。

そんなこともあって、この団体の名前がついていれば、
かなり許容範囲が広がってしまう。

「ます」の五重奏曲の演奏、欧米では、
このアマデウス+メニューインのレコードが、
かなり愛好され、普及しているのではないだろうか。

というのは、この「死と乙女」以外にも、いろいろな曲と組み合わされて、
いくつかのCDが、すでに出回っているからである。

たとえば、メニューイン女史が、
今度は、このアマデウス四重奏団ではなく、
兄のユーディや、名チェリスト、ジャンドロンと組んで録音した、
シューベルトの「ピアノ三重奏曲集」と一緒にした二枚組のCDもフランス盤で安く出た。

これは、あのオランダ製のものよりも、はるかに魅力的な商品となっている。
そもそも、あの激しい緊張感に支配された「死と乙女」との組合せでないのがよい。

シューベルト晩年の2曲の三重奏曲は、いずれも大作で、
素晴らしい叙情と、深い感情の発露によって、必聴の名品である。
より伸びやかで、叙情的な第一番。
そして、作曲家が、壮大な構想の中に、
孤独な心情吐露を織り込んだ第二番。
演奏も共感に満ちていて、どちらも第二楽章では涙が誘われる。
「死と乙女」のような、凝集とは別の、もっと多様な感情が聞き取れる点で、
「ます」のカップリングには、よりふさわしいと思われる。

さらに、ジャケットのデザインがしゃれているのもよい。
シューベルトの音楽に比べると、おそらく時代も国も少し違って、
格段に軽薄なものではあるが、ひょっとすると、
このような雰囲気で演奏されたこともあるかもしれない。
きれいな演奏家が持っているのがギターではなく、ヴァイオリンならよかったのに。

解説もあり、録音時のデータもちゃんとついているのはありがたい。

導かれること:「同じ団体の、全く同じ演奏であっても、組み合わせの曲目次第で、また買ってしまうことがあるが、これを無駄とは思わずに、ぜひとも、それを機会に、デザインや解説の違いを吟味して差異を楽しむべし。」
by franz310 | 2006-06-05 22:55 | 音楽
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