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クラシック音楽への愛と悲しみの日々(一枚のLP、CDから「書き尽くす」がコンセプト)
by franz310
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名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その403

名曲・名盤との邂逅:1.シューベルトの五重奏曲「ます」その403_b0083728_21391282.jpg個人的経験:
トスカニーニの歴史的録音は、
様々なレーベルから発売されている。
戦前、戦後に市場に流通した、
78回転盤を使ったCD化は、
著作権も切れていることから、
誰にでもチャンスがあるようだ。
同じ演奏なのに、
こうも違うのか、という感じで、
いろんなレーベルのCDを
聴き比べるのは確かに面白い。
もはや、生演奏は聴けないので、
想像力の戦いが聞き取れるわけだ。


前回、Biddulphレーベルの、
トスカニーニ指揮、BBC交響楽団の演奏を聴いたが、
面白い事に、技術が進歩して、
もともとは、録音が良いはずの
後年のNBC交響楽団のCDなどより、
聴きやすい音質になっているような気がした。

聴きにくいという事では、
NBC交響楽団の演奏で出されて来たもので、
トスカニーニは、かなり損をしている。
何らかの強調処理が、押しつけがましく、
柔軟性に乏しく、堅苦しい印象を与え、
それが、トスカニーニ自身の外見、
頑固一徹のイメージやその年齢が不思議に調和して、
こんなおっさんの演奏なら、
こういう特徴があってもおかしくないと、
妙に納得してしまったのであった。

しかし、私は、ひょっとすると、
このBBCの一連の演奏によって、
トスカニーニの先入観から解放されたかもしれない。

というのも、
この演奏の中のいくつかを集めた、
GRAMMOFONO2000
というレーベルから出されたCDを
たまたま持っていて、
こっちのほうで、「田園」の方は、
これまで何度も聴いていた。

そして、この「田園」が良いのである。
オバート=ソーンが復刻した、
Biddulphのものより、
何となくジューシーで、
みずみずしく感じられるので、
私は、このCDが手放せずにいる。

しかし、このレーベルは、あるいは、
やばい海賊版レーベルなのであろうか。

Music&Artsのホームページなどは、
「Hall of Shame(恥の殿堂?)」という
特設ページを設けて、海賊盤糾弾を行っている。

その中で、
Iron Needle、
Dante、Lysなどと並べて、
このGrammofono2000も、
いっしょくたにされて弾劾されているのである。

Pearl、Biddulph、
Tahra、APRや、
このMusic&Arts社からの
違法コピーを行っている、
と名指しで非難しており、
消費者に買わないように勧告している。

先にも書いた、オバート=ソーンも、
被害に会っているようで、
「よく知られた技術者のオバート=ソーンや、
パールで長年、プロデューサーを務め、
今は、Arbiterレコード社長である、
アレン・エヴァンス氏が、ネット上で、
苦情を言っている」
などという記載が見える。

オバート=ソーン氏は、
「フレデリック・ストックの『ポップス・コンサート』」の
ダンテやリースから出ているCDが、
ビダルフのCDの違法コピー商品だと書いている。

さらに、ある雑誌で高く評価された
Grammofono2000の
ストコフスキーのCDは、
自分が手掛けたパールのCDによるものだとも言っている。

実に、オバート=ソーン氏ほど、
Grammofono2000に、
苦しめられ、被害にあった人はいないようである。

彼は、さらに、1934年の、
ストコフスキー/フィラデルフィアの
『第九』のMusic&Artsの
自分が行った復刻(transfer)が、
グラモフォノとマジック・タレントに
コピーされたとも書いて、次々に悪行を列挙している。

こうした事が、新しい復刻を行わせることを阻む、
とさえ書いているが、
市場は確かに、過去の復刻なのだから、
権利も切れているだろうから、
安いのを買っても問題なかろう、
という感じで、コピー商品を優遇するだろう。

こんな感じで、オバート=ソーン氏は、
グラモフォノに対して、激しい憤りを表明している。

ただし、この海賊行為が、
グラモフォノのすべての商品に該当するのかどうか、
そのあたりが読み取れない。
普通は、その全部が怪しいと考えるべきなのだろうが、
私には、グラモフォノの音がすべて盗作だ、という確証はない。

ただし、先の、Music&ArtsのHPには、
このような文章が続いているのが悩ましい。

「これから、これらのものがバーゲン品だと考えて、
購入を考えている消費者は、
これらの海賊レーベルが、
オリジナルのトランスファーに対して、
未熟で不器用な方法による
様々なコンピューター処理のノイズ除去を施し、
時折、人工的な残響や、ステレオ効果すら、
付加していることに気付くべきです。」

私は、ひょっとすると、
このトリックに引っかかっているのだろうか。
たとえば、オバート=ソーン氏が復刻したものに、
微妙な効果を施して、聴きやすくしているものを、
私は喜んで聴いていたということだろうか。

確かに、すくなくとも私が持っている、
トスカニーニの「田園」のCDなどでは、
グラモフォノは、たいした解説もなく、
表紙デザインも意味不明である。

眼鏡橋のような石造りの橋であろうか、
そんな風景画が白黒ならぬ白青で再現され、
その中にトスカニーニの肖像を入れたものだから、
結局、その風景画が何なのかが、
さっぱり分からなくなっている。
青白の基調に例外的にトスカニーニが、
金色の枠で囲まれ、レーベル名と、
新しいリマスタリング・システムの名称が、
誇らしげに書かれている。

Toscanini in London
1935-1939 VOL.5とあるが、
残念ながら、他のVol1-4は、
私は店頭で見たことがない。

Biddulphのものが93年の商品で、
このGRAMMOFONO2000の商品は、
1996年とあるから、
盗作可能な時系列になっているのは確かである。
ちなみに、オバート=ソーンは、
2004年に、ナクソスのために、
再度、この音源をリマスタリングしている。

イタリアのレーベルは、
いつも胡散臭いが、当然、このレーベルも、
胡散臭さではその例に漏れない。

また、ブックレットには、
こんな文章が載っているだけである。

「すべてが、最初に78回転盤で出た、
このシリーズに含まれるこれらの録音は、
二つの大きな目的のためのものである。
まず、初めに、プロデューサーは、
この半世紀分のレコードが、常に、
国際的なマーケットで、
しかも、CDという便利なフォーマットで、
入手可能であるべきだと信じている。
私たちは、20世紀の偉大なアーティストの
芸術の証言を、コレクターや、音楽愛好家に届けたい。
GRAMMOFONO2000シリーズは、
3つのセクションに分かれている。
それらは、特別な色で識別可能で、
特別なレパートリーごとに分けられている。
ブルーは、交響的、または、合唱のセクション、
ボルドーは、オペラやリサイタルのセクション、
グリーンは偉大な独奏家、室内楽のセクションである。
このカタログは、芸術解釈の50年分の
最も重要な演奏を提供することになろう。
第2の理由は、GRAMMOFONO2000が、
まったく新しい革命的な
デジタル・リマスタリング・システムである、
CEDAR SOUND RESTRATION SYSTEM
を使うことで誰にでも分かる音質改善がなされていることである。
この特殊なソフトウェアによって、
リアルタイムで、オリジナル音源の含む、
様々なパラメーターを補正することが出来る。
このシステムのプログラムによって、
扱いが悪かったり、摩耗したりして生じたスクラッチ同様、
背景ノイズや、ヒスはほとんど完全に除去できる。
そのほかの問題があっても、オリジナルの音質の、
基本的な特徴を再現することができ、
同時に、古い録音特有の歪なども除去可能である。
これまでのリマスタリングシステムとは異なり、
全工程を、オリジナルの周波数や、
信号に影響するフィルター効果なしで済ませることが出来る。
GRAMMOFONO2000シリーズのすべての商品は、
この驚くべきシステムを使用したものである。」

ものすごく、高い志が書かれているが、
確かに、他のGRAMMOFONOのCDに出ている、
商品カタログは、かなり膨大である。

トスカニーニだけでは当然なく、
ブルーのものだけを見ても、
ワインガルトナー、メンゲルベルク、
フルトヴェングラー、ワルター、
クナッパーツブッシュ、ストコフスキーと、
ヒストリカル・ファンには、
垂涎のラインナップである。

なお、トスカニーニ/BBCのものは、
6つのCDが出ているようで、
カタログ上は、
ワーグナー、ブラームス、モーツァルト、
ロッシーニ、ドビュッシー、エルガー、
ウェーバー、メンデルスゾーン、シベリウス
とあって、エルガー、シベリウスなど、
BIDDULPHでオバート=ソーンが
復刻していないものもあるようだ。

しかし、このGRAMMOFONOは、
インターネットのホームページも見たことがなく、
明らかに怪しい。

このような状況を吟味しながら、
改めて、GRAMMOFONO2000の
このCDを聴くと、確かに、
後から付加された残響の効果によって、
ふっくらとした響きになっているようにも聞こえなくもない。
が、それ以上に鮮やかな印象があるのは何故だろう。

高音がぎらぎらしていたりするわけではなく、
低音の存在感も大きいので、
バランスは良いと思う。
BBCの魅惑的な木管群も存在感がある。

手抜きの仕事ではないと信じたいものだ。
せっかく買って愛聴していたので、
何とか、いいところを見つけたくなってしまう。

実は、この「田園交響曲」の録音は、
SP時代の面と面のつなぎがうまく行っていない所があり、
第2楽章で3面あったうちの2面から3面への移行が、
BIDDULPH盤ではごまかし切れておらず、
オバート=ソーンは、
NAXOSでの復刻時は、うまくやった、
と書いている。

では、このGRAMMOFONOのCDはどうかというと、
そこそこうまく行っているように思える。
このレーベル自慢のCEDARシステムの効果だろうか。

さて、海賊レーベルなどではない、
しっかりしたネット上の情報もある、
BIDDULPHの人には悪いが、
このCDを聴きながら、
BIDDULPHの解説を読んでしまおう。

人工的に残響が付与されているのか、
何がどうなっているのか、
良くわからないのだが、
このCDの音質は、
何となく、ふっくらとマイルドな感じがして聴きやすい。

仮にGRAMMOFONOのCDが海賊盤で、
元になる録音があるのであれば、
ぜひ、それを紹介して欲しいものだ。
私も、やはり、しっかりした解説が欲しいし。

何と言っても、トスカニーニ/BBCの「田園」は、
下記のようにHarris Goldsmithという人が、
「最高」と賞賛しているものなのだ。

「BBC交響楽団との『田園』は、
さらに高次元の素晴らしさで、
オーケストラの演奏にも、技術的破綻は見られない。
これは、1937年の6月から10月と長くかかった、
少なくとも4回のセッションで、
録音されたことにも、一因があるのかもしれない。
彼は、承認可能な、この交響曲の録音を生み出すのに、
非常に厳しい仕事ぶりを示した。
(1933年、ニューヨーク・フィルとの試みがあった。)
すこしずつ録音されたにも関わらず、
結果として現れた解釈は、
直線的な直接性と牧歌的な自発性を溢れさせている。
彼の1952年のNBCとの録音も、
同様に素晴らしいとする人も正直いるはずだが、
アメリカのオーケストラのスタイルとは比べることが出来ない。
BBCの管楽セクション、特にオーボエは、
ずっと人懐っこい手際を見せ、
後の録音に行きわたる、
じりじりしたラテン的な集中よりも、
(これは、サバータ指揮の、
ローマ・アウグスティノ管でも聴かれる)
私は、その弦楽セクションの暖かさや親密さを好む。
1937年の録音では、
ベートーヴェンの楽譜に手が加えられておらず、
『嵐の音楽』に補強用のエキストラのティンパニはなく、
『小川のほとり』では、ヴァイオリンのトリルの、
優雅な後打音(ナーハシュラーク)もない。
1933年のニューヨーク・フィルとの演奏は、
もし残っていたら、
トスカニーニ研究家をずっと悩ませた、
疑問が解決されるはずである。
この指揮者は、こうした校訂を、
この後の時代だけ行っていたのだろうか。
1938年1月の、
最初のNBC交響楽団との演奏では、
同様に、これらの措置はなく、
私は、単に、両方の機会に、
新しいオーケストラとの演奏に際し、
単に、彼の書き込みが入った楽譜ではなく、
彼らが使っていたものを使ったからではないか、
と推測している。
それがどうであれ、この『田園』は、
私にとって、トスカニーニ/BBCの最高の演奏である。」

第1楽章から、丁寧に丁寧に演奏されているが、
同時に、これほどまでに、
明確な意思で、句読点を打たれた演奏もないかもしれない。

すみずみまで意志が通っている感じで、
要所、要所が、びしっ、びしっと決まって行く。
よって、田舎に着いた時の長閑な感じとは違うが、
空気は清冽で、生命感に溢れ、弾力に富んで、
これはこれで、リフレッシュできる「田園」である。

第2楽章の夢見るような風情も、
ものすごく美しい。
トスカニーニも感慨無量であったと想像される。
これはめくるめく幻惑すら感じさせる絶美の世界だ。

第3楽章の軽やかなリズム、
ダイナミックレンジをいっぱいに使った、
いくぶんドライな第4楽章を経て、
終楽章で立ち上ってくる楽器群の美しいこと。

BIDDULPHのCDの解説の終わりは、
トスカニーニとBBCの良き時代を語って寂しい。

「1939年5月の彼の最後の訪問では、
トスカニーニは、全9曲の交響曲、
『ミサ・ソレムニス』、いくつかの序曲、
最後の弦楽四重奏曲作品135からの2楽章、
(協奏曲もあったが、ボールトが指揮した)
からなるベートーヴェン・チクルスで、
オーケストラの能力を試した。
おそらく、全員が少し疲れてしまったようだ。
しかし、何らかの理由によって、
1939年6月1日の、
たった一回の録音セッションでは、
ベートーヴェンの『第4』、
『レオノーレ序曲第1番』、
『プロメテウス序曲』の演奏が
慌ただしい演奏が録音されたが、
これらは、かつて、トスカニーニ/BBCの
コラボレーションが持っていた、活力と人間性を失っている。
(私は、未発表のままになっている、
『コリオラン』序曲についてはコメントできない。)
非人間的に堅苦しいメトロノームと、
機械的なシンメトリーが、
かつてのニュアンス豊かな柔軟性にとって代わっている。
1939年のこれらの録音では、
以前のセッションよりマイクも遠く、
演奏における非人間的な無気力のオーラに
一役買っている。
トスカニーニの録音嫌いや、
戦争前の欧州の不安な雲行きなど、
その他の要因に加え、
むろん、過労も原因であろう。
しかし、それは、単に、4年の音楽活動を経て、
トスカニーニとBBCのハネムーン期間は、
終わりを迎え、
もっと普通の仕事の関係に、
なっただけなのかもしれない。
この関係もまた、ヒトラーの爆撃機によって、
まさに終わりを迎えようとしていた。」

得られた事:「GRAMMOFONO2000というイタリアのレーベルは、Music&Artsなどが海賊レーベルとして糾弾しており、限りなく怪しいが、このCDは、非常に聴きやすい音質である。怪しいレーベルには残響を人為的に付加するものもあるようだが、それはよく分からない。」
「トスカニーニ/BBCの『田園』、第2楽章の幻惑の絶美。」
by franz310 | 2014-03-02 21:39 | 古典
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